2009年09月16日 02:56
シンをコードギアス25話直後の世界に放り込んでみる
名前:第25.5話 mailto:sage [2007/10/07(日) 03:36:45 ID:???]
「シン 起きて、シン 起きて」
「んっ ルナ」
「よかった 気がついたのね・・・・」
ルナはホッとした表情でシンを見つめる。
「ルナ ここは 何処?」
「多分、地球の何処かよシン」
「地球の何処かって・・・・」
←ブログ発展のため1クリックお願いします
名前:第25.5話 mailto:sage [2007/10/07(日) 03:36:45 ID:???]
「シン 起きて、シン 起きて」
「んっ ルナ」
「よかった 気がついたのね・・・・」
ルナはホッとした表情でシンを見つめる。
「ルナ ここは 何処?」
「多分、地球の何処かよシン」
「地球の何処かって・・・・」

シンは気がついたら、自分がヘルメットを被っていなかった。
(確かに、此処は 地球のようだ)
地球ならヘルメットを被らなくても生きていられるからだ。
「ねえシン。あれを見て・・・・」
「え?」
シンはゆっくりと上体を上げながら、ルナが指を指した方を見つめる。
「あれは・・・・」
一際高く聳え立つ山がそこに存在していた。
「あの山はなあにシン・・・・」
「・・・・あれは富士山だ!?」
「え!? あれが富士山」
「あれが富士山・・・・」
「そうだよルナ」
日系人であるシンは、まだオーブ国民であった頃に、学校の授業や両親に先祖の地である日本の事を教わっていた。
「でも、私達はこんな所にいるの!?」
「わからない」
「でも、あの赤い光が原因かもしれないルナ・・・・」
「あの光・・・・」
「そうだ」
要塞メサイアが陥落して月面に墜落した直後に、二人は赤い輝きに包まれて気を失ったのである。
「とにかく、移動をしようルナ」
「移動って」
「ここに居ても、事態は解決しない。 それに」
「それに?」
シンは意識を失う中、奇妙な紋章の前に姿を現したショートカットの少女の言葉を反芻していた。
シンは首を振ってルナを促す。
「とにかく、状況を把握出来る場所に移ろう。でないと、今現在の状況すら把握困難だ」
「・・・・わかったわ」
ルナは困惑をしながらも、シンの言葉に従う事にした。
これがシンとルナ、ゼロと藤堂の出会いの一歩となった。
そして、ブリタニア軍最強の死神・枢木スザクとの長き戦いの一歩でもあった。
「では、桐原公は全軍に富士裾野のまで後退しろと、言うのだな・・・・」
「はい、富士裾野で黒の騎士団の立て直しと、最終決戦の準備を急げとのとの事です」
「簡単に言ってくれる」
藤堂は苦虫を噛み締めた表情で、ディートハルトをみやる。
「ですが、他に方法はございません」
「わかっている仙波」
千載一隅の好機を失った思いが、藤堂の決断力を鈍らせていた。
だが、藤堂は決断せねばならなかった、最後の一類の望みを次代に遺すために・・・・。
「全軍に通達。動ける者は、富士裾野に集結せよと・・・・」
「はっ」
藤堂の一言で、沈痛な思いに沈んでいた黒の騎士団達が動く。
藤堂の目には、冥界へと向かう死の行進に見えていた。
(このような状況で、皆に次代に想いを託す戦いをしろと言うのだ・・・・)
これこそ奇跡が必要な状況であった。
(幸いな事に、関東一帯のブリタニア軍も、我々以上に疲弊している事だが・・・・)
「藤堂将軍」
思案に耽っていた藤堂に神楽耶が声をかける。
「神楽耶殿」
彼女が何を言いたいのかはわかっていた。
「・・・・ゼロ様は、・・・・ご無事なのでしょうか・・・・」
「今は彼の話しは止めていただきたい」
藤堂は不快な感情に堪えながら、神楽耶を制する。
「ですが・・・・」
「居なくなった者の事を言っても、事態は解決をしない」
藤堂の怒りを込めた言葉に、彼女はうなだれてがっくりと肩を落とす。
側にいたディートも、苦渋の顔を浮かべていた。
ポツポツ
指揮車の外を見ると雨が降り始めていた。
(これは恵みの雨だな)
この雨に紛れて何とかブリタニア軍の空爆の恐れは大幅に減少した。
「カレンは無事かな・・・・」
自分の無頼を格納してあるトレーラで、杉山は力無い言葉でカレンの無事を祈っていた。
「けっ、生きている訳がないだらうが」
「辞めろよ、玉城」
敗戦でやけ酒を煽っている玉城を、南がやり場の無い怒りを抑えて窘める。
「へっ、どうせカレンもゼロもC.C.も、枢木スザクかあの化物機に殺されたに決まっている」
完全に自棄になっている玉城。
「ちくしょう、ちくしょうーう」
一升瓶をぐいぐいと飲み始めてしまった。
南と杉山は、諦めと哀れめの表情で玉城を見る事しか出来なかった。
その頃、シンとルナの二人は、雨に塗られずに済んでいたのだが、二人が置かれた状況は決してよくなかった。
「ねえシン、私達これからどうなるの・・・・」
途方に暮れた表情でシンを見つめるルナ。
「さあね」
「さあねって、無責任の極みよっ」
シンは無責任である事は認めるが、どうしようもない事態ではあった。
「お前ら、少し静かにしろよ!。捕虜の分際で態度がでかいぞ」
全身が黒い戦闘服で統一されている武装集団の捕虜になっていた。
そう、シンとルナは黒の騎士団のパトロール部隊に発見されて、ブリタニア軍のスパイとして逮捕されていた。
「さっきから、ザフトだのオーブだの東アジア共和国だのと、訳のわからない事ばかり言いやがって」
「一つ聞いていいか」
輸送トラックに揺られながらシンは、銃を突き付けている兵士達に問い質す。
「なんだ急に」
「ここは何歴を用いているんだ」
「皇歴だ!それがどうかしたか!?」
(やはりここは)
シンは一つの可能性に到達していた。
「ちょっと、皇歴ってどういう事なのよ。C.E.じゃないの」
中々、自分が置かれた環境が理解できないでいるルナが、黒の騎士団の兵士に聞き返す。
「お前 馬鹿か?」
シンとルナが、異世界からやってきた者だと理解できないでいる、黒の騎士団の兵士は正直に言い返す。
「なんですってーえ」
馬鹿と言われて、大人しくしていられないのがルナの性格。直ぐに沸騰して、相手に突っ掛かりつつあった。
「よせ ルナ」
何時もとは違うな。と思いながらも、ルナを制するシン。
「わかったわよ」
ルナは仕方なく席に座った。
シンは自分の予測が外れている事を期待していたのであった。
例年以上の雨が降りそそぐなか、衝撃的な情報が全世界を駆け巡る。
「ブリタニア皇帝が何者かに謀殺されただと!?」
「間違いありません藤堂将軍・・・・」
藤堂はシンとルナマリアの事情聴衆の最中に、衝撃的な報せをディートハルトから報せられる。
「・・・・信じられん。一体何者が・・・・」
一瞬、スザクの事が脳裏に浮かんだが、藤堂は即座に首を振って脳裏を否定した。
「・・・・ともかく、桐原公が御呼びです」
「わかった今行く・・・・」
藤堂は椅子から立ち上がると、シンとルナマリアの二人に向き直る。
「これで君達二人のスパイ容疑は晴れた、今後の身柄の問題に関しては後日決める事にしたい」
「わかりました」
「必要な物が有れば、監視の者達に申し出るように。もっとも、余り満足はさせられんがな」
「おきづかいはご無用です」
「ではな」
藤堂は踵を返して、二人が拘禁されている部屋から出て行く。
バタン
「ねえシン、これからどうするの・・・・」
「暫くは様子見だね」
シンはテーブルからベッドに移動して横たわる。
二人が拘禁されている部屋は、サクラダイトプラント関係者の宿泊施設である。
そのため拘禁されていても、空調が完備されているため、快適な生活を送れていた。
「でも、余りゆっくりとは出来ないと思う」
シンの言葉は数週間後に的中する。白い死神の到来と共に・・・・。
集まった大会議室にある巨大画面と、各自のPCには、ブリタニア皇帝が何者かに惨殺されたニュースが報じられていた。
「あらゆるメディアと政府・軍の放送通信が、ブリタニア皇帝惨殺事件を報じています」
「つまり、ディートハルト。この惨殺事件は、本物なのだな……」
藤堂は未だに信じられない思いでいた。
いや、藤堂だけではなく、大会議室に集まった京都六家や黒の騎士団幹部全員の共通の思いだった
「はい!間違いありません」
「でもいったい、犯人は誰なんだ……」
ト部が疑問を挟む
そして、周囲がディートハルトに向く
困ったのはディートハルト自身だった
「現状では、犯人が誰なのかわからないとしか言いようがありません」
『この現状では、何一つとしてわかりませんよ』の仕草に、周囲はため息を尽くしかなかった
「ともかく、この一件を我々に取って、どう影響するのか。その方が大事ですな」
京都六家の重鎮・宗方である
「確かにな……」
桐原としても、この事件をどう有利に持ち込むかを、算段しなければならなかった
黒の騎士団の戦力が大きく疲弊した今現在、トウキョウ租界に続々と到着しつつある、ブリタニア帝国軍ショナイゼル軍に対抗出来ようが無い
そこで京都六家の重鎮の一人、刑部が重要な発言を行う
「確か、ブリタニア皇帝は、定まった後継者・皇太子を、決めていなかったはずだ」
「ふむ!、確かにのーう」
同じく京都六家の重鎮の一人、公方も同意して相槌をうつ
「定まった皇太子を決めなかったのは、ブリタニア皇帝に取ってこれだという、人物がいなかったからだ。この事が、ブリタニア帝国内に内紛を招くかもしれない」
刑部の発言に、全員が希望の道を見いだす。
「余り楽観的希望的観測はすべきではないが、何等かの形で、ブリタニア帝国内に内紛を引き起こせないだろうか……」
この時、桐原の頭の中では、第一皇子オデュッセウスと第二皇子シュナイゼルの二人が、脳裏に浮かんでいた
「その為には、我々は次の戦いで勝たなくてはなりません刑部殿」
「勝たなくはならないとは!?、藤堂将軍」
「第二皇子シュナイゼルは、軍と民衆の支持を基盤にしているからです。そうだなディートハルト!」
藤堂は刑部の疑問に明確に答える
「ええ、その通りです。それとは逆に、第一皇子オデュッセウスは、貴族界と宗教界の支持が厚い人物です」
「ならば、シュナイゼルは必ず、自軍で持って我々を叩き潰しに来ます。時期皇帝の座が、自分であると証明するために」
藤堂の断言に反論する声は無く。全員が、無言の沈黙で藤堂の発言を肯定した。
「……それでも」
「……それでも、私達は戦わなくてはなりません。日本の明日を守るために、戦わなくてはならないのです」
それまで、ずっと、沈黙をしていた上座の神楽耶が、苦汁の顔を隠せずに戦うと宣言した
「……」
「だけどよ、どうやって戦うと言うんだよ。今の黒の騎士団の戦力でよ」
〔ドン〕
藤堂が、何かを言おうとした時。玉城が神楽耶の発言に食いつく。
「それは……」
「ブリタニア軍10万が援軍として、トウキョウ租界に到着をしているんだぞ」
正確には、シュナイゼル軍が到着中であった。
「それだけじぇねえ、あの糞忌ま忌ましい特派とランスロットだっているんだぞう」
「…………」
「なのに、どうやって戦えと言うんだ、お姫様」
玉城の口調は乱暴ではあるが、決して、的外れの発言はしていない。むしろ正鵠を得た発言をしている
「もう少し、現実を認識して欲しい物だな」
「………………」
軍事に関して、ド素人の神楽耶は俯いて沈黙してしまった。
が、その時
「数の差が、決して、勝敗を左右するとは限らない」
「藤堂将軍……」
藤堂は神楽耶に向き直って、話しを続ける
「神楽耶殿、確かに、戦争に置いて数は重要ではありますが、知恵と工夫で補う事は出来ます」
「では、勝算はあると……」
「スザク君とランスロットを押さえ込めれば、勝算が出てきます」
「藤堂将軍、それが一番難しいのでは!?」
「私に、宛があります」
藤堂のその一言に、全員が身を乗り出す。
「それは本当なのですか藤堂将軍」
あの枢木スザクとランスロットを押さえ込める。
そんな事は、実現不可能と思っていた。だが、実現可能となると、話しが変わって来る
「説得の時間を必要としますが、完成したばかりの紅蓮弐式三機の内二機のデヴァイザー候補が、二人います」
「そのお二人の名前は!?」神楽耶は、藁に縋る思いで藤堂に聞いた
「名前は、シン・アスカとルナマリア・ホークの二人です」
「なにい!?、それは本気か刑部殿」
「私は至って本気だともお二方」
会議が終わった後、京都六家一人刑部は同じ京都六家の、公方院と宗像を自室に呼び、ある重大提案をしていた
「しかし、先程の会議では徹底抗戦と決まったばかりだぞ」
提案に驚きを隠せない宗像は、刑部に止めるべきの表情をした
「では、お二方にお聞きをするが、今の黒の騎士団の戦力で万が一の勝ち目は、ありますかな」
「う それは……」
「未だ4万の戦力が健在だとは言え、機動兵器の6割以上を失い、もっとも必要な野戦重火器が無いこの現状で」
刑部の指摘に二人は黙らざるえなかった。
「しかし、だからと言って、黒の騎士団の解体解散と桐原と神楽耶殿を含めた幹部全員の引き渡しを条件に、今更ブリタニア帝国の軍門に降るのは……」
「では どうしろと」
どうしろと言われても、他の二人には具体的な提案は浮かばなかった。
「結論から言えば、ゼロに我らと日本の命運を託したのは、大きな間違いでしかなかったのだ」
「それは言い過ぎでは無いのか!?」
「言い過ぎ?、ではゼロは自軍を見捨てて、何処に行ったのだ!?」
ゼロが突如として、指揮権を放棄して何処かへと行方知れずになった件を刑部は持ち出した
「う、それは……」
言葉に詰まる公方院
だが宗像が助け舟を出す
「扇副司令の話しによると、何やらゼロに想定外の事態が高い話しのようじゃが」
「例えそうであっても、一番大事な正念場での指揮権放棄なぞ、もっての他であろう」
「確かに……」
「今一番大切なのは、生き延びる事であって、滅亡する事でない」
「……………………」
二人の沈黙を同意したと判断した刑部は、段取りに移り始めた
「では、私の方で、ブリタニア帝国軍に特使を出すとしよう。宜しいですかなお二方」
重苦しいため息を尽きながら、宗像は刑部の意見に賛同した
「わかった!、刑部殿に全面的にお任せしよう」
「公方院殿」
「…………刑部殿にお任せする……」
「お二方の理解と賛同を感謝いたします」
ゼロの失敗と不始末のために、滅びる気は刑部には微塵もなかった
次の日の朝、シンとルナマリアのナイトメアの適性テストが、シュミレーション室で行われていた。
結果は藤堂ですら息を飲む程の数値を二人は叩き出していた。
「レベルシックスを完全にクリアー、レベルセブンに以降します」
「シン・アスカ、紅蓮弐式との適合率は96%!。ルナマリア・ホーク、紅蓮ニ式との適合率は92%です」
「シン・アスカの紅蓮弐式メインジェネレータ、やや過熱状態です」
ラクシャータが呆れた表情でオペレーターに指示を出す
「シン・アスカに連絡、ややパワーを落とすように」
「はい」
(やはり、自分の目に狂いは無かった)
藤堂は一目見た時からシン・アスカに、枢木スザクと同じ資質を感じ取っていた
そしてたった今、その感覚が間違い無かった事を確信した
「藤堂将軍、こいつは飛んだ掘り出し物ですな」
驚きと興奮の表情の仙波が、藤堂に囁く
「ああ、全くだ」
「藤堂将軍、おぬしの目に狂いは無かったようじゃのう」
「ありがとうございます桐原公……」
正直 藤堂は、桐原に褒められても余り嬉しくはなかった
「良いじゃろう、この二人を傭兵として雇う事を認めよう」
「助かります」
「うむ」
最初、藤堂から聞いた時には、半信半疑の思いでいたのが、桐原の本音だった。
だが、この数値を見れば完全ではないが納得せざる得なかった
「ラクシャータどうだ」
藤堂は呆れた表情の間々のラクシャータに声をかける
「どうもこうもないね。この二人、本当に人間かい!?」
「どういう意味だ!?」
「……シュミレーションを始める前に、基本的プログラムを白兜と同等にしといたんだよ」
モニター画面には、二人が次々とブリタニア帝国軍のKMFを、息のあったコンビネーションで破壊する光景が写っていた
「それは本当か!?」
「ああ………」
「つまり、あの二人はランスロットの性能を最大限に、引き出す事が可能だと言うのか」
「正しくそのとおり」
パイブを口に加えながら説明を続ける
「あの白兜が、か弱い人間が操縦できないのは知っているわよね」
「正直不愉快だラクシャータ。スザク君もあの二人も人間だ」
「……私は科学者だよ。詰まらない情緒よりも、数字に裏付けられた科学的真実が優先する」
「人間を数字で計るのは止めて頂こう」
言葉遣いは穏和ではあるが、目は怒っている藤堂を見てラクシャータは下がる事にした
「わかったよ……」
「ならいい」
富士裾野、そこは旧日本陸軍最大の軍事基地があった所。
そして今は黒の騎士団の最後の塞となっている。
「状況はどうなっている!?」
シンとルナマリアの二人を取り敢えず、ラクシャータに任せた藤堂は地下司令部に戻り、即席の司令部要員に状況を問合せた。
「ブリタニア軍は、横浜-町田にかけて軍を展開していますが、今の所大規模な軍事行動に出てはいません」
「そうか・・・・」
通信担当要員からの状況を確認した藤堂は、首を傾げざる得なかった。
(おかしい、幾らブリタニア皇帝が惨殺されたとは言え、動きが鈍過ぎる上にゼロに関する情報が何一つないとは・・・・)
ゼロとカレンの二人は行方不明の間々であった。
時間が立つに連れて、二人の生存には絶望視し始めていた。
(・・・・まさか 二人は何等かの形で生存しているのでは!?)
例え二人が生存していても、それを確かめる術が無いのが実状であった。
だがそこえある人物からの連絡が、厚木で情報収集に当たっていたディートハルトの携帯電話に入った。
『ディートハルト!、聞こえるか私だ ゼロだ』
「ゼロ・・・・」
ディートハルトに取って待ちに待った、ゼロからの連絡であった。
「・・・・今、何処に居るのですか!?」
『すまなかった、色々と心配をかけさせてしまったな・・・・』
元々、音感が人一倍優れていたディートハルトは向こう側の声の主が、ゼロである事を確信した。
「言え、それは良いのですゼロ。貴方さえ生きていてくだされば」
『所でディートハルト。カレンは戻って来てはいるのか?』
「・・・・いいえ。残念ながら、未だ・・・・」
『そうか・・・・』
「貴方様と一緒ではなかったのですか?」
『枢木スザクとの戦いで彼女とは、生き別れになってしまった。・・・・恐らくは生きてはいないだろう・・・・』
「そうですか・・・・」
もはやカレンの生存は諦めるしかないと、ディートハルトは割り切る事にした。
『もう一つ聞きたい事がある』
「難でしょうゼロ」
『ブリタニア皇帝が惨殺されたのは本当か!?』
「何度も確認をしましたので、間違いありません」
そこでゼロは何と無く胸騒ぎを覚えた。
(どうやら、俺の知らない所で何かが起きているようだ)
「ところでゼロ、貴方様はいつ頃戻って来る事が出来るのです」
黒の騎士団内部では、ゼロに対する人望と支持はがた落ちだが、小数ではあるがゼロの生存と復帰を、期待する声もある。
『・・・・残念ながら、私は当面の間、表舞台への復帰は不可能だ』
「何故です!?」
『すまない。電話では詳しい説明ができないのだディートハルト・・・・』
ディートハルトは拳を握り閉めて、歯痒い思いを堪えた。
「・・・・わかりました・・・・、ですが、私は貴方様の表舞台への復帰を諦めるません」
『わかった。いつかは必ず、表舞台への復帰を約束しよう』
「信じておりますゼロ」
その後、今後の連絡や複数の打ち合わせを行い二人は電話を切った。
「聞いての通りです咲世子さん」
左目に眼帯をしたルルーシュは、咲世子に向き直った。
「思っていた以上に、事態は大きな変貌を遂げていたようですね」
「ええ、全くです」
今 ルルーシュは咲世子が用意していた隠れ家に身を伏せていた。
この隠れ家が、よもや枢木家の一つとは誰も考えはしないだろう。
「正直言って、貴方が枢木家の人間とは思いもしませんでした」
「正確には、一族の末端の一人でしかありませんですわルルーシュ様」
「それなら、スザクが貴女を知らないのは当然ですね」
「枢木一族は、末端の者も含めると数千にも上る巨大一族ですので」
ルルーシュは溜息を尽くしかなかった。
「本当にいいのですね」
「何がですか!?」
「自分を匿って」
「枢木一族も、決して一枚岩の一族ではありません。そう言えば、ルルーシュ様は私の背後関係を何気なく察知出来ると思いますが!?」
ルルーシュは概ねは了解した。
どうやら枢木一族の中に、自分を何等かの形で利用したい勢力が存在しているようだ。
「ナナリーは無事なのだろうか・・・・」
咲世子の背後関係については、敢えて言及しない事にしたルルーシュ。
だが、その次の瞬間に、最愛の妹ナナリーの生存の安否が気になる。
「申し訳ありません。現状では、ナナリー様の行方を調べる事は不可能なのです」
「・・・・別に、貴女が謝る必要は何処にもありませんよ」
自分を匿って貰えている時点で、危険極まりないのにそれ以上の事を求める事は出来ない。
そう割り切ったルルーシュは、左目の眼帯に触れて暴走が治まらないでいたギアスの、克服を優先させる事にした。
(・・・・富士の二の舞だけは、裂けなくてはならない・・・・)
そう決心したルルーシュだが、ギアスの克服には今暫く掛かりそうであった。
それから数日後、神聖ブリタニア帝国第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアからの、京都六家と黒の騎士団への無条件降伏の最後通牒が、テレビで放送された。
その内容を巡り京都六家と黒の騎士団は大揺れとなった。
「まさかゼロの正体が、元ブリタニア皇族であったとはな・・・・」
「しかも、惨殺されたブリタニア皇帝が、その事を知っていながら伏せていた事だ」
事前にゼロの正体を知っていた桐原は、大会議室の空気にまずいと感じていた。桐原がもっとも懸念していた事態だからであった。
「次のブリタニア皇帝を決める為に、敢えて黙認して骨肉争いをさせていたとはな・・・・」
「しかも、富士虐殺の真犯人がゼロであったとは・・・・」
シュナイゼルの声明の中には、富士虐殺事件の真犯人がユーフェミア・リ・ブリタニアではなく、ゼロがギアスと言う絶対服従の、強力な催眠暗示を使ってユーフェミアに実行させた声明が含まれていた。
「ですが、何かの間違いではありませんか!?。ゼロ様が、そんな恐ろしい事を仕組んだ等と」
顔面蒼白の神楽耶は、ゼロを擁護して敢えて疑問をていした。
・・・・・・・・・・
大会議室の神楽耶を見る視線の大多数は冷ややかであった。
「ディートハルト」
「何でしょうか藤堂将軍」
ディートハルトは藤堂の鋭い視線を受けて身構えた。
「ゼロと連絡を取れ」
「・・・・・・・・」
「ゼロ本人と直接話しがしたい」
「ですが、ゼロは今は表舞台には出られないと・・・・」
《ドーーーーーーン》
普段は沈着冷静な藤堂ではあったが、この時ばかりは激高した表情でテーブルを、拳で叩きつけた。
「今は、そんな事を言っている場合か。ゼロに大至急、此処に来るように伝えろー」
「・・・・わかりました・・・・」
ディートハルトは、苦渋の表情を浮かべながら受話器を取り、連絡先の携帯電話の番号をプッシュした。
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(確かに、此処は 地球のようだ)
地球ならヘルメットを被らなくても生きていられるからだ。
「ねえシン。あれを見て・・・・」
「え?」
シンはゆっくりと上体を上げながら、ルナが指を指した方を見つめる。
「あれは・・・・」
一際高く聳え立つ山がそこに存在していた。
「あの山はなあにシン・・・・」
「・・・・あれは富士山だ!?」
「え!? あれが富士山」
「あれが富士山・・・・」
「そうだよルナ」
日系人であるシンは、まだオーブ国民であった頃に、学校の授業や両親に先祖の地である日本の事を教わっていた。
「でも、私達はこんな所にいるの!?」
「わからない」
「でも、あの赤い光が原因かもしれないルナ・・・・」
「あの光・・・・」
「そうだ」
要塞メサイアが陥落して月面に墜落した直後に、二人は赤い輝きに包まれて気を失ったのである。
「とにかく、移動をしようルナ」
「移動って」
「ここに居ても、事態は解決しない。 それに」
「それに?」
シンは意識を失う中、奇妙な紋章の前に姿を現したショートカットの少女の言葉を反芻していた。
シンは首を振ってルナを促す。
「とにかく、状況を把握出来る場所に移ろう。でないと、今現在の状況すら把握困難だ」
「・・・・わかったわ」
ルナは困惑をしながらも、シンの言葉に従う事にした。
これがシンとルナ、ゼロと藤堂の出会いの一歩となった。
そして、ブリタニア軍最強の死神・枢木スザクとの長き戦いの一歩でもあった。
「では、桐原公は全軍に富士裾野のまで後退しろと、言うのだな・・・・」
「はい、富士裾野で黒の騎士団の立て直しと、最終決戦の準備を急げとのとの事です」
「簡単に言ってくれる」
藤堂は苦虫を噛み締めた表情で、ディートハルトをみやる。
「ですが、他に方法はございません」
「わかっている仙波」
千載一隅の好機を失った思いが、藤堂の決断力を鈍らせていた。
だが、藤堂は決断せねばならなかった、最後の一類の望みを次代に遺すために・・・・。
「全軍に通達。動ける者は、富士裾野に集結せよと・・・・」
「はっ」
藤堂の一言で、沈痛な思いに沈んでいた黒の騎士団達が動く。
藤堂の目には、冥界へと向かう死の行進に見えていた。
(このような状況で、皆に次代に想いを託す戦いをしろと言うのだ・・・・)
これこそ奇跡が必要な状況であった。
(幸いな事に、関東一帯のブリタニア軍も、我々以上に疲弊している事だが・・・・)
「藤堂将軍」
思案に耽っていた藤堂に神楽耶が声をかける。
「神楽耶殿」
彼女が何を言いたいのかはわかっていた。
「・・・・ゼロ様は、・・・・ご無事なのでしょうか・・・・」
「今は彼の話しは止めていただきたい」
藤堂は不快な感情に堪えながら、神楽耶を制する。
「ですが・・・・」
「居なくなった者の事を言っても、事態は解決をしない」
藤堂の怒りを込めた言葉に、彼女はうなだれてがっくりと肩を落とす。
側にいたディートも、苦渋の顔を浮かべていた。
ポツポツ
指揮車の外を見ると雨が降り始めていた。
(これは恵みの雨だな)
この雨に紛れて何とかブリタニア軍の空爆の恐れは大幅に減少した。
「カレンは無事かな・・・・」
自分の無頼を格納してあるトレーラで、杉山は力無い言葉でカレンの無事を祈っていた。
「けっ、生きている訳がないだらうが」
「辞めろよ、玉城」
敗戦でやけ酒を煽っている玉城を、南がやり場の無い怒りを抑えて窘める。
「へっ、どうせカレンもゼロもC.C.も、枢木スザクかあの化物機に殺されたに決まっている」
完全に自棄になっている玉城。
「ちくしょう、ちくしょうーう」
一升瓶をぐいぐいと飲み始めてしまった。
南と杉山は、諦めと哀れめの表情で玉城を見る事しか出来なかった。
その頃、シンとルナの二人は、雨に塗られずに済んでいたのだが、二人が置かれた状況は決してよくなかった。
「ねえシン、私達これからどうなるの・・・・」
途方に暮れた表情でシンを見つめるルナ。
「さあね」
「さあねって、無責任の極みよっ」
シンは無責任である事は認めるが、どうしようもない事態ではあった。
「お前ら、少し静かにしろよ!。捕虜の分際で態度がでかいぞ」
全身が黒い戦闘服で統一されている武装集団の捕虜になっていた。
そう、シンとルナは黒の騎士団のパトロール部隊に発見されて、ブリタニア軍のスパイとして逮捕されていた。
「さっきから、ザフトだのオーブだの東アジア共和国だのと、訳のわからない事ばかり言いやがって」
「一つ聞いていいか」
輸送トラックに揺られながらシンは、銃を突き付けている兵士達に問い質す。
「なんだ急に」
「ここは何歴を用いているんだ」
「皇歴だ!それがどうかしたか!?」
(やはりここは)
シンは一つの可能性に到達していた。
「ちょっと、皇歴ってどういう事なのよ。C.E.じゃないの」
中々、自分が置かれた環境が理解できないでいるルナが、黒の騎士団の兵士に聞き返す。
「お前 馬鹿か?」
シンとルナが、異世界からやってきた者だと理解できないでいる、黒の騎士団の兵士は正直に言い返す。
「なんですってーえ」
馬鹿と言われて、大人しくしていられないのがルナの性格。直ぐに沸騰して、相手に突っ掛かりつつあった。
「よせ ルナ」
何時もとは違うな。と思いながらも、ルナを制するシン。
「わかったわよ」
ルナは仕方なく席に座った。
シンは自分の予測が外れている事を期待していたのであった。
例年以上の雨が降りそそぐなか、衝撃的な情報が全世界を駆け巡る。
「ブリタニア皇帝が何者かに謀殺されただと!?」
「間違いありません藤堂将軍・・・・」
藤堂はシンとルナマリアの事情聴衆の最中に、衝撃的な報せをディートハルトから報せられる。
「・・・・信じられん。一体何者が・・・・」
一瞬、スザクの事が脳裏に浮かんだが、藤堂は即座に首を振って脳裏を否定した。
「・・・・ともかく、桐原公が御呼びです」
「わかった今行く・・・・」
藤堂は椅子から立ち上がると、シンとルナマリアの二人に向き直る。
「これで君達二人のスパイ容疑は晴れた、今後の身柄の問題に関しては後日決める事にしたい」
「わかりました」
「必要な物が有れば、監視の者達に申し出るように。もっとも、余り満足はさせられんがな」
「おきづかいはご無用です」
「ではな」
藤堂は踵を返して、二人が拘禁されている部屋から出て行く。
バタン
「ねえシン、これからどうするの・・・・」
「暫くは様子見だね」
シンはテーブルからベッドに移動して横たわる。
二人が拘禁されている部屋は、サクラダイトプラント関係者の宿泊施設である。
そのため拘禁されていても、空調が完備されているため、快適な生活を送れていた。
「でも、余りゆっくりとは出来ないと思う」
シンの言葉は数週間後に的中する。白い死神の到来と共に・・・・。
集まった大会議室にある巨大画面と、各自のPCには、ブリタニア皇帝が何者かに惨殺されたニュースが報じられていた。
「あらゆるメディアと政府・軍の放送通信が、ブリタニア皇帝惨殺事件を報じています」
「つまり、ディートハルト。この惨殺事件は、本物なのだな……」
藤堂は未だに信じられない思いでいた。
いや、藤堂だけではなく、大会議室に集まった京都六家や黒の騎士団幹部全員の共通の思いだった
「はい!間違いありません」
「でもいったい、犯人は誰なんだ……」
ト部が疑問を挟む
そして、周囲がディートハルトに向く
困ったのはディートハルト自身だった
「現状では、犯人が誰なのかわからないとしか言いようがありません」
『この現状では、何一つとしてわかりませんよ』の仕草に、周囲はため息を尽くしかなかった
「ともかく、この一件を我々に取って、どう影響するのか。その方が大事ですな」
京都六家の重鎮・宗方である
「確かにな……」
桐原としても、この事件をどう有利に持ち込むかを、算段しなければならなかった
黒の騎士団の戦力が大きく疲弊した今現在、トウキョウ租界に続々と到着しつつある、ブリタニア帝国軍ショナイゼル軍に対抗出来ようが無い
そこで京都六家の重鎮の一人、刑部が重要な発言を行う
「確か、ブリタニア皇帝は、定まった後継者・皇太子を、決めていなかったはずだ」
「ふむ!、確かにのーう」
同じく京都六家の重鎮の一人、公方も同意して相槌をうつ
「定まった皇太子を決めなかったのは、ブリタニア皇帝に取ってこれだという、人物がいなかったからだ。この事が、ブリタニア帝国内に内紛を招くかもしれない」
刑部の発言に、全員が希望の道を見いだす。
「余り楽観的希望的観測はすべきではないが、何等かの形で、ブリタニア帝国内に内紛を引き起こせないだろうか……」
この時、桐原の頭の中では、第一皇子オデュッセウスと第二皇子シュナイゼルの二人が、脳裏に浮かんでいた
「その為には、我々は次の戦いで勝たなくてはなりません刑部殿」
「勝たなくはならないとは!?、藤堂将軍」
「第二皇子シュナイゼルは、軍と民衆の支持を基盤にしているからです。そうだなディートハルト!」
藤堂は刑部の疑問に明確に答える
「ええ、その通りです。それとは逆に、第一皇子オデュッセウスは、貴族界と宗教界の支持が厚い人物です」
「ならば、シュナイゼルは必ず、自軍で持って我々を叩き潰しに来ます。時期皇帝の座が、自分であると証明するために」
藤堂の断言に反論する声は無く。全員が、無言の沈黙で藤堂の発言を肯定した。
「……それでも」
「……それでも、私達は戦わなくてはなりません。日本の明日を守るために、戦わなくてはならないのです」
それまで、ずっと、沈黙をしていた上座の神楽耶が、苦汁の顔を隠せずに戦うと宣言した
「……」
「だけどよ、どうやって戦うと言うんだよ。今の黒の騎士団の戦力でよ」
〔ドン〕
藤堂が、何かを言おうとした時。玉城が神楽耶の発言に食いつく。
「それは……」
「ブリタニア軍10万が援軍として、トウキョウ租界に到着をしているんだぞ」
正確には、シュナイゼル軍が到着中であった。
「それだけじぇねえ、あの糞忌ま忌ましい特派とランスロットだっているんだぞう」
「…………」
「なのに、どうやって戦えと言うんだ、お姫様」
玉城の口調は乱暴ではあるが、決して、的外れの発言はしていない。むしろ正鵠を得た発言をしている
「もう少し、現実を認識して欲しい物だな」
「………………」
軍事に関して、ド素人の神楽耶は俯いて沈黙してしまった。
が、その時
「数の差が、決して、勝敗を左右するとは限らない」
「藤堂将軍……」
藤堂は神楽耶に向き直って、話しを続ける
「神楽耶殿、確かに、戦争に置いて数は重要ではありますが、知恵と工夫で補う事は出来ます」
「では、勝算はあると……」
「スザク君とランスロットを押さえ込めれば、勝算が出てきます」
「藤堂将軍、それが一番難しいのでは!?」
「私に、宛があります」
藤堂のその一言に、全員が身を乗り出す。
「それは本当なのですか藤堂将軍」
あの枢木スザクとランスロットを押さえ込める。
そんな事は、実現不可能と思っていた。だが、実現可能となると、話しが変わって来る
「説得の時間を必要としますが、完成したばかりの紅蓮弐式三機の内二機のデヴァイザー候補が、二人います」
「そのお二人の名前は!?」神楽耶は、藁に縋る思いで藤堂に聞いた
「名前は、シン・アスカとルナマリア・ホークの二人です」
「なにい!?、それは本気か刑部殿」
「私は至って本気だともお二方」
会議が終わった後、京都六家一人刑部は同じ京都六家の、公方院と宗像を自室に呼び、ある重大提案をしていた
「しかし、先程の会議では徹底抗戦と決まったばかりだぞ」
提案に驚きを隠せない宗像は、刑部に止めるべきの表情をした
「では、お二方にお聞きをするが、今の黒の騎士団の戦力で万が一の勝ち目は、ありますかな」
「う それは……」
「未だ4万の戦力が健在だとは言え、機動兵器の6割以上を失い、もっとも必要な野戦重火器が無いこの現状で」
刑部の指摘に二人は黙らざるえなかった。
「しかし、だからと言って、黒の騎士団の解体解散と桐原と神楽耶殿を含めた幹部全員の引き渡しを条件に、今更ブリタニア帝国の軍門に降るのは……」
「では どうしろと」
どうしろと言われても、他の二人には具体的な提案は浮かばなかった。
「結論から言えば、ゼロに我らと日本の命運を託したのは、大きな間違いでしかなかったのだ」
「それは言い過ぎでは無いのか!?」
「言い過ぎ?、ではゼロは自軍を見捨てて、何処に行ったのだ!?」
ゼロが突如として、指揮権を放棄して何処かへと行方知れずになった件を刑部は持ち出した
「う、それは……」
言葉に詰まる公方院
だが宗像が助け舟を出す
「扇副司令の話しによると、何やらゼロに想定外の事態が高い話しのようじゃが」
「例えそうであっても、一番大事な正念場での指揮権放棄なぞ、もっての他であろう」
「確かに……」
「今一番大切なのは、生き延びる事であって、滅亡する事でない」
「……………………」
二人の沈黙を同意したと判断した刑部は、段取りに移り始めた
「では、私の方で、ブリタニア帝国軍に特使を出すとしよう。宜しいですかなお二方」
重苦しいため息を尽きながら、宗像は刑部の意見に賛同した
「わかった!、刑部殿に全面的にお任せしよう」
「公方院殿」
「…………刑部殿にお任せする……」
「お二方の理解と賛同を感謝いたします」
ゼロの失敗と不始末のために、滅びる気は刑部には微塵もなかった
次の日の朝、シンとルナマリアのナイトメアの適性テストが、シュミレーション室で行われていた。
結果は藤堂ですら息を飲む程の数値を二人は叩き出していた。
「レベルシックスを完全にクリアー、レベルセブンに以降します」
「シン・アスカ、紅蓮弐式との適合率は96%!。ルナマリア・ホーク、紅蓮ニ式との適合率は92%です」
「シン・アスカの紅蓮弐式メインジェネレータ、やや過熱状態です」
ラクシャータが呆れた表情でオペレーターに指示を出す
「シン・アスカに連絡、ややパワーを落とすように」
「はい」
(やはり、自分の目に狂いは無かった)
藤堂は一目見た時からシン・アスカに、枢木スザクと同じ資質を感じ取っていた
そしてたった今、その感覚が間違い無かった事を確信した
「藤堂将軍、こいつは飛んだ掘り出し物ですな」
驚きと興奮の表情の仙波が、藤堂に囁く
「ああ、全くだ」
「藤堂将軍、おぬしの目に狂いは無かったようじゃのう」
「ありがとうございます桐原公……」
正直 藤堂は、桐原に褒められても余り嬉しくはなかった
「良いじゃろう、この二人を傭兵として雇う事を認めよう」
「助かります」
「うむ」
最初、藤堂から聞いた時には、半信半疑の思いでいたのが、桐原の本音だった。
だが、この数値を見れば完全ではないが納得せざる得なかった
「ラクシャータどうだ」
藤堂は呆れた表情の間々のラクシャータに声をかける
「どうもこうもないね。この二人、本当に人間かい!?」
「どういう意味だ!?」
「……シュミレーションを始める前に、基本的プログラムを白兜と同等にしといたんだよ」
モニター画面には、二人が次々とブリタニア帝国軍のKMFを、息のあったコンビネーションで破壊する光景が写っていた
「それは本当か!?」
「ああ………」
「つまり、あの二人はランスロットの性能を最大限に、引き出す事が可能だと言うのか」
「正しくそのとおり」
パイブを口に加えながら説明を続ける
「あの白兜が、か弱い人間が操縦できないのは知っているわよね」
「正直不愉快だラクシャータ。スザク君もあの二人も人間だ」
「……私は科学者だよ。詰まらない情緒よりも、数字に裏付けられた科学的真実が優先する」
「人間を数字で計るのは止めて頂こう」
言葉遣いは穏和ではあるが、目は怒っている藤堂を見てラクシャータは下がる事にした
「わかったよ……」
「ならいい」
富士裾野、そこは旧日本陸軍最大の軍事基地があった所。
そして今は黒の騎士団の最後の塞となっている。
「状況はどうなっている!?」
シンとルナマリアの二人を取り敢えず、ラクシャータに任せた藤堂は地下司令部に戻り、即席の司令部要員に状況を問合せた。
「ブリタニア軍は、横浜-町田にかけて軍を展開していますが、今の所大規模な軍事行動に出てはいません」
「そうか・・・・」
通信担当要員からの状況を確認した藤堂は、首を傾げざる得なかった。
(おかしい、幾らブリタニア皇帝が惨殺されたとは言え、動きが鈍過ぎる上にゼロに関する情報が何一つないとは・・・・)
ゼロとカレンの二人は行方不明の間々であった。
時間が立つに連れて、二人の生存には絶望視し始めていた。
(・・・・まさか 二人は何等かの形で生存しているのでは!?)
例え二人が生存していても、それを確かめる術が無いのが実状であった。
だがそこえある人物からの連絡が、厚木で情報収集に当たっていたディートハルトの携帯電話に入った。
『ディートハルト!、聞こえるか私だ ゼロだ』
「ゼロ・・・・」
ディートハルトに取って待ちに待った、ゼロからの連絡であった。
「・・・・今、何処に居るのですか!?」
『すまなかった、色々と心配をかけさせてしまったな・・・・』
元々、音感が人一倍優れていたディートハルトは向こう側の声の主が、ゼロである事を確信した。
「言え、それは良いのですゼロ。貴方さえ生きていてくだされば」
『所でディートハルト。カレンは戻って来てはいるのか?』
「・・・・いいえ。残念ながら、未だ・・・・」
『そうか・・・・』
「貴方様と一緒ではなかったのですか?」
『枢木スザクとの戦いで彼女とは、生き別れになってしまった。・・・・恐らくは生きてはいないだろう・・・・』
「そうですか・・・・」
もはやカレンの生存は諦めるしかないと、ディートハルトは割り切る事にした。
『もう一つ聞きたい事がある』
「難でしょうゼロ」
『ブリタニア皇帝が惨殺されたのは本当か!?』
「何度も確認をしましたので、間違いありません」
そこでゼロは何と無く胸騒ぎを覚えた。
(どうやら、俺の知らない所で何かが起きているようだ)
「ところでゼロ、貴方様はいつ頃戻って来る事が出来るのです」
黒の騎士団内部では、ゼロに対する人望と支持はがた落ちだが、小数ではあるがゼロの生存と復帰を、期待する声もある。
『・・・・残念ながら、私は当面の間、表舞台への復帰は不可能だ』
「何故です!?」
『すまない。電話では詳しい説明ができないのだディートハルト・・・・』
ディートハルトは拳を握り閉めて、歯痒い思いを堪えた。
「・・・・わかりました・・・・、ですが、私は貴方様の表舞台への復帰を諦めるません」
『わかった。いつかは必ず、表舞台への復帰を約束しよう』
「信じておりますゼロ」
その後、今後の連絡や複数の打ち合わせを行い二人は電話を切った。
「聞いての通りです咲世子さん」
左目に眼帯をしたルルーシュは、咲世子に向き直った。
「思っていた以上に、事態は大きな変貌を遂げていたようですね」
「ええ、全くです」
今 ルルーシュは咲世子が用意していた隠れ家に身を伏せていた。
この隠れ家が、よもや枢木家の一つとは誰も考えはしないだろう。
「正直言って、貴方が枢木家の人間とは思いもしませんでした」
「正確には、一族の末端の一人でしかありませんですわルルーシュ様」
「それなら、スザクが貴女を知らないのは当然ですね」
「枢木一族は、末端の者も含めると数千にも上る巨大一族ですので」
ルルーシュは溜息を尽くしかなかった。
「本当にいいのですね」
「何がですか!?」
「自分を匿って」
「枢木一族も、決して一枚岩の一族ではありません。そう言えば、ルルーシュ様は私の背後関係を何気なく察知出来ると思いますが!?」
ルルーシュは概ねは了解した。
どうやら枢木一族の中に、自分を何等かの形で利用したい勢力が存在しているようだ。
「ナナリーは無事なのだろうか・・・・」
咲世子の背後関係については、敢えて言及しない事にしたルルーシュ。
だが、その次の瞬間に、最愛の妹ナナリーの生存の安否が気になる。
「申し訳ありません。現状では、ナナリー様の行方を調べる事は不可能なのです」
「・・・・別に、貴女が謝る必要は何処にもありませんよ」
自分を匿って貰えている時点で、危険極まりないのにそれ以上の事を求める事は出来ない。
そう割り切ったルルーシュは、左目の眼帯に触れて暴走が治まらないでいたギアスの、克服を優先させる事にした。
(・・・・富士の二の舞だけは、裂けなくてはならない・・・・)
そう決心したルルーシュだが、ギアスの克服には今暫く掛かりそうであった。
それから数日後、神聖ブリタニア帝国第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアからの、京都六家と黒の騎士団への無条件降伏の最後通牒が、テレビで放送された。
その内容を巡り京都六家と黒の騎士団は大揺れとなった。
「まさかゼロの正体が、元ブリタニア皇族であったとはな・・・・」
「しかも、惨殺されたブリタニア皇帝が、その事を知っていながら伏せていた事だ」
事前にゼロの正体を知っていた桐原は、大会議室の空気にまずいと感じていた。桐原がもっとも懸念していた事態だからであった。
「次のブリタニア皇帝を決める為に、敢えて黙認して骨肉争いをさせていたとはな・・・・」
「しかも、富士虐殺の真犯人がゼロであったとは・・・・」
シュナイゼルの声明の中には、富士虐殺事件の真犯人がユーフェミア・リ・ブリタニアではなく、ゼロがギアスと言う絶対服従の、強力な催眠暗示を使ってユーフェミアに実行させた声明が含まれていた。
「ですが、何かの間違いではありませんか!?。ゼロ様が、そんな恐ろしい事を仕組んだ等と」
顔面蒼白の神楽耶は、ゼロを擁護して敢えて疑問をていした。
・・・・・・・・・・
大会議室の神楽耶を見る視線の大多数は冷ややかであった。
「ディートハルト」
「何でしょうか藤堂将軍」
ディートハルトは藤堂の鋭い視線を受けて身構えた。
「ゼロと連絡を取れ」
「・・・・・・・・」
「ゼロ本人と直接話しがしたい」
「ですが、ゼロは今は表舞台には出られないと・・・・」
《ドーーーーーーン》
普段は沈着冷静な藤堂ではあったが、この時ばかりは激高した表情でテーブルを、拳で叩きつけた。
「今は、そんな事を言っている場合か。ゼロに大至急、此処に来るように伝えろー」
「・・・・わかりました・・・・」
ディートハルトは、苦渋の表情を浮かべながら受話器を取り、連絡先の携帯電話の番号をプッシュした。

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