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牙狼―GARO―魔法少女篇 第一話「終焉」 その5

2011年11月25日 19:44

まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇

371 : ◆ySV3bQLdI. [sage saga]:2011/08/07(日) 23:57:53.66 ID:ASp9P10ho

――いったい何なの、あれは……。 

 ほむらが心中で呟く。口にこそ出さなかったが、彼女も黄金の狼の姿に圧倒されていた。
 鋼牙には何かあると思っていたが、予想は裏切られた。いや、大きく上を行っていた。

 鋼牙とすれ違った後、ほむらは一も二もなくまどかの手を引いて走っていた。
 鋼牙の去った方向、即ち自分たちが来た道を。
 この機に乗じて、まどかの契約をうやむやにする。
 それもあるが、彼の行動が気になったのが一番の理由。

 隣のまどかを見ると、彼女は息を切らしながらも、素直に目を輝かせていた。
 黄金の鎧もさることながら、さやかの命が救われたことが嬉しいのだろう。
 そうだ、鋼牙は疾風のように現れて救ってしまった。自分が救えないと見捨てた彼女を。
 そんなほむらが鋼牙に抱いた感情は、期待と苛立ちが入り混じった妙な気持ちだった。

 もう誰にも頼らないと決めた。独りでも、彼女を助けると誓った。
 その為に様々なものを犠牲にしてきた。今日も、二人の知り合いを切り捨てたばかりだ。
 なのに彼は唐突に現れて、すべてを救おうとしている。
 いくら彼がホラーとの戦いを専門とする戦士だとしても、自分が苦渋の末に選んだものを、彼は丸ごと手に入れられるのだ。

 それが何となく不満で。
 しかし、助けてほしい、身を委ねてしまいたい自分がいるのもまた事実で。
 そもそも、そんなふうに考えてしまう自分も嫌だった。
 この気持ちは何だろう。
 嫉妬。或いは羨望。どれでもあり、どれでもない。

 ほむらの葛藤など無関係に、黄金騎士は剣を抜き放つ。
 鎧が金なら、柄も鞘も金。鍔もなく、細身で見るからに地味だった剣が、豪華な長剣に変化している。
 三日月形に反り返った鍔。柄の中心には赤く三角形の紋章。
 剣身は厚く幅広になり、波打つような紋様が施されている。
 美術館に飾られていても不思議でないほど見事な芸術だった。

 しかし勇ましく剣を構えるガロに、ほむらは言い知れぬ胸騒ぎを覚える。
 誰もが魅せられ、畏怖する黄金の光は、何人たりとも近付くことを許さず、触れた途端に焼き尽くされそうな――。
 頼もしく思うと同時に、強過ぎる光で己の姿まで掻き消されるのではないかという、漠然とした不安。
 負けじと思えば思うほど、心の抵抗は頑なになってしまう。
 光が強ければ強いほど、影が濃くなっていくように。

――影……そう、彼が光だとすれば、私はきっと影。だから闇に打ち勝てない。
 彼に助力を願えば、何かが変わるかもしれない。でも、彼に期待して、またさっきみたいになったら……。
 助けられることばかり考えて後で後悔するくらいなら……。
 それならいっそ一人の方がまし。少なくとも、これ以上弱くなりはしないのだから――

 答えの出ない問いと感情を持て余しながら、ほむらはガロを目で追う。
 身勝手な解釈と知りつつも、眩い黄金の輝きは、持たざる者の苦悩を遥か高みから見下ろしているように思えてならなかった。


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*

 ほむらとは対照的に、まどかは純粋にガロへ驚きと憧れの視線を送っていた。
 颯爽と現れて友の危機を救ってくれたヒーロー。戸惑いながらも疑いはしない。
 悪いものとは、とても思えなかった。

 さて、一時の興奮が治まると、色々なことが見えてくる。
 まどかの位置からさやかは見えていたが、マミの姿が見当たらない。
 探しにいこうとしたのだが、ほむらの手は今まで以上に固く握られている。
 視線を送ると、彼女は無言で首を振った。

 やがて、ガシャリ、と重厚な金属音。重々しく鎧を鳴らしながら、ガロが動いた。
 同時に、ホラーの触手も唸る。戦いが始まってしまった。
 祈るしかないのだろうか。
 この常人には見通せない闇のどこかで、マミが無事でいると。
 そして、黄金騎士が勝利してくれると。

 まどかは、またしても自身の無力さを痛烈に噛み締めた。

*

 最初は、ギィィン!! と、低く重く、大きく響いた。
 そこから間髪入れずに、キン! キン! と軽く高い音が絶え間なく続く。
 その音はマミの耳にも届いていた。
  
 ガロとホラーの触手が、今まさに剣戟を繰り広げている。
 妖しくうねる触手は、先端の刃を幾度となくガロに向け、ガロはそれらすべてを牙狼剣で弾き返す。
 しかしガロが前進を試みようとも、ホラーは決して許さない。何故なら、懐に入られては敗北は必至。
 だからこそ剣の間合い外から仕留めんと躍起になっている。
 それは誰の目からも、まして実際に戦ったマミからすれば明らかだった。

 黄金の狼が轟と吼えた瞬間から、ぼやけていた意識が徐々に覚醒していった。
 霞み掛かっていた視界が鮮明になっていった。
 身体は相変わらず泥沼にはまったように指一本動かせないガラクタだったが、確かに感じる。
 剣を振るう黄金騎士が見える。そして、その背後には泣きじゃくる美樹さやかがいた。

――美樹さん……!

 生きていた。
 生きていてくれた。
 あの黄金の騎士が守ってくれたのだ。

――なら……私の戦いは無駄じゃなかった……。

 虚ろな瞳に光が戻り、涙が零れる。
 嬉し泣きだった。
 まだ終わっていない。黄金騎士が戦っている限り。
 
 この身体はもう戦えない。それどころか、後数分と待たずに死ぬかもしれない。
 それでも、命を捨ててまで守りたかった彼女が生きていたことが嬉しい。
 自己満足に過ぎなくても、自分の人生には意味があったのだと思える。

 たったそれだけで、絶望に暮れていたマミの心に一条の光明が差し、
 ほぼ完全に黒く染まっていたソウルジェムに一点の光が宿った。

 後はすべてを黄金騎士に託す。
 彼の正体はわからない。だが他に為す術はない。しかし、不安もなかった。
 彼が、さやかや自分を守る為に戦ってくれていると信じられる。

 闇=恐怖であり敵、と徹底的に本能にまで刷り込まれた今だ。
 ようやく見えた光は、救いと断じるには十分。
 この時のマミにとって、ガロはまさしく希望の象徴であり、救世主にも等しかった。



 三者三様。
 それぞれの想いが、ガロ――冴島鋼牙に向けられる。
 ある者は秘めた嫉妬と羨望。ある者は純粋な憧憬。ある者は絶対の希望として。
 しかし誰一人として、彼の本質を捉えてはいない。
 この場でそれを知るのは唯一、魔導輪ザルバのみ。

 冴島鋼牙は呼べば必ず応える正義の味方ではない。
 全てを救える無敵の救世主でもない。
 あくまで己が使命に全身全霊を懸ける一介の騎士である。
 数で見れば、救えなかった人間の方がよほど多い。

 呼んでも来ないことがある代わりに、呼ばなくても駆けつける場合もある。
 望んでもいないのに助けに来る場合もある。
 たとえ正義でなくとも、危機に陥っている者が社会的に悪だったとしても、彼は一命を賭して戦う。

 ただ、それだけのことなのに、彼に希望を見出す者たちは過度な期待を寄せ、時に嫉妬し、果ては失望さえする。
 彼の素性を知る者は限られているが、それでもままあることだ。
 まったく身勝手な、だが、それも牙狼の称号を持つが故の宿命か。
 
 鎧を纏う前と変わらず左手中指に収まっている魔導輪は、少女たちの視線を感じながら思った。  
 もっとも主は、そんなことには微塵も関心はないのだろう。
 いつだって彼が気に掛けているのは、討つべき敵と守るべき人間だけなのだ。

 ホラーの刃と牙狼剣がぶつかり、火花を散らす音は途切れる様子がない。
 牙狼剣と互角の強度を持つ刃を褒めるべきか。
 変幻自在の軌道を見切り、確実に剣で迎えるガロの技量が凄まじいのか。

 いずれにせよ、この場でただ一人戦闘力を持ち、戦闘の様子を正確に観察できる少女。
 暁美ほむらであっても、この戦いに介入できなかった。
 読めない訳ではない。けれども演武のように完成された、それでいて危うい均衡に割り込むのは憚られた。

 生半可な手助けは、どちらにとっても命取り。鋼牙と共に戦った時も共闘しなかったほむらである。
 黄金騎士と息を合わせて戦える自信は皆無だった。

 既に十合を超える打ち合い。
 体力的にも、触手を動かすだけのホラーと、剣を振るガロでは、どちらの消費が激しいかは明らか。
 しかし、その程度で疲弊するガロ――冴島鋼牙ではない。
 むしろ体力が消耗するまでには、とっくに癖を読み、難なく斬り込めるだろう。

 問題は別にあった。制限時間である。
 黄金の鎧を現世に召喚していられる時間は99.9秒。
 よほど特殊な状況下でもない限り、この制約は揺るがない。 

 既に召喚から30数秒は経っている。悠長にしていられる時間は残っていなかった。
 何より、倒れている少女は一刻を争う。
 ザルバに答えたばかりなのだ、「すぐに終わらせる」と。

 ガロは意を決して振り回される触手に向き直り、これを迎え撃つ。
 正面から貫かんと迫るそれに対し、最小限の動きで左に軸をずらし、腋の下を潜らせる。
 剣のように鋭く硬化しているのは、先端の数十センチ。そこから上は、ただの肉の鞭に過ぎない。
 先端が背後から刺すよりも早くガロは触手を掴み、手に巻き付け、力の限り引き寄せた。

「ぐっ……おおお……!」

 牙を剥いたままの狼の口から、くぐもった声が響く。
 平たく、しかも暴れ狂う触手を捕まえておくのは容易ではない。
 拮抗は長くは続かず、踏ん張った両足が徐々に引きずられる。

 ガロの鎧は、あくまで鎧。
 鉄壁の防御は得られるが、所詮そこまで。
 ヒーローの特殊スーツのように、身体能力を劇的に向上させる類のものではない。

 短時間でもホラーと押し引きできる腕力。高速の触手を正確に弾き続ける反射神経。
 ほとんどは、鋼牙が長い時間を経て造り上げた自身の肉体に宿る力。
 それでも膂力では魔界の怪物、ホラーに分があった。

 圧倒的な素材の差。
 鍛えに鍛え、常人を超えてもなお、人の身では決して到達できない領域。
 生物として根幹から人と一線を画す魔獣たちは、遥か高みから人間の限界を嘲笑っている。

 だが、被食者に過ぎない人間にも意地がある。矜持がある。何より生きたいという意志がある。
 生き残る為には、たとえ相手がどれだけ強大であろうとも抗わねばならない。

 その力が鋼牙にはある。
 それこそが黄金の鎧であり、朱塗りの剣であり、鍛え上げた肉体。
 それこそが牙なき人に代わって剥く牙。

 そして今。
 牙は右手にある。
 黄金の狼こと、黄金騎士・牙狼の牙である剣が。

 ガロは右手に持った牙狼剣で、ピンと張られた触手の中心を突き上げた。
 さしたる手応えもなく、ずぶりと剣は食い込み――。

 改装中のフロア全体を大音量で震わせる、金属同士を思い切り擦り合わせたような悲鳴。

 おぞましく苦痛に満ちた悲鳴に、さやかとまどかは耳を塞いで目を瞑り、ほむらは僅かにたじろぐ。
 手を動かせないマミは顔を顰めていた。
 貫いた瞬間に噴き出した黒い体液が黄金の鎧に飛散するも、たちまち蒸発。
 一点の染みや汚れも残さない。

「おおおおおおお!!」

 裂帛の気合を込め、両手で牙狼剣を握り締めて突進するガロ。それも触手を縦に切り裂きながら、である。
 ホラーは悶絶しながら牙狼剣を振り解こうとするが、もがけばもがくほど、剣は深く食い込む。
 傷口が抉られ、黒い血を撒き散らす。

 ようやく剣が外れた時。
 つまり、牙狼剣が触手の左半分を斬り抜けた時。
 ガロは、剣の間合いまで一歩の距離に迫っていた。

 切られた半分はベロンと捲れて垂れ下がり、床に黒い染みをいくつも作る。
 自由になったとしても、最早使い物にはなるまい。
 だが、まだだ。ほむらとマミは知っている。ホラーはまだ奥の手を残している。  

 両肩と腰回りを覆う黒光りする突起。無数の槍の穂。
 いつの間にか再生していた槍の穂先が、一様にガロを狙う。
 ほむらとマミに緊張が走った。

 あれは危険だ。
 黄金の鎧が見た目通りの耐久性としても、
 機関銃に匹敵する速度と連射性を持つ槍を至近距離で受ければどうなるか。

――攻めるしかない――

 あと一歩の距離なのだ。
 危険を承知で飛び込む。撃たれる前に斬る。
 それが、ほむらの考える最善策。

――かわせる――

 先の打ち合いを見れば一目瞭然だ。
 鈍重なようで、あの騎士は驚くほど機敏。となれば、鎧は見た目に反して薄いとしか思えない。
 実際に相対し、攻撃を受けたマミだからこそわかる。半端な防御は間違いなく突き破られる。

 同時に思い出した。
 奴は滅多に方向転換をしない。必要なかったのかもしれない。
 ほぼ360度の中近距離をカバーできる便利な触手があったのだから。
 ならば、連射であれ放射であれ、近距離なら逆に回避は容易。側面に回り込めば楽に倒せるはず。

 ほむらとマミ。二人が見守る最中、無数の槍が発射される。
 が。
 ガロは剣を振ることも、避けることもせず――。

 両腕を広げ、無防備にも大の字になって受け止めた。

 発射された槍の大半が、黄金の鎧の表面で弾け、夥しい火花を炸裂させる。
 ガロは激しい衝撃に押され、大きく仰け反った。
「なっ……あ……!?」

「どうして……!?」

 マミは絶句し、ほむらも一言疑問符を発するのが限界だった。
 それも一瞬。二人の少女の驚愕は、すぐに凄まじい轟音と閃光の乱舞に掻き消される。

 まどかは小さく縮まって怯え、ほむらとマミも混乱に支配されていた。
 黄金騎士の行動が、まったく理解できなかったのだ。

 攻撃でも回避でもなく、防御ですらない。
 あり得ない。愚行という罵倒すら生温い。自殺行為に等しい。
 彼は、いったい何故こんなことを。

――まさか!

 数秒の思案の末、ほむらは思い至った。
 自分で決めつけたのではないか、彼はすべてを救う騎士なのだと。

 槍は正面に向け、放射状に発射された。ホラーの背後に倒れているマミ、
 十分な距離を取っている自分とまどかは被害を受けない。
 そう、一人を除いて。 
 
 ガロの背後を見やる。
 そこには、小さくなって震えている美樹さやかの姿。
 さやかがもたれ掛かっている壁には無数の槍が突き刺さっているが、彼女の周囲だけは綺麗なまま。
 納得した。彼は発射を止めるのは不可能と判断し、背後のさやかを守ったのだ。

「でも……だからって……」

――あなたが死んだら、何の意味もないじゃない……!

 美樹さやかが助かったとしても、あなたが死ねば同じこと……。
 今、あいつに勝てるとしたら、あなたしかいないのに――

 ほむらはギリと歯噛みして、ガロを睨みつけた。
 馬鹿だ。この男は大馬鹿だ。何で、こんな男なんかに。
 ガロは仰け反り、狼の顔は天を仰いでいる。左足は半ば浮き上がり、今にも後ろに倒れそう。

 睨む目に初めて、薄らと涙が滲む。

 悲しいよりも、憎いよりも、ただ悔しかった。
 彼なら活路を開いてくれるかもと、一瞬でも期待した自分が。
 黄金の騎士に希望を見出した自分が。

 何度裏切られても、繰り返してしまう。どうせこうなるのなら、戻らずに逃げておけばよかった。
 そもそも期待することが間違いなのだろうか。
 しかし希望は捨てられない。
 希望を追うことを否定しては、自分が望む未来の可能性をも否定してしまうのだから。

 いや、今はそんなことはどうでもいい。迷っている暇はない。今からでも逃げるべきだ。
 まどかの手を取る直前、ほむらはホラーとガロに視線を移し、違和感に気付く。

 白煙を立ち昇らせるガロの鎧。
 しかし直撃を喰らった胸の装甲は、貫かれても砕けてもいない。
 否、それどころか傷一つ付いていなかった。発射前と何ら変わることなく、黄金の輝きを放っている。
 広げられた右手はまだ、確と剣の柄を握り締めている。

 直後、天を仰いでいた顔がホラーを見据え、緑の瞳が一際輝いた。
 ガシャリ、と重々しい音を立てて鎧が鳴る。

 ふらつく右足を突っ張り、身体を支え。
 左右に広がった両手は頭上で組み合わされ。
 宙を彷徨う左足を大きく一歩、コンクリートが砕けるまで強く踏み込み。
 振り下ろす。

 剛剣一閃。

 大上段の構えから、牙狼剣がホラーを袈裟斬りに切り裂いた。
 何の抵抗も許さず、断末魔さえ上げさせず、一息で。

 振り抜いた牙狼剣の切り口がオレンジの光を放ったかと思うと――。
 閃光。同時に爆散。
 火薬による爆発とは違う。
 斬られた傷口から溢れるエネルギーに耐え切れず、内側から破裂したような。

 大量の肉片が床に散らばる。それは黒く砕けたガラス片にも似た形状をしていたが、
すぐに使い魔と同様、靄とも煙ともつかぬ気体に変わり、跡形もなく霧散した。
 
「終わったの……?」

 呟いたのはまどか。
 と言っても、全員が同じ心境だった。驚きの連続に、ただただ呆気に取られるばかり。
 当然だ。打ち合いからガロが反撃に出て決着まで、十秒と経っていない。
 驚きの連続に思考が付いて行かなかった。

 歴戦魔法少女であるほむらも、さやかを庇ったガロの行動には驚きを隠せず、
 ホラーが爆散した時には、他の二人と同じく呆然とガロを眺めていた。
 消滅した後も残心を保っているガロに、揃って魅せられていたのだ。 

 そしてマミは。

――綺麗……これが人生最後に見る景色なら悪くないわね……。

 戦いの結末を見届け、さやかとまどかの安全も確かめたのだ。
 だから、これでいい。思い残すことはない。
 今度こそ、これで。

 唇の端だけで微笑むと、満足感を抱きながらそっと目を閉じた。

*

 やがて直立の姿勢に戻るガロ。精神を集中させて鎧を送還する。
 鋼牙から黄金の鎧が上に抜けると同時に掻き消えた。
 装着を解除した鋼牙は、ふっと短く息を吐く。

『今回は中々の綱渡りだったな』

「いつものことだ」

 軽口を叩くザルバをあしらう。
 ザルバに答えた通り、この程度の危機、いつもとは行かないまでもよくあること。
 いつ何時、どんな形で死ぬかわからない。
 その為、戦っている時はいつだって全力だ。
 結果として楽勝だったとしても、常に死と隣り合わせという意味では日々が綱渡り。

 特に今回は鎧に大きく助けられた。
 魔戒剣も黄金の鎧も、ソウルメタルという金属で造られている。

 ソウルメタル。
 持つ者の心の在りようで重量を変える特殊金属。
 主である鋼牙には羽根の如き軽さであり、防御力と機動力を同時に得られる魔法のような材質だ。
 その分、扱えない人間には途轍もない超重量となるのだが。

 身体の具合は問題ない。
 肋骨が痛むが、折れてはいない。一晩休めば痛みも治まるだろう。
 ホラーの浄化という目的は果たした。だが、まだやるべきことが残っている。

 鋼牙はコートを翻し、フロアの隅に倒れている少女に駆け寄った。
 鋼牙が動くと、ほむらもハッとなって駆け出し、訳も分からずまどかが続く。
 更に白い小動物も、まどかの足下を掠めて抜き去った。

「マミさん!!」

 まどかの上擦った、悲痛な叫びが響く。
 無理もない。彼女の視線の先にあるものは、倒れた巴マミと床に広がる血溜まりだった。
 状況を理解していた鋼牙とほむらは取り乱さず、いち早く駆け寄って抱き起こした。

「おい! しっかりしろ!」

『まずいぜ、彼女はもう……』

「っ……」

「そんなぁ……」

 手遅れだ。
 ザルバが皆まで言わずとも、続く言葉は誰もが理解している。
 鋼牙は眉間にしわを寄せて渋面を表し、ほむらは唇を噛む。まどかは膝をついて泣き崩れてしまった。

 マミの症状は、それほど深刻だった。
 顔面は蒼白。呼吸は微弱。脱力した身体を揺さ振り呼び掛けても、目蓋を微かに震わせるだけ。
 槍で貫かれたままの太股は今も出血が続いており、心なしか出血は増しているようにも見えた。
 どの道、彼女が既に致死量に近い血液を体外に出しているのは確かだろう。

 魔戒法師なら術者によっては治癒の術も使えようが、戦闘に特化した騎士である鋼牙には扱えない。
 修行の過程で人体の仕組みは熟知している。
 多少の医学知識も習得しているので、一般的な応急処置ならできるのだが。
 逆に言えば、その程度しかできない。

 なまじ知識があるからこそ、わかってしまう。人の世界の摂理では彼女は助けられない。
 応急処置と言っても、現状では止血が精々。
 ここが設備の整った病院で、今すぐ手術に入ったとしても助かるかどうか。
 
「マミさんは私たちを逃がそうとして、こんな……お願いです! マミさんを助けて……!」

 涙ながらに胸に縋りつくまどかに、鋼牙は答えられなかった。
 ほむらと共に、沈痛な面持ちでまどかの慟哭を受け止めるしかできない。
 こんな時、つくづく自分の力足らずを痛感する。

 無敵の黄金騎士。
 牙狼の称号。
 どんな称号も栄誉も無意味だ。どれだけ力を付けようと、命は零れ落ちていく。この手をすり抜けていく。
 目の前で命が奪われることは防げても、消えゆく命を救うことはできない。
 
 もう、手の打ちようがない。
 まどかが悲嘆に、二人が途方に暮れているところに、

『方法はあるよ』

 と、キュゥべえが声を上げた。
 この状況で何を言うつもりか。ほむらは瞬時に察しが付いた。

「まどか。君が僕と契約して魔法少女になってくれれば、マミの命は救えるよ。それだけじゃない。
どんな運命も、不条理だって覆せる。どんな不幸も撥ね除けられるんだ』

「こんな時にまで……!」 
  
『こんな時だからこそさ。まどか、決めるのは君だよ。
僕にできるのは、その方法を提示し、君が望むなら実行するまでだ』

 またしても、キュゥべえは的確なタイミングで誘惑を仕掛けてくる。
 どうする。撃つべきか?
 だが、ここで撃ったとして鋼牙を敵に回すかもしれない。

 結果的にまどかの気持ちがキュゥべえに傾くかもしれない。
 確かなことは、そんな小競り合いをしている間にマミは確実に死ぬ。

――私は巴マミの命よりも、まどかを優先する。これは変わらない。

 でも、切り捨てずに済むのなら助けたい。死なせたくないと思う。
 私も、彼のように……――

『でも、あまり時間はないよ。マミの命はもう消えかけている。救えるのは君だけだ。
もっとも、君なら死者の蘇生も容易いだろうけどね』

「私は……」

 まどかは暫し逡巡していたが、時間の猶予がないというのが効いたのか、躊躇いがちに頷く――

「うん……。わかっ――」

「待って! まだ彼女は生きている。彼女は治療の魔法が使えたはず。呼び掛ければ、まだ間に合うかもしれないわ」

 直前で、ほむらは制止した。
 完全な思いつき。マミの意識はとうに混濁している。成功確率も、そもそも可能かどうかも度外視の提案。
 それでも賭けるしかない。
 まどかとマミ。双方を生かす為に。

 しかし、ほむらの提案をキュゥべえはきっぱりと否定する。

『無理だね。彼女のソウルジェムを見てみなよ』

「――ぁっ……!」

 ほむらは髪飾りのソウルジェムを取り上げてみる。
 黄色かったはずのジェムは九割以上が黒く染まっており、小指の先程度の面積が弱々しく光っていた。
 魔力の消費過多。或いは、心的要因か。どちらもだが、おそらくは後者が強い。

 魔法を使えば使うほど、ソウルジェムは黒く濁る。こんな状態では、とても治癒魔法は使わせられない。
 そんなことをしてジェムが黒く染まりきっては、すべてが台無しだ。

『グリーフシードがあれば可能かもしれないけどね。君はグリーフシードを持っているのかい?』

「私は……今はグリーフシードの持ち合わせがないわ……」

 グリーフシードがあればソウルジェムが浄化でき、魔力が回復する。
 魔法少女には必須のアイテムなのだが、ほむらは持っていなかった。
 やはり、もうどうにもならないのだろうか。
 昏い心持ちで、ほむらは瀕死のマミを見下ろした。

 ふと、ほむらは妙に思った。
 マミとホラーの戦闘がどれほど激しかったのか、正確には知らないが、フロアの惨状を見れば大凡の察しはつく。
マミが槍を受けた際の傷の様子も鮮明に覚えている。あの時点で、既に彼女は多量の出血をしていたはずなのに。

 少ないのだ。
 彼女の衣服に付いた血や、床にできた血溜まりを見ても、絶対に出血量が少ない。 
 傷を押して、これだけの激しい戦闘を繰り広げたにも関わらず。

 大腿動脈が貫かれた状態で、痛覚を緩和した身体を酷使して、この程度で済むだろうか。
 あの時のマミの心理状態を予想するに、治療に専念するとは思えない。
 治療していないことは、最初の太股と肩の傷以外に目立った怪我がないことからも明らか。
 もっとも、戦闘の詳細が不明では断言はできないし、いくらでもイレギュラーは起こり得るのだが。

 もう一度、今度は手中のソウルジェムに目を落とす。
 ジェムが発する光は弱い。けれど、闇に染まるまいと懸命に抗っている。
 私はまだ生きていると、伝える為に明滅している。まるで心臓の鼓動のよう。

 そうか、と唐突に理解した。

――魔力はすべて戦闘に回していたようだけど、出血を抑え、最低限の生命維持に必要な魔力は無意識に使っていたのね……。
 命を捨てて戦っていた彼女が抑え込んでいた僅かな未練……なのだろうか。 
 最後まで、一秒でも長く戦う為のものかもしれない。実際、それもあるだろう。

 けど、私にはこうも思えた。
 彼女は生きたいのだ、と。格好つけて使命に殉じるよりも、生きてまだまだやりたいことがある。
 何を好き好んで、こんな場所で死にたいものか。

 上辺を取り繕って。
 自分の心まで誤魔化して。
 そうやって綺麗に生きようとする巴マミ。

 本人も気付かなかった本当の望みを、ジェムは正直に語っている。
 彼女のソウルジェムは、まだ死を受け入れていない。

……そうだ、私はきっと信じたくないのだと思う。
 魔法少女の未来が、戦いの果ての死か、死よりも恐ろしい末路の二択しか用意されてないなんて。
 もっと、人並みの幸せがあってもいいはずだと信じたいのかも。
 
……なんて。
 馬鹿馬鹿しい。私らしくもない――

 もう救えないのだ。まどかを契約させられない以上、マミには死んでもらうしかない。
 結局は"今回も"切り捨てる他ないのだ。
 自嘲しつつ、ほむらが残酷な命の取捨選択をしようとした瞬間。
 置いてけぼりにされていた鋼牙が横から口を挿み、

「グリーフシードとやらはこれのことか?」

 差し出したのは、禍々しい気配を放つ黒い宝石。
 グリーフシード。直訳すると、悲しみ、嘆きの種。
 ほむらはよろめきそうになった。
 なんて間の悪い男だ。どうやら彼とは、とことん相性が悪いらしい。
 これで何度目だろう。諦めそうになった時に限って、彼は決まって横から希望を示してくる。

 ほむらの胸に、沸々と苛立ちの感情が湧き起こる。
 と同時に、一抹の希望と期待が芽生えるのも感じていた。

「貸して!」

 ほむらは鋼牙の手からグリーフシードをもぎ取ると、すぐさまマミのソウルジェムと重ねる。
 するとソウルジェムから黒い穢れが浮き、グリーフシードに吸着され、ソウルジェムが元の輝きを取り戻した。

「これがあれば助かるのか?」

 マミの頭上で額を突き合わせた姿勢で、鋼牙が尋ねる。
 元々は魔女を狩った際に落ちていた物を、ザルバが残留思念と魔力を感じると言うので拾っておいた。
 話の内容は理解できなかったが、名前とグリーフシードから受ける印象、
 それと魔女、魔法少女に関連した物ということで差し出したのだが正解だったようだ。

「……理論上は」

『理論上は、だと? どういう意味だ?』

「彼女が死んだと自覚しなければ、まだ望みはあるわ。肉体は損傷しても、ギリギリまで持たせられる。
後は彼女に生きたいという強い意志があれば……」

 鋼牙とザルバに見向きもせず、マミを睨んだまま答える。
 さて、ここからどうするか。
 それが思案の為所だった。あまり時間はないが、慎重にならざるを得ない。

『マミは自分で覚悟を決めて死を選択したんだろう? 目的が果たされた今、
苦痛に喘ぎ、足掻いてでも生きようとする意志があるのかな』

 自信あり気に問うてくるキュゥべえ。
 こいつは最悪のタイミングで巧妙に契約を迫ってくるが、そのくせ人間を何もわかっていない。
 今なら自信を持って言える。

「あるわ。絶対にある」

 隠しているだけ。
 押し込めているだけ。
 ソウルジェムが黒く染まっていなかったのは、彼女が一片の希望を抱いている証拠。

 自分がまどかを連れて逃げた後、何があったかは想像に難くない。
 マミは死を覚悟して残った。二人を逃がす為に。ならば、死=絶望にはならない。
 マミは敗北し、美樹さやかが残った。
 マミが生きているということは、ホラーはさやかを嬲り、マミの絶望を煽ろうとした。   

――そうまでされて、どうして彼女のソウルジェムは抗っていられるのか。
 決まっている。
 彼に、闇を切り裂く黄金の騎士に希望を見出したから。
 私にはわかる。何故なら、遺憾ながら私も同じだからだ。

 こんなもの、想像の域を出ない。人の心なんて、そう簡単に読めるものではないから。
 でも、本当は彼女も思っているはず。
 こんな暗黒の世界で、人生に満足したと思い込んで、自分を慰めながら孤独に死ぬなんて御免だと――

 自分でも不思議だった。
 どういう訳か、今回は知らず知らずマミに同情的になっている。
 これまで、こんなにも彼女に固執したことがあっただろうか。

 これまで何度もマミの死を見てきたが、自分から能動的に手を伸ばせば救えた例はなかった気がする。
 思い返せば、マミには恩もあったし、好意もあった。けれど、激動の中で傷つけられることもあった。
 次第に優先順位を決めるようになり、視野を狭めていく内に忘れていった。
 
 今、マミを救えるのは自分しかいない。そして、マミを救うことと、まどかを守るという大前提は相反しない。
 むしろ必要なこと。だから、自分はマミを救ってもいいのだ。

 そう考えると、ふっと胸の痞えが取れた気がした。
 幾分か気持ちが軽くなり、最初にマミに抱いていた憧れを思い出す。 

 屈折した自己犠牲の精神で、本心では無理をしているとしても。
 キュゥべえを友達と信じ、彼の言葉を鵜呑みにして、踊らされているだけだとしても。
 見ず知らずの人間を守る為に命を捨てられる。その行為、崇高な志は敬意を表するに値する。
 自分には絶対にできないことだ。

『まどか。君はいいのかい? こんな不確かな方法に賭けても』

 ほむらを揺さ振って無意味だと判断したのか、キュゥべえはまどかに向いた。
 突然話を振られ、会話についていけないまどかは困惑するばかり。
 仕方がないので、再び釘を刺す。

「まどかなら死者の蘇生も容易いと言ったのはあなたよ。なら失敗してからでも遅くない。黙って見てなさい」

 今度こそキュゥべえが黙ったのを確認し、まどかにも。

『言った通りよ。余計な手出しは考えないで、あなたは巴マミを信じていればいい。
祈る以外に、できることなんてないのだから。
それと、ここからは見ない方がいいわ」

 私を信じろ、とは口が裂けても言えない。そんな資格はない。
 横で、まどかが悲しそうに目を伏せる。胸にチクリと刺すような痛みを覚えた。
 でも、今は振り向かない。見るべきはマミ。

 深呼吸。
 おもむろに右手を振り上げ――。

 パシィィン!

 と、乾いた音が響く。ほむらがマミの頬を張った。
 一拍置いて、マミの耳元で呼び掛ける。

「聞いて。これから太股に刺さった槍を抜くわ。ソウルジェムは浄化した。
死にたくなかったら、治癒魔法を使って止血しなさい」

「え……あ……」

 閉じられたマミの目蓋がピクリと動いた。弱々しく、曖昧な様子でマミが返す。
 良かった。意識は朦朧としているが、失われてはいない。それで十分。
 ごくりと唾を飲んで、いよいよマミの右太股を貫く槍の穂に手を掛けた。

「ふっ……!」

 ぐっと力を込めて引き抜こうとした瞬間。

「っああああああああああ――!!」

 マミの口から絶叫が迸った。
 背を限界まで反らせてブリッジを作り、ビクンビクン!! と、陸に上げられた魚みたく跳ね回る。 
 目はカッと大きく見開かれるが、焦点はどこにも合わされていない。
 
 痛覚が緩和、ないし無効化されていないのだろう。
 一瞬どうすべきか迷うが、今さら止められない。始めてしまった以上はやるしかない。
 これで意識が覚醒するなら、いっそ好都合。
 なのだが、

「くっ……」

――思ったよりきつい……!
 それにさっきから、ぬるぬる手が滑る……!
 私が緊張している? いいえ、違う。
 これは汗じゃなく――

 血だ。
 槍を根元まで濡らしているマミの深紅の血が、ほむらの手を真赤に染めている。
 裏股(もも)まで貫通している槍の持ち手は短く、十分な力が込められない。
 マミが暴れるせいも相まって、時間だけが空しく過ぎていく。
 
――落ち着いて……でも、急がないと彼女が……

 わかっていても、気ばかり急いてしまう。
 歯を食い縛っているのに漏れてくるマミの悲鳴。
 覚醒しているにも関わらず喘いでいるのは、緩和できる許容量を超えている為か。
 多少は緩和されているのだろうが、今のマミはとても魔法に集中できる状態にない。

 こちらの冷静さまで削り取られそうだ。
 緊張しているのも確かだった。一刻を争う無力な命を手の内に握っている。
 改めて、その重みを意識する。

 血塗れの手を衣装で拭い、もう一度ほむらが穂を握り締めた時だった。

 その小さな手に、大きくがっしりとした手が重なった。
 黒い袖口と白い袖口が触れ合い、共に朱に染まっていく。
 ほむらが驚いて見上げると、揺れる視線が鋭い視線に捕らえられる。

 鋼牙が無言で頷くと同時に、重なる手が強く、固く握られた。
 力を逃がさないように。
 決して外れないように。
 ほむらも瞬時に意図を理解する。そこに一切の言葉は要らなかった。

 鋼牙はまどかを一瞥して、

「足を押さえろ!」

「は、はい!」

 と、まどかが急いでマミの足に飛び付く。
 戸惑いながらも、役割を与えられたことに意気込んでいるようで迷いは見られない。
 もがくマミの右足を必死で押さえている。

 額を汗が伝うのを感じる。
 熱い。
 自分の熱と、鋼牙の手の熱と、マミの血の熱が混じり合って。
 握った槍が焼け付くように熱い。灼熱のマグマかと錯覚するほどに。

 ほむらからも鋼牙に視線を送り、今度こそと頷き返す。
 そして。
 二人で握った槍を、渾身の力で、かつ慎重に。
 引き抜く。

「ぅああああああああああっっっっ!!」

 どこにこんな力が残っていたのか、残るすべての体力を振り絞るような叫喚。
 麻酔もなく、緩和されているとはいえ痛みは相当なものだろう。
 その痛みは想像するしかできない。

 かと思っていたのだ、が。

 片膝をついていたほむらの左足首が突如、がしっと鷲掴みに握られる。いや、潰される。
 ギリギリと締め付ける力。万力のようなとは、まさにこれ。
 足首から先が痺れ、血流が止まるのを感じる。

「あっ……ぐっ……!」

 ほむらの口から苦悶の呻きが漏れる。痛みこそ鈍いが、骨をも砕くのではないかと思えた。
 その凄まじい握力に振り向くが、襲撃者の正体は確かめるまでもなく察しが付いていた。

 ホラーのような想定外の敵が、前触れもなくいきなり現れるなんて、そうそうありはしない。
 往々にして、そこにいるべき者が可能なことをしているだけ。
 ほむらの足首に手が届き、それだけの力を持つのは彼女一人だった。

「はぁっ……くっ、ぐぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 歯を食い縛り、固く身を閉じ、かぶりを振るマミ。彼女の右手が足首を掴んでいた。
 害意はない。無我夢中で掴む物を探して、たまたま探り当てた物を掴んだ。
 それだけのこと。

 魔法少女の全力で足首を握り潰される激痛がほむらを苛む。
 だが振り解きはしない。そんな暇はない。
 それに、これはマミの痛みなのだ。この身に刻まれる痛みを通して、
 彼女の想いが、必死が、少しでも伝わるような。
 そんな気がした。気がしただけだが。

「大丈夫か?」

 鋼牙の問いに顔を上げると、マミの左手は彼のコートの裾も引っ張っていた。
 こちらは足首で、向こうはコートの裾なんて不公平。
 などと思わないでもなかったが、まあいい。口を開けば不満より痛苦の声が飛び出そうだ。
 ほむらは視線で答えると、注意を戻した。

「抜くわよ……!」

 メリメリと肉を掻き分けながら、次第に貫通していた槍が持ち上がり――。

「はぁぁぅっ!?」

 ついに抜ける。
 マミは上擦った声を上げて大きく跳ねた後、糸が切れたように弛緩した。
 ほむらの頬には飛散した血が赤い点を残すが、気にしてはいられない。

 まず、真赤に染まった手握られた槍を観察する。
 間近で見ると刃は分厚く、結構な太さだ。これが骨を砕き、動脈を貫いた。

 こんな代物が刺さった状態で激しく動けるのは魔法少女だからこそ。
 そのせいで命を危険に晒している訳だが、最後の一線で踏み止まっていられるのもまた、魔法少女である証左。

 では刺さっていた場所はどうか。ほむらは傷口に目を移す。
 未だ滾々と溢れ出る血。栓がなくなった分、勢いは増している。

「うっ……」

 と声がしたと思うと、まどかが口を押さえて顔を背けた。目尻には涙の粒を浮かべている。
 だから見るなと言ったのに。
 と呆れるが、かくいうほむらも、慣れているとはいえ知人の痛々しい姿には若干の抵抗があった。

 抜く際にまどかも見ただろう。
 割れた肉の間から覗く白い骨、黄色い脂肪、ピンク色の筋肉、その他諸々がグチャグチャに掻き回され、何もかも深紅に塗り潰され、ぬらぬらと光っている様を。
 生々しい光景に、まどかが顔を背けるのも頷けた。
 まどかは顔をマミから逸らしたまま、おずおずとほむらを見る。

「マミさん……大丈夫なの?」

 まどかの問いに、ほむらは答えない。答えはわかり切っていたし、答える価値のある質問でもない。
 すべては彼女次第。
 しかしマミの右手は今も足首を締め付けており、彼女が意識を保ち、痛みに耐えているのは確か。
 そうこうする内、次第に変化が見られた。

「何だ、これは……」

 驚きの声を発したのは鋼牙。
 当然の反応だ。ほむらが清潔なハンカチで傷口の血を拭うと、出血は止まっていた。血管が塞がっていたのだ。
 神経が繋がり、砕けた骨の欠片が折れた骨に同化し、大腿骨が両端から伸びて継ぎ目もなく再生する。
 その間も、マミは断続的な激痛に喘ぎ続けているようだった。

「はぁ……はぁ……うぅっ! っあぁっ! はぁ……」

 魔法の使用は多分に感覚に因るものであり、理屈で説明するのは難しい。
 ましてほむらは治癒魔法なんて使えないのだから、感覚を理解するなんて無理な話だ。

 考えられるとすれば、痛覚の緩和と同時には使えない、使う余裕がない。意図的に魔力を節約している。
 もしくは治癒――というよりも、最早、修理に近い行為に際し、
 神経や毛細血管の一本一本にまで感覚を張り巡らせる必要があるという可能性。 

 だとすれば、痛みを消してしまっては精密な肉体操作ができないのかもしれない。
 勝手な推測に過ぎないが。

 苦しむマミを傍で見ながら、ほむらは考えていた。

――巴マミは生きている。
 涙、涎、鼻水。顔面を様々な液体で汚しながら。
 苦痛にのたうち回りながらも、彼女は懸命に生きようとしている。

 そうまでして治癒を続けるのは、彼女自身も生きたいと願う意志があるからだろう。
……その先に何が待ち受けているかも知らず。

 唐突に不安に駆られる。後悔と言ってもいい。
 本当に……これでよかったの?

 安らかで潔い死。

 苦痛に満ちた不様な生。

 どちらが彼女にとって幸せだったのだろうか。
 いっそ、ここで死んでいた方がましと思えるほどの苛酷な現実が待ち受けているかもしれない。
 いや、きっとそうなるだろう。私は、それを知っている。

 仮初だとしても満足して死ねるのなら、それはそれで幸せだったのかもしれない。
 それを私が苦痛を与えて、無理やり引っ張り戻してしまった。
 果たして私のやったことは、正しかったのだろうか。
 私の行為こそ自己満足であり、偽善に過ぎないのではないか。

……らしくないことをしてしまった――
 


 暫くして太股の割れ目が閉じ、最後にはスゥと皮膚が張って、少女の艶めかしく白い肌が戻った。
 元通り、傷跡すら残っていなかった。

 奇跡の生還。
 普通ならば諸手を挙げて喜ぶべき場面。
 しかし、だ。見せつけられたのは、本物の奇跡と呼べる現象。
 瞠目する鋼牙の前で、目を開いたマミが身を起こす。

「う……ん。ふぅ……終わったわね……」

 立ち上がると同時にふらつくマミを、まどかが支える。

「マミさん! まだ休んでいた方が……」

『無理をしない方がいいよ、マミ。今の君は血が絶対的に不足している。常人なら、とっくに生命維持に支障をきたしてる量だ』

 続くキュゥべえの言葉で驚愕は更に加速する。
 瀕死――どう考えても手遅れだった人間が、一命を取り留めた上に、数分で傷を完治させ、立って歩いた。
 そもそも、とっくにショック死していてもおかしくない出血量だったのだが。

――彼女は……本当に人間なのか?

 日頃から異常の中に身を置く鋼牙をしても、度肝を抜かれる光景だった。
 魔法。
 便利な言葉だが、果たして、その一言で片づけていいものだろうか。
 魔法少女――どうやら彼女たちには大きな秘密があるようだ。

 そう睨んでいるのは相棒である魔導輪も同じだったようで、

『どう思う、鋼牙』

「さあな。今のところ確証はない。お前は?」

『大体は……たぶんお前と同じだろうぜ。ま、詳しくは、あの白いのと黒い女が知っているみたいだ。しかし――』

 不意にザルバが言葉を切った。
 闇の中を何者かが這い寄ってくる気配。ズリ、ズリ、と床を擦る音が追い付いてくる。
 鋼牙はほむら共々、瞬時に身構えるが、

「さっき凄い悲鳴が……マミさん……まどかぁ……」

 すぐに警戒を解いた。
 不安げな、今にも泣き出しそうな声。ずっと置き去りにされていた美樹さやかだった。
 全員がマミの救命に必死で、それどころではなかったのだが、さやかはそれを知らない。

 マミは姿を見せず、白い剣士も走って行ってしまった。暗闇と静寂が戻り、また独りぼっち。
 何秒かして、まどかとマミらしき悲鳴が聞こえた。
 近くにいるはずなのに、誰も見てくれない。探してくれない。
 ずっとこのまま忘れられるのかと思うと、取り残されるのが堪らなく怖かった。

 今度こそ、何が起こっているのか確かめずにいられない。
 たとえ恐ろしいことだとしても、見て見ぬ振りはできない。その為に傷付いた身体で這ってきたのだった。

「さやかちゃん!」

「まどか!」

 姿が見えるや否や、まどかが真っ先に走り寄って、さやかの表情もパァッと和らぐ。
 お互いに生き残ったことを喜び、両目から涙を溢れさせ、いざ感動の抱擁――とはいかなかった。

 手を伸ばす直前、さやかの脳裏に忘れかけていた疑念が蘇り、まどかとほむらが手を繋いで逃げる光景がフラッシュバックする。

 何もかも思いだした。
 あの時、突きつけられた絶望。

――もしかして、まどかはあたしを見捨てて逃げたんじゃ……。

 あり得ないと信じたい、本心では信じているのに、理性がそれを許さない。
 まどかは裏切った。親友だと思っていたのに。
 途端に、彼女の笑顔も温かい手も、すべてが偽りに思えて。
 
 パシッと――まどかの手を振り払っていた。

「あっ……」

 と、言ったのはどっちだったろう。気付いた時にはもう遅かった。
 血の気が引き、青褪めていくのを自覚する。
 これは違う。
 そう喉まで出かかったが、振り払ってしまった以上は言い訳もできず、

「……~~っ!」

 さやかは苦虫を噛み潰したような顔で押し黙るしかなかった。
 手を叩かれたまどかは一瞬さやかと同じ表情を浮かべたが、

「あ……ごめん。さやかちゃん……怪我してるもんね。ごめんね……」

 ぎこちない作り笑顔で言ったきり俯いてしまった。
 見ていたほむらもマミも言葉を発することができず、重苦しい沈黙が支配する。
 ほむらは原因が自分にあると勘付いたが、ここで釈明すれば、自分がまどかに執着する理由も話さなければならない。
 なるべくなら避けたかった。

 マミも詳しい事情を知らず、口を挿めないでいた。
 ほむらがまどかだけを逃がしたからだろうと察してはいたが、
 だからと言って何を言える訳でもない。

 部外者であり、飛び入りの鋼牙は尚更である。
 わかっているのは、まどかとさやかの間で、何らかの確執があったことだけ。 
 少し離れた位置から少女たちを眺めていると、左手のザルバがカタカタ顎を鳴らした。

『陰我とは、これ即ち因果。だが、こっちは流石のお前も手に負えるものじゃないか』

「因果……か」

 少女たちの視線を観察すると、ザルバの言葉の意味が実感できる。
 さやかの視線は気まずそうにまどかに向き、まどかは切なげにさやかを見ている。
 マミがほむらを見る目には、警戒と困惑、二種の感情が込められているように思う。
 ほむらの鋭い眼光は、いつの間にか鋼牙を見据えていた。 

『やれやれ……人間同士を結ぶ因果ってのは面倒だな。
切っても切れず、迂闊に切っていいもんでもない。そうだろう?』

 視線は複雑な感情を秘めて絡み合っている。
 だが、鋼牙にはその視線の意味が、彼女らを結んでいる因果の糸が見えてこない。
 この心境をどう説明したらいいものか。
 そこへいくと、ザルバの言葉は実に的確だった。

「ああ……まったくだ」

 そして最も面倒なのは、その因果の絡まりに既に自分も編み込まれていること。
 一日の疲労がどっと押し寄せてきて、鋼牙は軽く溜息を吐いた。
 ホラーとの戦いよりも、その後の出来事が神経を擦り減らしている。

 しかし不可解である。
 ホラーと魔女が同じ場所にいた。
 互いの使い魔が一緒になって襲ってきた。
 この場に、魔法少女と魔戒騎士が居合わせた。

 本当に偶然に過ぎないのだろうか。
 鋼牙には何者かの作為があるように思えてならなかった。
 何者かはわからない。そんな何者かが存在するのか否かも。

 因果という言葉の意味を改めて思い知らされる。
 今日のすべての出来事に原因があり、この結果が導かれたのだとしたら――。
 嫌な予感がする。この街そのものが底なしの泥沼であるかのような、得体の知れない不快感。
 とにかく、ホラーを浄化して終わりとは行かないことは確かなようだ。

「とりあえず……美樹さんは怪我をしているのでしょう? 私が治療するわ」

 物思いに耽っていると、マミが最初に沈黙を破った。
 助けもなしに歩けるようになっているが、さやかの前まで来て崩れそうになり、近くにいたまどかに支えられる。

「無理しないで、マミさん……」

『そうだよ、マミ。さっきも言ったけど、君は最低限身体を動かすのに必要な血液さえ足りていない。
魔力で無理に補っている状態だ。傷は塞がっても魔力は消費され続けているから、他に回す余裕なんてないよ』

「でも……」

「あ、あたしは大丈夫ですから……痛っ!」

 あくまで食い下がるマミに、手を振って答えるさやか。
立ち上がろうとして右足に力を込めるが叶わず、痛みにうずくまる。
 
「さやかちゃん!」

 まどかが叫ぶ。
 助けたかったが、肩を貸しているマミを放っては行けない。
 それに、拒絶されたばかりで行っていいのか、また拒絶されるのではないかと思うと足が動かなかった。
 
 関わってしまったからには見過ごせない、か。
 ほむらが動こうとするより早く、鋼牙はさやかの身体を軽々抱き上げる。

「きゃっ――」

 突然抱き上げられたさやかは身を固くするが、それが鋼牙だとわかると大人しくなった。
 名前も知らない男性。それでも、彼が信用に足る人物だという点は一切疑う余地がない。
 故に気恥かしさを感じながらも、素直に従っている。

 彼は黄金の騎士。命の恩人であり、真っ暗闇の中で唯一の光、希望そのものだから。

「俺が運ぶ。まずは、ここから出るのが先決だ。話はそれから聞かせてもらおう」

 そう言って、鋼牙は三人の少女たちを促す。
 この瞬間、魔戒騎士と魔法少女が交錯したのだった。

*

 その頃。
 空に満月が輝く下、夜の街を練り歩く少女が一人。
 服装はパーカーにショートパンツ。赤い髪をポニーテールに束ね、口にキャンディを咥えた少女だ。

「見滝原……か」

 懐かしさは感じなかった。愛着があったとすれば、それは友であり、帰るべき家であり、家族だ。
 しかし、この街にはどれもない。かつてはあったが、今はない。
 この街には自分の居場所はない。ならば自力で獲得するのみ。たとえ、誰かから奪い取ることになっても。
 それが少女の生き方だった。

「さて、あの黒いのはどこにいるんだか……」

 ぼやきながら当座の目的を果たすべく街を歩くのだが、一向に成果はない。
 手に赤いソウルジェムを握り、廃ビルに廃工場等、魔女のいそうな場所をしらみ潰しに当たるのだが、捜しているのは魔女ではない。

 残る一人の魔法少女。
 佐倉杏子は一人の剣士を捜して街を訪れていた。

 そして彼女の捜し求める剣士――涼邑零は、彼女の足下にいた。
 そこは滅多に誰も寄り付かない、まして夜となれば踏み入る者は絶無の、地下を流れる水路。

 夜の地下水路は真に暗黒の世界だ。光と闇の割合は10対0。
 しかし零の周辺に限っては、その比率は逆転していた。
 地下水路には電灯もなく、月の光も街の光も差さないというのに。

 白い光が降り注ぎ、零は銀色の光を放つ。
 例えばその身から。
 交差する双剣から。
 誰に照らされる必要もない。さながら自ら光り輝く恒星の如く。

 今の彼は、厳密には涼邑零ではない。
 其の名はゼロ。
 銀牙騎士・絶狼。
 反りを持つ双つの牙を操る狼。冴島鋼牙と同じく、銀色に輝く鎧を纏う魔戒の騎士。

 尖端が釣針のように鉤状の返しがついた双剣が、闇に閃いた瞬間。
 魔女は十字に切り裂かれ、断末魔が地下に木霊した。

 鎧の召喚を解いた零は、黒い衣装もあってすぐに闇に同化する。
 視界は再び暗闇で塗り潰されたが、仕事柄、闇の中で活動する零には然して苦ではない。
 悠々と帰路に就く零は、手の中で黒い宝石を遊ばせる。
 そこへ語り掛ける女の声。しかし、姿は見えない。

『また手に入れたのね、その宝石』

「ああ。マミちゃんって言ったか……今度、彼女に会った時にでも土産にあげるさ」

『手土産の一つでもないと、彼女は話を聞いてくれそうにないから?』

「ま、それもあるけどな」

 手首に付けた魔導具・シルヴァに答える零。
 黒い宝石、グリーフシードは魔法少女に必要なアイテムらしい。
 どう必要かまでは知らないが、それも含めて調べるのがいいだろう。

 その為にも、この街で出会った魔法少女――巴マミ、彼女とはまた会いたい。
 いや、会わなければならないだろう。

 強さと弱さが危ういバランスで同居している。
 それが今日、彼女に感じた第一印象。
 まるで昔の誰かを見ているようで、因縁めいたものを感じずにいられなかった。 
 だが、知らぬ内に因縁を結んだ魔法少女がもう一人、すぐ側まで来ているとは考えもしなかったのだが。



 街を訪れた二人の男と少女たちは出会い、互いの戦いに巻き込まれていく。

 冴島鋼牙。

 涼邑零。

 共に、闇に潜み人を喰らう魔獣、ホラーを狩る使命を持つ魔戒騎士である。
 彼らが邪悪な気配に誘われたのは当然の帰結と言えるだろう。
 しかし邪悪な気配はホラーだけのものではなく、魔女と呼ばれる怪物とも融け合い、混じり合い、既に形を成すまでに至っていた。
 やがて街を覆う、どす黒く淀んだ闇は、二人の騎士をも呑み込み渦巻いていく。
 だが案ずることはない。彼らの鎧と剣は、闇の中でこそ燦然と輝くものなのだから。

 魔戒騎士とホラーに関する諸々の伝承と闘いの詩を記した古文書、《魔戒詩篇》の一節に、このような記述がある。


 光あるところに、漆黒の闇ありき。

 古の時代より、人類は闇を恐れた。

 しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ――と。


 故に私は、この伝説の語り部として断言しよう。
 
 黄金騎士・牙狼と、銀牙騎士・絶狼。

 黄金の狼と双剣の銀狼。

 夜の街を駆け抜ける二頭の狼。その軌跡は眩い剣閃となり、少女たちを絡め取る闇を切り裂く。
 鎧を纏う二人の騎士。その甲冑は絢爛にして勇壮、下卑た偽りのメッキなどでは断じてない。
 一点の曇りもなく、見る者を圧倒し、同時に魅了する真実の輝き。
 その輝きが、気高き狼の咆哮が、闇の中を彷徨う魂を導く道標になるのだと。

 出会いは偶然か、はたまた運命か。それとも奇跡だったのか。それは今もってわからない。
 しかし、これだけは言える。黄金と白銀の騎士はまさしく、私たちにとっての希望の光だったのだと。
 私は今も信じている。


次回予告(まどか☆マギカver)

*

マミ「あなたの口から聞かせてほしい。あなたの言うことなら、私……信じるから」
キュゥべえ「わかったよ、マミ。君に本当のことを話そう」


第2話
キュゥべえ「君にその勇気があるのなら」

*

次回予告(牙狼ver)

*

次回! 『牙城』

闇の世界へ、ようこそ

*


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