孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~ 

2011年11月11日 19:55

孤独の魔法少女グルメ☆マギカ~井之頭五郎と魔法少女の物語~

506 :◆tUNoJq4Lwk[saga]:2011/06/12(日) 18:31:56.26 ID:yodFAbRko


   エピローグ


 不思議な夢を見た。

 そこには俺がいて、俺の周りに十代くらいの少女たちが集まり談笑している。

 実に楽しそうな光景ではあるけれど、そんな状況はありえない。

 俺には子どもはいないし、結婚すらしていない。最後の恋人と別れてもう数年になる。
 ずっと一人だったはずだ。

 学校の教職員でもないかぎり、こんな風に子どもたちに囲まれているということはない
だろう。

 一人の少女が笑いかける。長い髪を後ろに束ねたその少女は、ちょっと生意気そうだけれども、とても癒される笑顔を見せていた。

 ふと、バニラエッセンスの香りがした。

 夢の中でも匂いは感じるんだな。


 いつもより早い朝。
 変な夢を見たり、早起きをしてしまったりしたのは、慣れないホテルの枕が悪かったからだろうか。

 この日、俺は仕事のために群馬県になあるホテルに泊まっていた。
 多忙な顧客に合わせて、朝早く商談を行うために、こうして前日に現地入りしていたのだ。

 しかし起きる時間が早すぎた。
 せっかく、前日入りしたのだからもう少し寝ていたかったのだが、なぜか眠れなかった。

 仕方なく、俺は着替えをして朝の散歩をすることにした。

 季節は春。

 冷たい空気が心地よい。

 今年は例年に比べて春の気温が低く、群馬県内では桜の開花が遅れたというニュースを聞いたことがある。

 だがそのおかげで、俺は満開の桜を見ることができた。

 東京の桜よりも、やや赤みがかった花びらを散らせた桜並木を俺はゆっくりと歩く。

「おはよー」

「花、きれいだね」

 中学生らしい制服姿の生徒たちが何人も見えた。
 どうやらここら辺りの道は、学校の通学路になっているらしい。

 この先に中学校があるのか。

 俺は元来た道を引き返すことにした。

 学校は今の俺にはまったく縁のない場所だ。これまでも、そして恐らくこれからも。

 前を見ると、制服を着た二人組の女子生徒が歩きながら話をしている。

「昨日もちょっと話したけど、新しく来た転校生が、ウチの部活に入りたいんだって」

「確か、あの下の名前みたいな苗字のやつだよな」

「そう、苗字がアケミで、下の名前がホムラ」

「なんで、ウチの部活に」

「パスタしか作れないから、色々な料理を習いたいんだって」

「ウチはうどんかお菓子しか作らねえけどなあ」

「これを機に、新しいものを作らせてもらいますか。ハハハ」

 女子生徒の一人は、長い髪を後ろで束ねており、もう一人は短めの髪だった。

 どこにでもいるような、普通の中学生。

 そんなことを考えながら彼女たちとすれ違った時、


 ――バニラエッセンス?


 バニラの香りをさせる少女を、俺は知っていたような気がする。


 俺は立ち止まった。


「どうしたの、キョウコ」

「あ、いや……」


 もしも、俺がここで振り返ったら、彼女も振り返る。

 なぜか知らないけれど、そんな確信があった。
 けれども、名も知らぬ少女と相対して、何と声をかければいいのだろう。

 俺は心の中で踏みとどまる。



 俺たちは、出会ってはいけない――



 なぜかわからないけれど、そんな思いが頭の片隅に残っていた。

 心地よい春の陽だまりなんて、俺には似合いませんよ。

 再び俺は歩き出す。さて、そろそろ頭を仕事モードに切り替えなければ。

「ふにゃあ!」

 他所事を考えていると、何かが俺の胸、というか腹の辺りに当たった。

「なに?」

 俺の目の前に、尻餅をついた女子中学生らしき少女がいた。
 やや長めの髪の毛を左右に縛った髪型に、赤いリボンを付けた姿がやけに印象的だった。

 どうやら、考え事をしている俺とぶつかってしまったらしい。

「だ、大丈夫か」

「平気です。ゥェヘヘヘ」

 俺は少女の華奢な手を引いて、助け起こした。

「ごめんなさい、単語帳見ながら歩いてたもので」

「いや、いいんだ。俺も少し考え事をしていて」

 少女が、パンパンとお尻の辺りを払っていると、俺の後ろから誰かが声をかけてきた。

「おおい、まどか。何をやってんだよ」

「あ、キョウコちゃん。おはよう」

「おはようじゃないだろう、人にぶつかっておいて」

「えへへ」

 俺の目の前には、もう一人の少女が現れた。

 さっき、俺とすれ違った少女の一人だ。

「キミは……」

「ん?」

 俺は、そのキョウコと呼ばれた少女に何と声をかけていいのかわからなかった。

「うーん、友達が迷惑かけたな」

「いや、別にそんなことは……」

 俺と向かい合ったその髪の長い少し気の強そうな少女は、少しだけ考えた後に、なぜかお菓子の箱を取り出して俺に差し出す。

「なに?」

 箱には、数本のポロツキーが入っている。

 それを差し出した状態で、彼女は唐突に言った。


「……食うかい?」



   お わ り




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514 : ◆tUNoJq4Lwk[saga]:2011/06/12(日) 19:23:19.86 ID:yodFAbRko
 こんばんは。夕食も終わりましたので、これから蛇足という名のあとがきを書いておきます。

 
   あとがきに代えて


 ● ストーリーの特徴

 今回グルメ☆マギカは、前作まどか☆イチローと違って、一からストーリーを組み立てたので、わりと楽しくできました。

 結果的にストーリーが膨張してしまったのでかなり長くなってしまいましたね。

 前作が、魔法少女たちの視点からイチローさんを見ていたのに対し、今回は一部をのぞき、 ほとんど主人公の五郎視点で話を進めました。
 つまり、第三者から見た魔法少女たち、といったところです。

 ただ、ストーリー云々よりも、いくつかレスを頂いたように、本作は雰囲気を楽しむという部分が大きいと思います。
 それは原作の孤独のグルメがそうであったから、というのもあるのですけれど、まど☆マギの世界にはないシュールな雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
 

 ● テーマ

 第一部は、孤独のグルメをベースとした井之頭五郎を中心とするお話です。

 この話は、単なるパロディネタだけではなく、ある程度のテーマも用意しておりました。
 そのテーマとは、「失われた感情を呼び戻す」というもの。
 原作での五郎は、どこか冷めたものの見方をする人物として描かれているけれども、確かに大人になると子どもの頃に持っていた感情を色々と失ってしまうものです。

 そこで彼が、杏子やマミと出会うことによって、今まで忘れかけていた“熱い心”を取り戻していきます。

 同時に、杏子やマミたちも、家族を失った喪失感を五郎との出会いによって、癒されていきました。

 ただそれは、傷をなめ合うような感覚ではなく、互いに誰かのために頑張ろうと思う成長の形として見ていただければ幸いだと思います。

 そもそも教育とは、上から目線で「教えてやろう」というものではなく、教える側も教えられる側も、共に成長する“共育”であることが理想だという筆者の考えです。

 五郎と魔法少女たちの出会いと、ともに戦ってきた経験によって、互いに成長したからこそ、魔法少女が魔女化するという絶望的な未来に対抗する勇気が出てきたものと考えております。


 ● 大神隊長は偉大だった(第二部のテーマ)

 第二部では、魔法少女同士の友情にもスポットをあてました。

 正直言うと、アニメでの魔法少女同士は、どうもあまり仲が良かったようには見えません。
 いや、むしろ険悪だったと言ったほうが良いでしょう。

 なぜ彼女たちが良好な関係を気付けなかったのか、と考えたとき、やはり根本的に合わない部分があったことは否めません。
 さやかと杏子は、最終回で友達になった、と言われていましたが、それまでの展開を見る限り杏子の「片想い」のようにも見えました。

 マミにいたっては、自ら関係性を壊しています。

 一人一人の能力は高いけれど、バラバラ。
 これではいくら魔法少女が集まったところで、烏合の衆となってしまい、とてもワルプルギスの夜には敵わない。

 そこで、彼女たちを結びつける“触媒”の存在がいれば、関係がうまく行くのではないかと考えました。
 モデルとしたのは、テレビアニメ版『サクラ大戦』の大神一郎隊長です。
 米田中将(大神の上司)によれば、彼は個性派揃いの乙女たち(もちろんカンナも含む)が集う帝國華劇団をまとめ上げるための、触媒としての役割を期待されました。


 大神隊長は、その役割を見事に果たし、仲があまり良くなかった神埼すみれと桐島カンナとの仲を良好にさせ、また、ほかの隊員たちも互いに協力し合える体制を構築しました。

 大神隊長のような存在として、五郎を間に挟むことによって、それまであまり良好ではなかった、ほむらとマミ、それにさやかなど魔法少女同士を何とか結びつけることができたのではないか、と考えております。

 組織として動く以上、仮に仲が良くなくても互いに協力し合うことは不可欠ですが、仲間同士が信頼しあえることで、より高い能力を発揮できることは言うまでもありません。

 残念ながら、展開の都合上、さやかと杏子との関係しか描けませんでしたけれど、改編後の世界では上手くやっていたかもしれません。


 ● 大人と子どもの関係

 大人と子どもとの関係というのは、いつの時代も難しいものです。

 特に思春期に差し掛かった少女たちとの関係は、実の親でも難しい。

 これくらいの年頃の子どもは、大人から離れて自立しようという心と、未だ自立できない自分の未熟さの中で葛藤するもの。

 まどか☆マギカのアニメを見て筆者は、この物語には圧倒的に「大人」が足りないと思いました。

 漫画やゲームなどでは親がいない(死んだ、もしくは海外出張)などという設定はよくあることですけど、実はこういう難しい年齢であるときこそ、しっかりとその未熟さを含めて支えてくれる大人の存在は重要だと思うのです。

 もちろん、まどかの母親や、学校の先生などもいましたけど、時には心強い協力者として、また時には乗り越えるべき障害として存在している大人には少し足りない気がいたしました。

 ゆえに今回は、そういう大人の役割を五郎に演じてもらったのです。

 憧れの存在としての大人。たとえばスポーツ選手や職人さんには憧れるものです。
 こういう大人になりたい、と思うからこそ子どもは成長しようと思うもの。


 杏子の場合は、五郎と対等な立場で恋愛をしたい、という気持ちが彼女の成長を促しました。  


 ● キリスト教の七つの大罪と悪魔

 筆者は、映画の『セブン』が好きだったので、それをテーマにサブタイトルを考えました。

 本来、前作と同じくらいの7話+最終話で終わらせる予定だったのですが、なぜか展開を詰め込んでいるうちに、全12話+エピローグとなってしまいました。

 七つの大罪は、人間の持つ罪ということで魔女のモチーフにぴったりだと思ったからです。
 中にはどう見ても女に見えない魔女もいましたが、それはご愛敬。

 登場する魔女は、すべて七つの大罪に対応する悪魔、たとえばルシファーとかマモンなどをモデルにしました。

 第一話で登場したベルゼブブの姿は、色々な漫画で、赤ん坊だったりペンギンだったりしますが、ハエの形で描かれることが多いと思います。

 しかし、ハエにされた魔法少女はちょっと可哀想ですね。
 まあ、使い魔が進化して魔女になったというルートも考えられますが。

 あと、関係ないけど映画のセブンで、主人公役のブラット・ピットはシワシワのシャツに無精ひげを生やしていました。しかしそれでもカッコ良かった。

 筆者が同じような格好をしたら、失業者と間違えられることは確定的に明らか。


 ● 改編後の世界について

 五郎の願いを受けて、鹿目まどかが改変した後の世界についての描写が不十分であることは認めざるをえません。

 実は色々と考えていたのですが、どれもしっくりこなかったのでそこら辺を曖昧にすることにしました。
 ちなみに、改編後の群馬県は、リアル世紀末状態ではなく普通の平和な田舎町となっております。
 それと同時に、近未来的な都市もなくなりました。

 具体的な世界観として、宇宙エネルギーを得るため、スポーツ選手を利用する世界、などということも考えました。

 イチローさんのような、トップアスリートの持つ強大なエネルギーを回収するのが、キュゥべえ改め“球ベえ”の役割だとか。

 あと、まどかの父親や早乙女和子先生、それにホストのショウさんが魔法少女の代わりに、魔法戦士として戦う世界というのも、途中まで考えて書きました。

 しかし、その世界に出てくるキュゥべえが、「子持ちのオッサンやホスト、それにアラサーが戦う世界なんて、誰も望まないよ」などとほざいたため、お蔵入りとしました。

 ちなみに改編後の世界では、杏子とさやかは家庭科部に入部しております。

 もちろん、部長はマミで、転校してきた暁美ほむらもそこに入部します。
 前作で、スパゲティしか作れなかったほむらは、ほかの料理を作れるようになるのでしょうか。


 ● 気になる恋愛関係は?

 今回は、前作と違って恋愛感情を全面に押し出しました。
 基本的にほむらとまどかを除き、三人の魔法少女が五郎に対して恋愛感情に近いものを抱いておりました。

 しかし、五郎自身は親愛の情は持っていても、恋愛感情は最後まで持つことはなかったと思います。
 というのも、彼女たちのことを、保護すべき未成年と見てしまったからでしょう。

 妹とか、娘に抱くような感情に近いと思います。

 ただし、改編後の世界についてはわかりませんがね。

 ちなみにラストシーンは秒速5センチメートルを意識しました。


 ● おしまいに

 本作を最後まで読んでいただきありがとうございます。

 孤独のグルメとまどか☆マギカのコラボレーションという普通ではあまり考えられない組み合わせですが、お楽しみいただけましたでしょうか。

 ストーリーの都合上、とりいれられなかったエピソードもまだ数多くありますけれども、物語は一応ここで終わりとさせていただきます。

 五郎は、杏子やマミたちと、一体どんな関係になってしまったのでしょうか。

 興味は尽きませんけども、筆者(イチジク)は、まどかたちとここでお別れしたいと思います。

 他人の褌で相撲を取るのも飽きてきたというのもありますが、そろそろ潮時だと思います。

 それでは、またいつかどこかでお会いしましょう。

 今度はオリジナル小説でお会い出来れば、筆者としては嬉しいんですけどね。

 

 イチジクでした。



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