孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~ 第八話 憂鬱 ~前編~

2011年11月06日 20:09

孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~

275 :◆tUNoJq4Lwk[saga]:2011/06/06(月) 20:39:05.67 ID:DVwpjUl1o


   第八話 憂鬱 ~前編~


 俺と杏子が都内某所で名も知らぬ魔法少女に襲われたあの日から数日後、俺たちは自動車に乗って群馬県へと向かっていた。

 群馬県の見滝原という場所に、キュゥべえの言っていた「鹿目まどか」という少女がいるという情報を掴んだからだ。

 群馬県に行くということで、この日はいつも俺が乗っているボルボではなく、アウディA8の防弾装甲仕様車、「A8Lセキュリティ」を借りて、それを運転している。

「群馬県……、大変な場所ね」

 後部座席に乗っているマミが携帯電を眺めながらつぶやく。

「何が大変なんだよ」隣に座る杏子が聞いた。

「群馬県は非常に危険な所よ」

「危険?」

「あそこは日常的にライフルやライフル弾が売買されているし、対戦車火器や携帯式対空ミサイルなんかも出回っているって話よ」

「はあ?」

「都市部は比較的安全だけど、農村部や山間部では匪賊の活動が活発で、政府の車両や施設などがしょっちゅう銃撃されているらしいわね。
 住民も、自衛のためにライフル等で武装しているから各地で銃撃戦が絶えないわ」

「そこって、日本なのか?」

「群馬県よ」

「すげえな群馬県」

「ソマリアかシオラレオネ並みの危険度があるから注意しなさい」
 
「携帯電話通じるのか?」

「群馬県では、都市部以外で有線通信をすると、通信線を盗まれてしまうから、逆に携帯電話や無線通信の技術が発達したそうよ」

「なるほどねえ」

 そうこうしているうちに、群馬県の県境付近に到着した。

 県境では、89式小銃で武装した県境警備隊が俺の身分証を確認する。

 県境を抜けると、道のすぐ近くには「危険、山間部への立ち入りを禁ず」とか「この先地雷原」などという看板がいくつも見られた。
 すでにここは群馬県なのだ、ということをいやが上にも感じさせられる。

「お前ら、ちゃんとシートベルトしろよ」

 俺は後ろの二人に呼びかける。

「なんだよ、高速道路でもないのに」杏子は文句を言ってきた。

「ちゃんと閉めておきなさい。あと、ここからはあまりお喋りはしないほうがいいわね」それをたしなめるマミ。

 俺は二人がポップコーンなどを持っていないことを確認してからアクセルを踏み込んだ。

「うわっ!」

 通常の道ならスピードを出し過ぎると危ないのだが、ここは群馬県だ。むしろスピードを出さないほうが危ない。

 ノロノロ走っていたら匪賊の餌食になってしまう。


 こうして俺たちは、約1時間かけて「前橋都市群」へと到着した。


   *



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 群馬県では通常の都道府県と違い、各都市が集まって都市群を形成しており、そこで行政や治安の維持などを行っている。

 前橋都市群は旧前橋市を中心とした都市の集まりだ。
 俺たちの目的地である見滝原はそんな都市群の中の一つで、主に情報通信技術が発達している地域であると聞いている。

 見滝原の近未来的な街並みは、技術力の高さとその技術から生み出される豊かさの象徴なのだろう。
 とても数十キロ先には、リアル世紀末状態の密林や荒野があるとは思えない。

 車をホテルの駐車場に止めた俺たちは、早速情報収集のために市街地へと出た。

「そんで、手掛かりはあるのか五郎」

 ショッピングモールのカフェテリアでジュースを飲みながら杏子は聞いてくる。

「鹿目まどかの一応のプロフィールは調べてある。ただ、具体的な住所まではわからなかった」

「どうすんだよ。直接学校に問い合わせるか?」

 しかし杏子の提案をマミは止める。

「待って杏子。直接中学校に言った所で取り合ってくれる可能性は低いわ。私たちはその鹿目さんという人と何の接点もないのよ」

「ふむ、確かに……。あと気になる情報があるんだ」

 俺は鹿目まどかに関する情報の書かれた紙をスーツの内ポケットに入れながら、同行の二人に報告をする。

「なんだ?」

「なあに、五郎さん」

「実はこの街にはすでに魔法少女がいるらしい」

「なんだって?」

「それは不味いわね……」マミが少しうつむいて考え込む。

「どういうことだよマミ」

「よく考えてごらんなさい、杏子。もしも、あなたがここで狩りをしている魔法少女だとして、他所者が入ってきたらどう考えると思う?」

「ああ、狩り場を横取りに来た、とか」

「そう。そういう誤解を受ける危険性があるわね」

「五郎、この街の魔法少女に関する情報はないのかよ」

「残念ながらそれはわからない。知り合いの探偵も、魔法少女に関しては専門外だからな」

「だったらキュゥべえはどうなんだ? あいつなら教えてくれるんじゃ」

「あいつはいない。連絡方法もわからない」

「いつも、勝手に出てきて勝手にどこかへ消えているからわからないわねえ」マミも困り顔だ。

「くそう、肝心な時に……!」

「とりあえず魔法少女に関しては後回しだ。俺たちは鹿目まどかを探そう。こちらのほうが身元もしっかりしているからな」

「って、鹿目まどかってどんな奴なんだ?」

「見滝原の制服を着ている生徒に、『鹿目まどかさんを知っていますか』って聞いたらいいじゃないかしら」

「まあ、名前だけ知ってりゃいいか。鹿目って、結構珍しい苗字だし」

「そうだ、とにかく今は鹿目まどかだ」

「……あのう」

「ん?」

 誰かが話しかけてきた。

「すみません」

 俺は杏子とマミの両方の顔を見る。どちらも俺の顔を見てキョトンとしている。

「あの、私に何か用でしょうか」

「え?」

 声のした方に、俺たちは一斉に顔を向ける。

「あ……」

 そこには、やや長めの髪を二つに束ねて赤いリボンを結んだ中学生くらいの少女が立っていた。

 制服は、見滝原中学の制服だ。

「鹿目まどかさん?」俺は聞いた。

「はい。そうですけど」

「いたー!」杏子が急に立ち上がる。

「ひっ」

「静かにしろ」俺は杏子を押さえつけた。

 するとマミがすかさず鹿目まどかの前に立つ。

「驚かせてごめんなさい。私たち、東京から来たの。私は巴マミといいます。あなたが、鹿目まどかさんね」

「……はい」

 どこにでもいそうな普通の中学生だ。

「このスーツの男性は井之頭五郎さん。そして、こっちの気の強そうな女の子が佐倉杏子よ」

「はあ……」

「実は私たち、あなたに用があってきたの」

「東京の方が、私に何の用でしょうか」

「これに、見覚えがある?」

 そう言うとマミは、自分の指にはめている指輪をソウルジェムの形に変える。

「これは、ソウルジェム……?」

「ええ、そうよ」

「アタシも持ってるぜ」

 そう言って杏子も自身の赤いソウルジェムを出して見せた。

「あなたたち、魔法少女なんですか?」

「そうよ」

「そこの男の人も?」

「……いや、俺はただの保護者だ」

「そうなんですか」

 マミは話を続ける。

「あなた、魔法少女のことは一通り知っているみたいね」

「はい、キュゥべえから色々と聞いていたので……」

 それを聞いて杏子が身を乗り出す。

「なら話は早いな」

「待て杏子」

 俺は杏子を抑えた。

「んだよ」

「ことを急ぐな」

「だって本人が目の前にいるんだぜ」

「ちょっと黙ってろ」

 俺は鹿目まどかの顔をじっと見た。

 どこからどう見ても普通の女子中学生だ。

 とても宇宙のルールを変えるほどの力があるとは思えない。何かの間違いではないか?

「え? あの……、私に何か」

 不安そうな表情でまどかが聞いてくる。

 俺は確かに杏子やマミを救おうと思っている。
 だからといって、彼女のような子どもを魔法少女にさせてしまっていいのだろうか。

「キミは、まだ魔法少女にはなっていないんだよね」

「はい……。でも……」

「でも?」

「これから魔法少女になろうかと思ってるんです、私」

「え?」

「なに?」

 杏子とマミが身を乗り出す。

「お前たち、落ち着け」

「ごめんなさい」

「悪い」

 そう言って二人は座り直した。

「鹿目さんだったね。キミはどうして魔法少女になろうと思ったんだい?」

「あの……、今、私の友達が大変なことになっていて。彼女を元に戻そうと思ったんです」

「元に戻す?」

「はい。私の友達、美樹さやかちゃんっていうんですけど。彼女、魔法少女なんです」

「……!」


   *


 その後、俺たちは鹿目まどかから、美樹さやかに関する詳しい話を聞いた。

 美樹さやかはまどかの親友であり、またまどかと同じように魔法少女になる才能を有していたらしい。

 彼女には、幼馴染でヴァイオリニストの上条恭介という男の子がいた。
 けれども、彼は交通事故で大けがをしてしまい、指が動かなくなってしまったらしい。そこで、さやかは上条恭介の手が治ることを願い、キュゥべえと契約した。

 しかし話はここで終わらない。

 さやかの契約によって奇跡的に怪我が治った上条恭介は、無事に退院したのだが、さやかではなく別の女子生徒と恋愛関係になってしまったのだ。

 そのことにショックを受けたさやかは、自暴自棄になり急速に心を壊して行ったという。

「バカな女だね、そいつ……」

 まどかの話を黙って聞いていた杏子は、開口一番そうつぶやいた。

「そんな、さやかちゃんはただ、上条くんのことを思って」

「でもその思いは、男には通じなかったってことか?」

「それは……」

「杏子――」俺は思わず声を出す。

「わかってる」

 しかし杏子は俺の言葉を制止した。

「わかってるよ五郎……」

 そう言って杏子はひと呼吸置く。

「なあ、まどかっていったな」

「え? はい」

 杏子がまどかの顔をじっと見つめる。

「助けてやるよ。そのさやかって友達を」

「え?」

「助けてやるっつってんだよ。同じ魔法少女としてな」

「本当ですか?」

「ああ。全て元通りってわけにはいかねえけど、このまま壊れさせやしねえさ。そうだろう?」

 そう言って俺たちのほうを見る。

「もちろんよ」マミは即答した。

 俺は少し考えたが、やはり答えはマミと同じだった。

「当然だ。必ず助ける。ここで終わりにはさせない」

「そういうこと。そんじゃ、とりあえず顔写真とか持ち物とか、手掛かりになりそうなものは全部教えてくれ」

「はい」

「ケータイのアドレスと番号、教えておくから何かあったらすぐ連絡な」

「わかりました、えーと、佐倉さん?」

「杏子でいいぜ」

「え?」

「キョーコ」

「杏子さん」

「さん付けとかやめてくれ。柄じゃない」

「じゃあ、杏子ちゃん」

「……まあいっか」

 成り行きではあるけれど、俺たちの美樹さやか捜索は、こうして開始されたのだった。


   *


 市内の公園――

 俺と杏子は、噴水の前のベンチに腰かけていた。

 マミは情報収集を兼ねた買い物に行っており、俺たちは公園で待つことにしたのだ。
 本当は手分けして探したほうがいいのかもしれないけれど、この街にはやたら魔女の気配がするので、安全のためにまとまって行動することにすることにしている。

「なあ杏子」

「なんだよ」

「どうしてその、鹿目まどかの友達を助けるとか言い出したんだ?」

「意外か?」

「まあ、マミならともかくお前が言うとは思わなかった」

「そうかもな」

 そう言うと、杏子はまどかから貰った美樹さやかの写真を高く上げて眺める。

 写真には、短めの髪型の活発そうな少女が、まどかと一緒に写っていた。

「この美樹さやかって女」

「……ん?」

「幼馴染を助けるために、キュゥべえと契約したんだよな」

「そうだな」

「その幼馴染のこと、好きだったから」

「ああ……」

「ちょっと、アタシと似てるかな」

「……、なに?」

「あ、焼き餅?」

「いや、そういうわけじゃ」

「やっぱ女は、男に嫉妬されるくらいじゃないとダメだよなあ」

「……」

「怒った?」

「別に……」

「アタシはね、家族のため、特に父親のために願ったんだ」

「父親……」

「でも結局上手くは行かなかった。家族は崩壊し、アタシは一人きり。だからさ、もう他人のためじゃなくて、自分のために生きよう、そう思ったのさ」

「……そうなのか」

「その美樹さやかって子が、アタシみたいに切り替えができればよかったんだけどさ。実際は違うんだろうな。人はそう簡単に切り替えなんてできやしない。

 まあ、アタシだって、五郎と出会ってなかったら今頃……」

「杏子?」

「なんて、冗談」

「冗談、か」

 杏子の目を見ていると、冗談を言っているようには見えなかった。

 しばらくすると、マミが買い物から戻ってくる。

「二人とも、オヤツ買ってきたわよ」

 マミの手には紙袋が握られていた。

「おお、なんかいい匂いがするな」杏子は身を乗り出す。

「よいしょ」

 そう言うとマミは、俺と杏子が座っているベンチの真ん中に座った。

「おい、なんでそこに座るんだよ」

「あら、杏子は今まで五郎さんを独り占めしていたんだから、今度は私に譲ってくれたって
いいでしょう?」

「そこは指定席なんだよ」

「オヤツ、あげないわよ」

「……ちょとだけだぞ」

「よろしい」

 マミはそう言うと、片目を閉じて笑顔を見せた。

「はい、どうぞ」

 マミは、紙袋からやや大きめな、モチのようなものを出す。

「なんだ、これ」

「焼きまんじゅうですよ。表面に味噌が塗ってあるらしいですから、こぼさないようにね」

「焼きまんじゅうか……」

 焼きまんじゅうというのは、群馬県内ではわりとメジャーな庶民のオヤツらしい。

 ただ、実物を食べるのはこの日が初めてだ。

「おお、意外と甘いな」

 マミの隣に座る杏子が、さっそく食べて足をばたつかせていた。

「じゃ、俺もいただきますか」

 包みから出して一口食べる。

「これは……」

 甘い。味噌だれが甘い上に、中に餡子まで入っているから余計に甘い。複雑な甘さだ。
“スゴイ甘い”と言ってもいい。

 見た目からして、ちょっとは塩味が効いているのかなと思っていたから、この甘さは余計に俺の舌を刺激した。

 なんだかお茶が飲みたくなる食べ物だ。それも思いっきり渋いお茶が。

「ねえ、五郎さん」

「ん?」

「口、ついてますよ」

「あ、そうか?」

「動かないで」

 マミは、ハンカチを取り出して俺の口元をぬぐう。

「……」

 これはちょっと恥ずかしい。

「それで、美樹さやかさんのことなんですけど」

「ん? ああ。そのことか」

「杏子はああ言っていますけど、勝算はあるんですか?」

「勝算?」

「本当に、彼女を助けられるんでしょうか」

「魔法少女から元の人間に戻す、という点では今の俺たちでは無理だ。ただ……」

「ただ?」

「壊れゆく時間を、少しでも先に引き延ばすことくらいは、出来ると思う」

「それが根本的な解決にならなくても?」

「今、俺たちに出来ることはそれくらいしかない。だから、出来ることに全力を尽くそうと思う……」

「五郎さん……」

「ん?」

「あなたはやっぱり、私の見こんだ通りの人ですね」

 マミは俺に身体を寄せ、肩にもたれかかった。

「おいマミ」

「ふふふっ」

「あー! マミ、そこまでは許してねえぞ!」

「あらあら。早い者勝ちよ」

「なんだそりゃあ!」

「ああ、うるさいぞ。とにかく出発だ」

 その後、俺たちは夜遅くまで美樹さやかを探して歩き回った。

 鹿目まどかから貰った写真を頼りに、人の集まりそうな場所を探してはみたけれども、なかなか彼女につながるような手掛かりはなかった。

 普通の人間と違って、魔法少女は食物による栄養を補給する必要がないという。

 だがそうなると、生命維持のために魔力を消費する。
 魔力を消費すると、ソウルジェムに穢れがたまり、魔女化への時間を加速させてしまうらしい。

 時間がない。

 恨みはさらなる恨みを呼ぶ。

 恐らく一度呪いを集め始めると、後は雪だるま式に集まってしまうだろう。


   *


 夕食を食べ終えた後も、しばらく捜索を続けたけれど、結局本人はおろか手掛かりさえ見つからなかったため、そろそろホテルに戻ろうかと考えつつ、公園で休憩することにした。

「ああ、疲れた」

 公園のベンチに深く腰掛けた俺は、空を見上げた。

「だらしねえぞ、五郎」杏子はまだ元気そうだ。

「ダメよ杏子。五郎さんは普通の人間なんだから。無理をさせちゃ可哀想よ」マミも元気そうだった。

 普通の人間、か。

 魔法少女というのは、本当にタフだ。
 いや、命がけの戦いをしているのだから、タフでないとやっていけないのだけれど。

「そろそろホテルに戻ろう。今日は一旦切り上げだ」

「……しょうがねえな」

「そうね。疲れた状態で探しても仕方がないわ」

 空を見ると、いくつか星が確認できた。

 プラネタリウム、というほどではないけれど、東京よりはそれなりに星が見える。

「はあ……」

 一息つく。溜め息をつくと幸せが逃げる、と誰かが言っていた。しかし疲れた時はどうしてもついて
しまうものだ。

 そんなことをぼんやりと考えていた時、背中に悪寒が走る。

「杏子! マミ!」

「え?」

「なに?」

 二人は気づいていないのか?

「何かくる!」

 自分は魔女を呼び寄せやすい体質。

 そのためなのか、最近は魔女の存在にやたら敏感になってきているのだ。

 公園の水銀灯に照らされて、粉のようなものがキラキラと光っている。

「あ!」

 どうやら、巨大な蛾の化け物がすぐそこまで接近していたらしい。

 それほど強大な魔力は感じなかったため、おそらく魔女の使い魔だろう。
 それでもかなりの呪いを吸っていたようで、大分成長している。

「マミ!」

「了解」

 マミは素早く魔法少女に変身すると、すかさずマスケット銃を現出させ、蛾の怪物に向かって発砲する。

 しかし本体には当たらず、光る鱗粉が舞い散るだけであった。

「下がってな、アタシが処分してやんよ」

 杏子も魔法少女に変身し、槍を構える。

 大きく旋回した蛾の化け物がこちらへと向かう。

 相手は確かにデカイが、今の杏子の敵ではないだろう。俺にはそんな確信があった。

 しかし、杏子の前にくる直前に、


「ギャシャアアアアアアアアアア」


 蛾の化け物は真っ二つに斬られてしまった。

「杏子?」

「アタシ、何もしてないぞ」

「なに?」

 杏子が攻撃する前に、蛾の化け物は誰かにやられていた。

 一体どういうことだ。


「……魔法少女?」

 暗闇の中から声が聞こえた。

 まさか――

「まさかこいつが……」杏子は身構える。


 暗がりから出てくる、髪の短い少女。青を基調とした服を着た彼女の姿は、まさに魔法少女であった。

 しかし、全身からはまるで魔女のように禍々しい空気を出している。杏子やマミたちとはまるで正反対の空気。

 呪いを集め出したというのは本当らしい。

 彼女の出す瘴気にやられて頭がクラクラしてきそうだが、それでも俺は勇気を振り絞って声を出した。

「お前が、美樹さやかか!?」


「……だれ?」


 ゆらりと、まるで幽鬼のように動く身体。
 そして彼女の右手には先ほど使ったとみられる片手剣が、公園の外灯に照らされて怪しく光っていた。


   つづく


  【次回予告】

 はあい、元気?

 鹿目詢子だよ。元気がないな、諸君。恋をしているかい?

 今日も元気に働いてお酒を飲む。

 私は実に幸せ者よ。

 さて、次回はまどかの友達が大変なことになるようだね。

 どうなることやら……。

 それじゃ、次も見てちょうだいね!


   【解説】

  ● 群馬県

 日本のソマリアと呼ばれるほど治安が悪い場所。

 AK47やRPG7、それに84ミリ無反動砲カールグスタフなどの個人携帯用火器が普通に流通している。

 某アニメに出てきた「防弾跳び箱」は群馬県のとある企業が製造している。

 伝統的に米の収穫が難しい地域だが、地雷原の拡大により、余計に耕作が難しくなっているようだ。

 県中央部では異常に科学技術が発達しており、近未来都市を形成している。
 なお、県民の所得格差は全国平均の500倍以上とも言われている
(山間部は治安が悪すぎるため、正確な調査ができない)。

 また、群馬県の男性は茨城県や匪賊との抗争に備えて、県境警備隊に徴集される可能性が高い。
 このため、従軍義務のない女性の社会進出が進んでおり、主要産業の多くは女性が支えていると言っても過言ではない。

 男性は普段、ホストとか専業主夫とかをやっている者が多い。



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