孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~ 第二話 嫉妬 ~前編~

2011年10月30日 19:18

孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~

28 :◆tUNoJq4Lwk[sage]:2011/05/28(土) 17:39:28.86 ID:mC4OjpKGo


     第二話

   嫉妬 ~前編~


 コンビニの近くで魔女と呼ばれるわけのわからない化け物に襲われそうになってから数時間後、俺は自宅兼事務所に戻っていた。

「なんでお前がここにいるんだ、杏子……」

「はあ? だって一緒にいなきゃ用心棒できないじゃん」

「一応、俺は男の独り暮らしなわけなのだが」

「なんだよ、襲おうってのか?」

「いや、別にそんなつもりはないが」

「それはいいけど、それ食おうぜ。せっかく買ってきたんだし」

「ん? ああ」

 どうやら俺は相当食い意地が張っているようで、化け物から逃げている間も、必死にコンビニで買った食料を守っていたらしい。

 お湯を沸かし、買ってきたカップみそ汁を作る。

「なんだよ五郎、おでんと卵焼きで卵が重なってるじゃねえか」

「悪かったな」

「あ、うずらの卵もある。よく考えたら焼きプリンも卵だよな」

「コンビニでの買い物は慣れてないんだ」

 無意識に食べ物を選んでいると、どうしても何かに偏ってしまうのは俺の悪い癖だ。
 この前も、豚汁とブタ肉炒めで豚がダブってしまったことがある。

「コンビーフうめえ」

「おいコラ、それは俺のだ」

 なぜだかわからないが、深夜の自宅で杏子と二人、軽いパーティー状態になってしまった。

「それで、聞きたいことがあるんだが」

「ん? なんだよ」

 デザートのプリンを食べながら杏子はこちらに視線だけ向ける。
 この娘は小さい身体をしているわりに、本当によく食べる。

「こんな時間に出歩いて、ご両親は心配しないのか」

「……っ」

 一瞬、杏子の動きが止まった。

「どうした」

「別に。親はいない」

 シンプルな答え。

「ウソだろ?」

「ウソついてどうすんだよ」

「だったら、親代わりの人とか」

「そんなのもいない。アタシは一人で魔法少女やってたからな。魔力がありゃ、多少のことはできる」

 魔法少女とはいえ、中学生くらいの少女が深夜に出歩くことができるなんて、不思議だと思った。

「学校も行ってないのか?」

「そうだよ、別に行く必要ないし」

「しかし……」

「ああうるせえなあ! オメーにゃ関係ねえだろう? アタシのことなんてどうでもいいじゃねえか」

「どうでもいいって、おい」

「アンタは自分の心配してろよ。魔女を引き寄せやすい体質になっちまったんだぜ。
アフリカのサバンナでいつも首から生肉をぶらさげているようなもんなんだからな」

「それは」

 確かにそれは困る。今は、自分の身を守ることが最優先だとは思う。

 けれど。

「ああ、なんか久しぶりに動いたら汗かいちまった」いつのまにかプリンを食べ終えた杏子は立ち上がる。

「なに?」

「シャワーあるだろう? ちょっと借りるぜ」

「おい、何を勝手に」

 杏子は上に来ていたパーカーをソファの上に投げ捨て、浴室へと向かう。

「あ、そうだ」

 しかし、すぐに立ち止まり、こちらを向く。

「覗いたら両目、潰すからな」

「覗くわけないだろう」

 そう言うのはもっと発育してから言え、と思ったけれど無駄なトラブルを避けるために何も言わなかった。

 そういえばアイツ、着替えとか持っていたのだろうか?

 ふと顔を上げると、時計は午前四時。

「ああっ」

 思わず声をあげる。

 少し休むだけのつもりだったが随分時間が過ぎてしまった。

 考えて見れば仕事の途中だったのだ。

 俺は急いでデスクに戻り、仕事の続きを始める。
 今日は色々あったので、正直かなり辛いけれど、ここでやめるわけにはいかない。

 しばらくすると、シャワーを浴び終わった杏子が出てきた。

「よう五郎、仕事か?」

 ほんのりとシャンプーの良い匂いが漂ってくる。こういう匂いは久しぶりかもしれない。

「というかお前、着替え――」

 言葉が止まった。

「何着てるんだ」

「はあ? ああ、これか。ちょっと着るものがなくてさ」

 杏子の着ているのは、俺のワイシャツであった。

「俺のワイシャツ……」

「男ってさ、こういうの好きなんだろう?」そう言うと、杏子はシャツの袖を持ってクルリと一回転する。

「何勝手に着てるんだ」

「だって着るもんねえじゃん」

「だからって、俺のシャツ着ることないだろう」

 しかもよりにもよって、クリーニングから戻ってきたばかりのやつを着ていやがる。

「別に、アタシはこれから寝るから、何でもいいんだよ」

「……、ちょっと待ってろ」

 きつく言っても、多分この娘には聞かないだろう。そう思った俺は別の部屋に向かった。

「何を考えてんだ? まさか裸で寝ろと――」

「奥に女物の服があったはずだ。それを着たらいい」

「なんで五郎が女物を持ってんだよ。まさか、女装癖……」

「そんなわけあるか。前に付き合っていた女が着ていたものだ」

「なんでそれがあるんだ?」

「別れる時、俺が買ってやったものは、いらないって全部返してきたんだよ」

「へえ、バカな女だね。そりゃ」

「まあ、嫌がらせという意味では十二分に効果はあったけどな」

 女物の服など、独身の男が持っていても何の役にも立たない。
 しかもやたら高い服もあったので、捨てるに捨てられず、こうして物置の奥にしまいこむことになったわけだ。

 洋服ダンスを調べると、運がいいことにパジャマも出てきた。
 サイズは大きめだが、これから寝るだけの杏子には十分だろう。

「うおっ、これシルクじゃん」

「そうだったかな」

 なんで女にパジャマまでプレゼントしてたんだろうな。俺は昔の俺に問いかけてみる。
 けれども、答えなど返ってくるはずもない。

 杏子に服を渡した後、俺は再び仕事場に戻り仕事を再開した。



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 午前七時――

 ようやく仕事も一段落したころには、夜はすっかり明けていた。眩しい光が目を刺激する。
 この年で徹夜はキツイ。あたまがキンキン痛むのは、昨夜のトラブルのせいだろうか。

 リビングに行くと、ソファの上に毛布がかかっており、その毛布がゆっくりと上下している。

 杏子が寝ているらしい。

 俺は物音を立てないようにそっと彼女に近づいた。

 近づいたら、彼女が持っていたあの変な槍みたいなので突き刺されるのではないかと、少し警戒したけれどもうそういうことはないようだ。

 杏子は静かに寝息を立てていた。

 寝顔は本当に子どもだな。

 杏子の無邪気な寝顔を見ていると、とてもあのハエの化け物を相手に戦っていた少女と 同一人物とは思えなかった。


   *


 それから、俺と杏子との奇妙な共同生活がはじまった。

 宿なしだという杏子は俺の家に住みつき(まるで野良猫のようだ)、仕事の時は一緒に車に乗って同行することもあった。

 ただし、荷物運びを手伝うわけでもなく、時々どこかへ行っては、食事時には戻ってきて、俺にメシをたかるという具合だ。

 杏子と接触したことで俺は魔女を引き寄せやすい体質になったといけれど、最初のうちはあまり自覚症状はなかった。

 ただ、普段人が見えないようなものが見えるようになったのは確かだ。

 図鑑にも載っていないような奇妙な形の動物が空を飛んでいるが見えたりする。

「あれはなんだ、杏子」

 車を運転しながら、助手席に座っている杏子に聞いてみる。

「ありゃ魔女の使い魔だよ」

「使い魔?」

「子分みたいなもの。魔女の近くにいるやつは、魔女を守るために。魔女から離れたやつは、独自に魔力を吸収していずれ魔女に成長する」

「なんだか蟻みたいだな」

「そうか……?」

 現代社会でいえば、魔女は会社の社長といったところだろうか。

 そして、使い魔は会社の従業員。

 俺は差し向き、主人から離れた、あの空にふわふわと浮かんでいる野良の使い魔と同じような存在なんだろう。

「狩らなくていいのか?」

「なにが」

「いや、使い魔だよ。使い魔も成長すれば魔女になるんだろう?」

「別に……、面倒だからいい」

「なんだって?」

「使い魔は弱いし、大して害も出ないさ。それに、“アレ”も持ってないから狩るだけ無駄」

「アレって、なんだ」

「ん……、まあいずれわかるさ」

 そう言うと杏子は、お菓子の包みを破り、スナック菓子を食べ始めた。


   *


 杏子と行動をともにするよになってから数日、時々使い魔が出現する程度で、最初に会った時のような巨大な「魔女」と遭遇することはなかった。

 魔女を引き寄せやすいというだけで、必ず魔女を引き寄せる、というわけでもないようだ。

 これで本当に彼女と一緒にる意味があるのだろうか。

 杏子は仕事の手伝いもせず、すっと一緒にいるだけなので凄くつまらなそうだ。
 商談で、2・3時間もかかれば、文句を言ってくる。
 こちらは仕事なのだし、これで食費(もちろん杏子の分を含む)を稼いでいるわけだから文句を言われる筋合いはないはずだ。

 俺は本当に、魔女を引き寄せやすい体質なのだろうか?

 そんな疑問が浮かんできた。

 思えば、最初のうちはあの恐怖の記憶が鮮明に残っており、多少なりと緊張しながら過ごしていたけれど、時間が経つにつれて、少しずつ忘れてきていたのかもしれない。



 そしてある日、杏子は「ちょっと用事を思い出した」と言って仕事先からどこかへ行ってしまった。

 正直俺も、杏子の文句にうんざりしていたので久しぶりに解放された気分になる。

 その日、俺は浅草にいた。

「ああ、そう言えば腹が減ったな」

 いつもなら昼時に、杏子がメシを食べに行こうと言うので、それで昼食を食べていたのだが、この日は彼女がいなかったためか、食事を食いそびれてしまったのだ。

 あいつは俺の時計か?

 いつの間にか自分の生活のサイクルの中に組み込まれてしまった杏子の存在を思い、俺は苦笑する。

 それにしても腹が減った。

 そんな時、以前客の女性から聞いた甘味屋のことを思い出す。

 浅草のある店にある「豆かん」というものが美味いらしい。
 豆かんとは、豆とカンテンだけの実にシンプルな食べ物だ。

 酒の飲めない自分は、甘いものに目がない。特に和菓子系の甘いものが好物である。

 いつしか俺の足は、話に聞いていた甘味屋に向かっていた。

 甘味処なら、お雑煮とか煮込みうどんとかあるだろう。
 それで腹を満たしつつ、デザートにオススメと言われた豆かんをいただく。

 ふむ、完璧なスケジュール。

 そんなことを考えながらしばらく歩くと、店の前に「高級甘味」書かれた例の甘味屋を発見した。

 甘味屋でありながら男一人で入っても違和感がない。そんな雰囲気の店だ。

 いかにも甘味って感じの店は、男一人では入り難いからな。

 のれんをくぐると、店の主人が声をかけてきた。

「いらっしゃい」

 店はそれほど広くなく、カウンターと座敷のテーブルがいくつかあるだけである。
 客はわりと入っていたけれど、満席というほどでもなく、ほど良い混み具合といった感じだ。

 俺はカウンターに座り、そこに置いてあるメニューを見た。

 さて……、何にするか。うんうん、どれもこれも食ってみたいが……、
 とりあえず空腹を満たすののが先決だ。

 俺は焦る気持ちを抑えるように、メニューを眺める。

「ん?」

 なんだ、この「煮込み雑炊」ってのは。うん、よしこれだ。これはいい。

 雑炊とは気がきいているじゃないか。

「スイマセン、この『煮込み雑炊』をひとつください」

「あ……、ごめんなさい。それ、先月までなんですよ」

「……」

「ごめんなさいね」

 がーんだな。出鼻をくじかれた。

「じゃ……、この『煮込み雑煮』を」

「ですからごめんなさい。お雑煮も先月までなんですよ。冬場だけのメニューでしてどうも」

「……」

 とほほ。結局、腹にたまるものはなかったわけだ。
 モチを使ったメニューもあるけれど、一人前では物足りない。二皿注文するもの何だし。

 かといって、今から店を出てどこかで食って戻ってくるのもおかしい。

 ここはさっと食って、別の店でドスンと何か食うか。

「じゃ、豆かんください」

「ハイ、豆かん一丁」

「ハイ」店の主人の奥さんらしい女性が返事をした。

 それにしても腹が減ったな。
 俺はお茶を飲みながら空腹を誤魔化そうとしたけれど、俺の空腹はその程度でごまかせるレベルではなかったようだ。

「ハイどうも。お待ちどうさま」

 豆かんはすぐに出てきた。

 豆かんとは、豆とカンテンを黒蜜で味付けした実にシンプルなものだ。

 一口食べて驚く。

 これは美味い……!

 豆とカンテンだけなのに、どこまでも食べ飽きない。

 ああ、美味い。

「隣、よろしいですか?」

「ん?」

 豆かんに夢中になっているところで、誰かが声をかけてきた。

 顔を上げると、どこかの学校の制服を着た中学生か高校生くらいの少女がこちらに声をかけてきたらしい。

「隣……」

「ああ、どうぞ」

 俺はそう言って、椅子を少しずらす。

 不思議な雰囲気の少女だった。大人っぽくもあるけれど、幼い面影も残している。
 
「私も豆かんひとつ」

「ハイ」

 少女は俺と同じ豆かんを注文する。

「ここの豆かん、美味しいですよね」

 ふと、少女はそう言って俺に笑いかけてきた。

「あ、うん。……そうだね」 

「へえ、そういう反応」

「ん?」

「いえ、何でもありませんよ」

 少女は、何かを誤魔化すような仕草で、口元に手を当てた。

 クルクルと巻いた長い髪の毛を見ていると、なんだか「ごきげんよう」とか言うお嬢様学校を想像してしまう

 中学生なのか?

 俺は少し気になった。しかし、見ず知らずの女子中学生に色々と聞くほど、俺は勇気を持ち合わせていない。

 俺は、何か心に引っかかるものを残しつつ、店を出ることにした。

 店を出てもまだ空腹は収まらない。

 どこかに食べるところはないかな。そう思ってウロウロしていると、不意に見覚えのあるパーカー姿の少女が目に入った。

「杏子か?」

「五郎……」

 間違いなく、佐倉杏子であった。

「どうした、こんなところで。用事はどうした」

「メシ」

「ん?」

「アタシ、昼飯、食いそびれちまってさ、それで……」

「そうか、それじゃ」

「ん?」

「オムライスでも食いに行くか」

「本当か?」

「実は俺も、昼飯を食いそびれた」

「なんだよ、五郎はわりとおっちょこちょいだな」

「そうかな」

 嬉しそうな顔をする杏子を見て安心する自分がいる。

 どうしちまったんだろうな、俺は。


   *

 
 自分が魔女を呼び寄せる特別な体質である。俺はそう言われたことに疑問を抱きはじめていた。 

 しかし、浅草の甘味屋で、謎の美少女と出会った翌日。俺は再び魔女と遭遇することになる。

 この日、俺は商談が長引いたので、杏子を先に帰らせることにした。
 ここ最近、まったく魔女が出てきていなかったので、油断していたのかもしれない。

 駅から自宅へ戻る途中、早くも忘れかけていた嫌な感覚を思い出してしまう。

「この感じ、まさか」

 周囲の光景が変わる。間違いない。魔女だ。

 俺の脳裏に、あの巨大なハエの化け物が思い浮かぶ。

 杏子は今いない。くそっ、こんな時に。

 周囲から使い魔どもが浮かび上がってくる。しかも今度の使い魔は、街で見た野良の使い魔よりも攻撃的だ。

「くそっ」

 俺はカバンを持ったまま走りだす。こんなところで留まっていたら奴らの餌食になってしまう。

 しかし――

 俺は走って魔女から逃げようとしたけれど、結界の中で感覚が狂ったのか、俺は魔女から離れるのではなく魔女に近づいていた。

 巨大で赤い二つの光が闇から浮かび上がってくる。

「ベルゼブブ……」

 俺が名付けた魔女の名前。ハエの頭と羽根、そして獣の身体を持つそれはとにかくでかい。そして嫌悪感を抱かせる。

「くそっ」俺は踵を返し、逆方向へと逃げようとする。

 しかし、目の前で使い魔と思しきコバエがぶんぶんと飛び回り上手く進めない。

 地面が揺れる。

 背後からドスンドスンと、巨大なものが近づいている音が聞こえる。

 逃げないと――

 自分の力ではどうすることもできない現実。

 杏子……!

 俺は初めて、心の底から彼女を必要だと思ってしまった。



「そこまでよ――」


 誰かの声が聞こえた。それと同時に俺は身を屈めた。

 すると、俺の周囲にいる使い魔どもが弾けて消えてしまった。

 何があった?

「危ないところでしたね。早くこちらへ」

 ふと、闇の奥から人影が見える。

 杏子か?

 いや、杏子にしては少し背が高い。

「誰だ……?」

「昨日会いましたね、井之頭五郎さん」

 間違いない。昨日、浅草の甘味屋で俺の隣に座った少女だ。
 しかもあの時のように学校の制服ではない。

 黄色を基調とした派手な服装は、まるで杏子と同じ……、


 魔法少女――


「なぜ、俺の名前を」

「それについても、色々話をしたいのですけど……」

 少女は言葉を切る。

「まずは、一仕事」

 黄色い服の少女はさっと右手を振る。すると、地面にいくつもの銀色の銃が突き刺さっていた。
 映画でしか見たことがないような、マスケット銃だ。

「早く、私の後へ」

「あ、ああ」

 俺は駆け足で、彼女の後方へと向かう。

 振り返ると、巨大なハエの化け物がいて、その周囲には無数の使い魔がたかっていた。

 これを倒すのは、杏子でも難しそうだ。

「いくわよ」

 少女はマスケット銃を手に取り、それを片手で撃つ、撃つ、撃つ。撃った銃はその場に捨てて、また新しい銃をとって撃つ。
 撃っては捨て、また撃っては捨てる。

 銃の精度は良く、ほとんどの弾が使い魔に命中しており、弾が直撃した使い魔は空中で爆発して、消えて行った。

「ぬわっ」

 何匹かの使い魔が弾幕をかいくぐってこちらに接近してくる。

 これは不味いかもしれない。

 そう思った瞬間、

「せいっ!」

 黄色の服の少女は、見事な回し蹴りで文字通り使い魔を“一蹴”した。

「近接戦闘だってできるんだから」

 周囲の使い魔を駆逐した彼女は、再びマスケット銃を現出させる。

 そうこうしているうちに、ベルゼブブの周囲にはほとんど使い魔がいなくなってしまった。

「グオオオオオオオ」

 使い魔を失って焦っているのか、ベルゼブブは吠える。
 そして、ドクロの紋様のある半透明の羽根を大きくばたつかせた。

「ぐふっ」

 まるで台風か竜巻のような物凄い風が周囲を襲う。

 俺も風でよく前が見えない。

 しかし、俺の目の前で戦う少女はひるまなかった。

「そんなのは子どもだましね。佐倉さんにやられたキズ、まだ治っていないようじゃない?」

 佐倉? 杏子のことか?

 次の瞬間、彼女の前に巨大な大砲のようなものが出現した。

「これでトドメよ」

「え?」

「大丈夫ですよ、五郎さん。すぐに終わらせますから」そう言って、彼女は軽くウインクした。



「ティロ・フィナーレ!!」



 少女の言葉とともに、大砲から巨大な光、それに衝撃波が発せられる。

「うおわ!」

 ベルゼブブの起こす風など比べ物にならないほどの衝撃だ。

 そして、周囲の後継が壊れる。

「これは……」

 結界が、なくなっていくのだろうか。壁が崩れて行くと、そこには見覚えのある街並みと、夜空が見えてきた。

「ああ……」

 言葉にならない、とはこのことだ。

 俺は、いつも電車を使う時は通っている歩道にいた。

「おどろかせてしまってごめんなさいね」

 誰かが俺に近づいてくる。

 先ほどの、魔法少女の姿ではなく、昨日見た学校の制服を着た少女がそこにいた。

「あらためまして、井之頭五郎さん。私は、巴マミと申します」

「キミも、魔法少女なのか?」

「ええ」

 巴マミと名乗る少女は、そう言って笑顔を見せた。


   つづく


   【次回予告】

 突然現れた巴マミという名の魔法少女。
 彼女の目的はなんなのか。
 そして、同じ魔法少女である佐倉杏子は何を思う。

「なんだよ五郎、その女は。アタシというものがありながら!」

「その誤解を生むような表現はやめろ」


「あなたでは、きっと彼のことを守り切れないと思うわ。だってあなたにとって、五郎さんは、
魔女を狩るための手段(ツール)でしかないのだから」

 次回、孤独の魔法少女グルメ☆マギカ

 第三話、嫉妬~後編~
 
 見てください。



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