マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その12

2011年07月05日 19:11

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」

456 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/03/29(火) 00:35:59.54 ID:tWs3UVTAO

ー七年前ー

プルツー「ん……?」

プルツー「真っ暗だ、それに随分と静かになったな」

プルツー「……重力がある、宇宙じゃない。地球に降りたのか?」

プルツー「ん……足元にいるのは、あたし?」

プルツー「んなわけないか、三番目か七番目のどれかだろうさ」

プルツー「……動けないな、お尻がくっついてるみたいだ。これもまたVRシステムか?」

プルツー「しかし、ガラス張りの棺桶なんてロマンチックなもんだな」

プルツー「まるで白雪姫だ」コンコン

『これが検体名プルツー、完全なるクローン体か?』

プルツー「ん? 何だよ……お前誰だ」

『コールドスリープはまだ溶けきってないな、好都合だ。再凍結の後運び出せ』カチャカチャ

『研究所の研究内容は全て破棄しろ。跡形も残すなとアレハンドロ様のお達しだ』

プルツー「お、おい! 聞いてるのか!? それともお前も仮想現実か!」

グイッ

プルツー「うわっ!」

『行け、行け!』

プルツー「こら、人間ごと棺桶運ぶ奴がいるか!」

『バッテリーを切らしてコールドスリープを解かせるなよ! 急げ!』

プルツー「な、何なんだよお前ら! 頼むから答えてくれよ……なぁ……!」

ブツッ



プルツー「……」

『やぁ』

プルツー「……」

『……応えてくれないのかい?』

プルツー「五月蠅いな、お前もどうせ作り物だろう」

プルツー「もう飽きたんだ……ゆっくり眠らせてくれ」

『それは困るな、僕は君を起こすために此処にいるんだから』

プルツー「起こす? はっ、VRも七年立ったら故障するのかい」

プルツー「もう飽きたといったろ……くだらないこと言ってないでさっさと消えろよ」

『どうかな?』

『どうやら七年の間、脳波の意識のみが覚醒したままのようです。現実と虚構の区別が曖昧になっているようです』

『それがコールドスリープの解除を妨害しているというのか?』

『恐らくは』

『ですがお任せくださいアレハンドロ様、僕が彼女の気を引いて見せます』

『ふっ……レディのエスコートの仕方は教えた記憶が無いのだが?』

『独学です、しかし語りかけられるのは僕だけとなれば、やはりやらざるを得ません』

『任せたよ、私のエンジェル』

『お任せくださいアレハンドロ様』

プルツー「……」

『ふう……おべっかを使うのも一苦労だね』

『さて、話の続きと行こうかプルツー』

プルツー「……お前」

『ん?』

プルツー「VRの癖に腹の底が真っ黒だ、気に入ったよ」

プルツー「名前は?」

『……』

『僕の名はリボンズ、リボンズ・アルマークだ』

プルツー「あたしはプルツー、プルツーだ」

プルツー「じゃ……話の続きと行こうか、リボンズ」


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ー現代ー

刹那「くぅっ!」ギギギィンッ

プルツー「あははははは! ほらほら、格闘機体のエクシアで圧されちゃ、ガンダムマイスターの名が泣くぞ!」

ガガッ

刹那「まだ質問に答えていない……っ」

刹那「貴様は、そのガンダムは何者だッ!」ギィンッ

プルツー「おっと」ヒュボッ


ープトレマイオスー

クリス「スメラギさん! エクシアが疑似太陽炉搭載型のMSと交戦!」

スメラギ「何ですって!?」

ラッセ「スローネか!」

フェルト「データ照合……類似点は確認出来ますが、未確認の機影です」

イアン「何なんだよ一体……一体ワシ等が関わらないガンダムは何機いるんだ!」

スメラギ「至急ロックオン、ティエリアに連絡を! 刹那の援護に向かわせて!」

スメラギ「非常事態に備え第二種警戒態勢! 」

スメラギ(此処に来て事態が加速した……予想はかねがね的中ね)

スメラギ(だとすれば、もう猶予がない……!)



刹那「ッ……貴様がガンダムに敵対すると言うのなら!」

刹那「俺は貴様を、駆逐する!」ババァンッ

プルツー「っと……」ヒュンッ

プルツー「未確認機に堂々と向かってくるなんてね、恐れる心が無いのかい?」

プルツー「まあいいさ、そうこなくちゃ足を運んだ意味がない。 さぁガンダム、あたしに感じさせろ! リアルって奴をさぁ!!」

ビリッ

刹那「ッ!」

プルツー「ヴァラヌス、サイコミュ起動! あたしの脳波を受け取れ!」

キィィィン

プルツー「実戦で使うのは初めてだね……付いて来なよ、ガンダム!」

ギュォッ

刹那「ッ!?」

刹那(何だこのプレッシャー、まるで別人だ!)

プルツー「墜ちろぉぉぉ!」ブワッ


ー国連ー

リボンズ「ビスト財団が提唱した新人類論……それは財団の消滅後、イオリアが主張した人類の変革よりも早く実例が現れた為に現実味を帯びていった」

リボンズ「イオリアは懸念した。能力が有る者が、進化したということにはなりえないと言うことに気付いていたから」

ピピッ

リボンズ「GN粒子に直接的に介入し操作するサイコミュ的精神波の流れ……オカルト的なこの力をイオリアは恐れ、嫌悪した」

リボンズ「たった一人の手駒が変革の可能性を摘み取りかねない、彼等の無邪気な力を……」

ガチャッ

リボンズ「……」ピッ

アレハンドロ「ふう……」

リボンズ「お帰りなさいませ、アレハンドロ様」

アレハンドロ「あぁリボンズ、例の件、座標は特定出来たかい」

リボンズ「現在大まかな位置は特定出来ました、もう一月もかからないかと」

アレハンドロ「素晴らしい返答だ。世界が変革を迎えるその一線、待ち遠しくて毎日がもどかしいよ」

リボンズ「そのお気持ちに応えるべく、僕も全力で臨む所存です」

リボンズ「ときにアレハンドロ様、変革までの余興としてこのようなものは如何でしょうか?」

アレハンドロ「何かな?」

リボンズ「ガンダムVSガンダム。エクシアとヴァラヌスの一戦です」カチャッ

アレハンドロ「ほぉ……」ニヤリ



ギンッギンッギャリンッ

刹那「はぁぁぁッ!」

プルツー「えぇいっ!」

ギィィィィィンッ

刹那「ッ……!」グググッ

プルツー「ちぃっ!」ギギギッ

ギャンッ

刹那「でぇぇぇい!」

ガキン
グンッ

刹那「なっ……!?」

プルツー「おおらぁっ!」

ドッゴォォ!

刹那「ぐぁあ!」ガクンッ

プルツー「ははっ! 悪くないよ、しっかりあたしの頭について来るじゃないか」

刹那「ッ……!」

刹那(エクシアの一撃を受け流して、機体の体勢を崩しながら一撃を見舞う……)

刹那(まるでKPSA時代、あの男がやっていたようなこと)

刹那「このパイロット……場数が違う!」

プルツー「そりゃあそうさ、身体はガキでも頭の中は18なんだ! 伊達に七年も脳みそだけ起きてたわけじゃない!」

プルツー「お前なんかに負けるもんかぁ!」ギュォッ

刹那「それは……俺の台詞だッ!」ジャキンッ

ギギィンッ

プルツー「っ、小振りの実体剣!」

刹那「取り回しが利かないなら、武器を変更し状況に適応する」

刹那「これがガンダムエクシア・セブンソードの真骨頂ッ!」

バチィッ
キィンッ

プルツー「ヴァラヌスに傷を……やるじゃあないか。そうでなくちゃガンダムマイスターである意味がない」

刹那「俺たちは世界を変える。変えなければならない」

刹那「こんなところで躓いてなどいられないッ!!」

プルツー「不愉快だね、何も知らず駒扱いされているガンダムのパーツ風情が偉そうに!」

ギュンッ

刹那「パーツではない……俺が、ガンダムだ!」

プルツー「世迷い言をっ!」ジャコンッ

刹那「!」

刹那(ビームライフルか……!)

プルツー「サイコミュによるGN粒子圧縮、圧縮率88、89、92……」

プルツー「何がガンダムだ……気持ち悪いんだよ、消えちゃえ!」ゴォッ

刹那「なっ!?」

ズギャアアアッ

刹那「くぅっ……!」ギュンッ

プルツー「逃げろ逃げろ、逃げて怯えて泣き喚け!」

ゴゴゴゴゴォッ

刹那「ッ……!」

刹那(何だこの威力は、まるでヴァーチェのGNバズーカだ!)

バチチッ

プルツー「ちっ! ビームライフルが耐えられないか……やっぱり無理はするもんじゃないね」シュウン

刹那「ッ、今だ!」

プルツー「見え透いてるんだよ、鬱陶しい!」ジャキッ

刹那「ならばッ!」ブンッ

プルツー「っ、ダガーか!」

バチィッ

刹那「弾かれた!?」

プルツー「数が多けりゃ良いってもんじゃ無いだろうにさ!」

刹那「GNフィールドが発生したようには見えなかった……」

刹那「一体、コイツは……」

プルツー「もういい、潰してやるっ!」ブワッ

プルツー「ビームサーベル最大出力、捌いてやるよガンダム!」

刹那「ガンダムでは……ないのか!?」

ギュォッ
バチィンッ

プルツー「きゃあっ!」

刹那「このビーム……ロックオン!」

ロックオン「当たったが弾かれた、奴さん意外に硬ぇな! HARO、GN粒子散布収支、火器にありったけ回せ!」

HARO〔リョーカイ! リョーカイ!〕

ロックオン「この敵のプレッシャー、尋常じゃねえ。一気に狙い撃つ!」ジャキッ

キュピィィィン

プルツー「つう、この気配、本物か! やっぱりガンダムマイスターにも潜り込んでいたのかい……」

プルツー「ヴァーチェに来られたら殊更面倒だ……リボンズの言うこと、たまには聞いてやるか」

ヒュンッ

ロックオン「あ、おい! 散々好き勝手したくせに俺が来たら逃げんのかよ!」

刹那「待て、貴様は何者だ! そのガンダムは……!」

プルツー「ガンダム、光を消す不愉快な存在!」

プルツー「今は見逃してやるよ、でも必ずあたしがお前等をやっつけてやる……覚悟するんだね!」

シュンッ

刹那「……ガンダムが……光を消す存在……?」

ロックオン「ちぃ、意外に速いなあの機体。おい刹那、大丈夫か!」

刹那「違う、絶対に違うッ!!」

ロックオン「せ、刹那……?」

ティエリア「ロックオン・ストラトス、状況は?」

ロックオン「おうティエリア」

ロックオン「ガンダムもどきは逃げちまった、スローネに似てたが謎が多い」

ロックオン「下手に感づかれる前にさっさと引くぞ。その後のことはミス・スメラギに任せよう」

ティエリア「了解した、スローネに関する情報はヴェーダに報告しておく」

ロックオン「……」

ロックオン(一瞬感じた気配、ありゃ若い女だった……)

ロックオン「この感覚、お仲間かねぇ、どうも」ポリポリ

ゴボゴボッ
ギュンッ

ーMSドッグ搬入路・海底Cルートー

プルツー「はぁ……」

『良くやったプルツー』

プルツー「アレハンドロ、見ていたのかい」

『あぁ、素晴らしいショーだったよ。やはり君を計画から引き取ったのは正しかった』

プルツー「ライフルとサーベルが一丁ずつおしゃかになっちゃったよ、今度から出力調整は要らないから頑丈なものをくれ」

『手配しよう。今はもう休みたまえ』

プルツー「そうするよ。リボンズは?」

『無論、私の隣だ』

プルツー「……堂々とそういう事を言うの止めた方がいいと思う」

『耳が痛いな』

ガコンッ

プルツー「ヴァラヌス固定確認、今そっちに行く」

ザパァァァ……
ガシュンッ

プルツー「ふぅっ、久しぶりだから腕が鈍るね……んーっ」ノビー

パチパチパチ

アレハンドロ「私の戦乙女のご帰還だ、正規のガンダム相手に良くやったなプルツー」

プルツー「ふぅっ……っと」ピョンッ

スタンッ

プルツー「あんたがあたしを仲間に入れている限り、あんたを勝たせてやるっていったろ?」

プルツー(なぁ、そうだろうリボンズ)

リボンズ「…………」クスッ

アレハンドロ「ふっ、そうだったな」

アレハンドロ「では報告を聞こう、君のライセンサーとしての初仕事だったのだからね」

プルツー「あぁ……」

ーーー

アレハンドロ「成る程、やはりあのライセンサーは危険な存在か……」

プルツー「少なくとも、そこらの軍人みたいにホイホイ引き入れられるような奴じゃないね」

プルツー「納得が行かなきゃ、何処へなりとも飛んで行っちゃうような奴だよ、あれは」

アレハンドロ「ふむ……」

リボンズ「アレハンドロ様、彼等に最期の一働きをさせるというのは如何でしょうか?」

アレハンドロ「彼等? あぁ……成る程な」

リボンズ「ソレスタルビーイングに対する希望、ライセンサーを恐れたガンダムが彼を襲えば、最終局面に際し全ては一つにまとまります」

リボンズ「宜しければ私が手配して、ミッションプランを考えますが……」

アレハンドロ「ふむ、煮え湯を呑まされた彼等に報復の機会を与えるのも一興か」

アレハンドロ「良いだろう、旧き時代のトップガンには此処で退場と相成ってもらうとしよう」

リボンズ「では、その様に……」

プルツー「……」

プルツー(リボンズ)

リボンズ(何だい?)

プルツー(お前本気でガンダムに暗殺紛いなことをやらせるつもりかい? ソレスタルビーイングの連中が吹っ切れたら……)

リボンズ(構わないさ。グラハム・エーカーが死のうが死ぬまいが、世界が一つになることが目的なのだから)

リボンズ(だから作戦も曖昧に、かつ簡略化するつもりだよ。彼等もそう何度もしくじりたくはないだろうからね)

プルツー(……)

リボンズ(十二番目が心配かい?)

プルツー(だとしても、邪魔はしないよ)

プルツー(トゥエルヴのマスターがあの大尉なら、あたしのマスターはリボンズなんだから)

リボンズ(理解が早くて助かるよ、プルツー)

プルツー(嘘ばっかり)

アレハンドロ「静かになってしまったな……」

プルツー「お腹空いた」

リボンズ「食事にしましょうか」


ー人革連・病院ー

マリーダ「……」シャリシャリ

グラハム「……」

アーイーヲーシラーズーユーレールユリーカーゴー

マリーダ「はい、こちらマリーダ・クルス機」

グラハム「まるで無線のような電話の出方だな」

マリーダ「……そうですか、分かりました。マスターもお喜びになるかと」

マリーダ「はい……それでは、また」ピッ

マリーダ「マスター、カスタムフラッグの回収が完了したそうです」

グラハム「そうか! これで胸のつかえが取れたというものだ」ホッ

マリーダ「再生治療も上手く機能して、一週間後に退院出来ると医師から言われています」

グラハム「明日には退院する。準備を頼む」

マリーダ「しかしマスター……」

マリーダ「……いえ、了解致しました。その様に」

グラハム「済まんなマリーダ」

マリーダ「私は構いません。身体も強化されており頑丈です」

マリーダ「でもマスターは違います……ご無理をなさらないでください」

マリーダ「どうか、御自愛を」

グラハム「あぁ……分かっている」

グラハム「世話を、かける」

マリーダ「お側にいられるならば、それだけで」

マリーダ「林檎です、痛まぬ内に」

グラハム「……」シャク

マリーダ「マスター、ここ数日様子がおかしいように感じますが」

グラハム「……」

マリーダ「何か、ございましたか?」

グラハム「……いや」

グラハム(あれから、私が撃墜したティエレンのパイロットの思念が頭に焼き付いて離れない)

グラハム(こんな感覚、まるで初めて戦場に出た時のようだ)

グラハム(彼等にも家族や友人、恋人に子供、人生があった……)

グラハム(重い、な)

グラハム「何でもないさ……久しぶりにベッドの上の生活を送ったから、気を抜かれただけだろう」

マリーダ「マスター……?」

グラハム(だがこの力があれば、ガンダムと対峙した場合、彼等の真意を理解できるやもしれん)

グラハム(背負わせてもらうぞレジスタンス。その命……世界の為に)

グラハム「それと、外のお客人を招き入れてくれ。せっかく来ていただいたのにこれではな」

マリーダ「了解しました、マスター」

ガチャッ

セルゲイ「どうやら気付かれていたようだな。具合はどうかね」

ソーマ「お見舞いに伺いました、ご気分は如何でしょうかマスターグラハム」ビシッ

グラハム「お二方でしたか、わざわざ申し訳無い」

マリーダ「ご無沙汰しております」ピッ

セルゲイ「どうやら予後は悪くないようだ。安心したよ大尉」

グラハム「お気をかけていただきありがとうございます。お陰様で明日には退院を」

ソーマ「医師の話では一週間と言っておりました、あまり無理をなさらない方がよろしいのでは」

セルゲイ「そうだぞ大尉。あの状況で特殊ティエレンを撃破しただけでも勲章ものだ」

セルゲイ「少しは休んで鋭気を養いたまえ、君は自らを追い詰めるきらいがあるからな」

グラハム「ハハ……中佐殿にそう言われてしまうと、返す言葉もございませんな」

グラハム「マリーダ、三日後に予定を変更だ」

マリーダ「マスター!」

グラハム「48時間も増やした。妥協点としては十分、でありましょう?」

マリーダ「……ハァ」

セルゲイ「こればかりは病院にいても治らんな」ハッハッハ

セルゲイ「さて……聞いたかね?例の話を」

グラハム「ソレスタルビーイングからの内通者……ですか?」

セルゲイ「あぁ。何でも、手土産としてGNドライブ搭載型のMSを三十機国連に提供したらしい」

マリーダ「GNドライブ……?」

セルゲイ「ガンダムの性能の秘密でもある、特殊粒子を発生させるエネルギー炉だ。つまり、三十機のガンダムが手に入ったも同然ということ……」

セルゲイ「その名を、GNーXと言うらしい」

マリーダ「GNーX……」

ソーマ「ガンダムに対抗しうる、力!」

セルゲイ「三十機はそれぞれの陣営に十機ずつ配られ、各国のトップガンに与えられるらしい」

セルゲイ「私もGNーXに乗り指揮を執るつもりだ。ユニオン側からは、まず間違い無く君が任命されるだろうな」

マリーダ「マスター……」

グラハム「……」

グラハム「私は、辞退しようと考えています」

マリーダ「…………」

マリーダ(やはり、そう来たか)

セルゲイ「ほう?」

ソーマ「どうして……!? マスター・グラハム!」

グラハム「フラッグでガンダムを倒す、私は部下の、最も高潔なフラッグファイターの墓前でそう誓いました」

グラハム「それに、既存のMSでガンダムに通用させられるのは私だけです。私のフラッグとGNーXを合わせれば、三十一機でガンダムと戦える」

ソーマ「そんな……理屈です!」

ソーマ「ご無礼を承知で言わせてもらいます、ガンダム30機に一機フラッグが混じっていたら、性能的にも作戦行動に支障が生じます!」

ソーマ「いかにマスターといえどフラッグで、現行のMSでガンダムの完全打倒は不可能です!」

グラハム「かもしれない。ライセンサーとしてもこの様な我が儘……免許剥奪ものだろう」

グラハム「しかし私は……」

マリーダ「……」

セルゲイ「……ふむ」

セルゲイ「君がそう言うのならば、そうすれば良いのではないか?」

グラハム「え?」

ソーマ「中佐!?」

セルゲイ「確かに普通に考えるなら、君がGNーXに乗ればもはや勝負は決まったも同然だ」

セルゲイ「逆に君が乗らないことで負担が増し、死なずに済む兵士が死ぬかもしれない」

セルゲイ「いや、むしろ君自身が死ぬ可能性だって高くなるだろう」

グラハム「……」

マリーダ「ッ……」ギュッ

セルゲイ「全てを決めるのは大尉自身だ。正直、君ならばGNーX部隊に混じりガンダムと渡り合えるかも知れない」

セルゲイ「だがこれだけは知っておいてほしい。我々軍人は……いや軍人のみならず」

セルゲイ「力を有する者には、相応の責務が課せられるということを」

グラハム「……その言葉、深く心に刻み込ませていただきます」スッ

セルゲイ「マリーダ少尉の為にも、君には生きていてもらわねばならない」

セルゲイ「君の命はもう、君だけのモノではないことを覚えておいてくれ」

マリーダ「!」

ソーマ「!」

ソーマ(や、やっぱりそういう関係なのか……!)

マリーダ(中佐は、私の過去を知っている……?)

グラハム「……心得ています」

セルゲイ「ならば良し。君が、君自身が選んだ道ならば私は何も言わないよ」

セルゲイ「では、ゆっくり休みたまえ。君とまた肩を並べて戦える日を心待ちにしているよ」

グラハム「……戦いが終わったら、一杯奢らせてください。スミルノフ中佐」

セルゲイ「馬鹿を言うな、それは年長者の特権だよ」ニヤッ

セルゲイ「私が一杯奢るまで死ぬなよグラハム。では、失礼する」

ソーマ「そ、それでは失礼致します! マスター、マリーダ少尉!」

マリーダ「あぁ、またな少尉」

マリーダ(やけに顔が赤いな……大丈夫か?彼女は)

グラハム(……)

パタンッ

グラハム「難儀なものだなここは……空と違い、気ままには飛べんのだから」

マリーダ「マスター……」

グラハム「……」

グラハム「対ガンダムへの作戦が始まる前に、またガンダムと1対1で立ち会いたいものだな」

マリーダ「ガンダムに、ですか……?」

グラハム「この胸の内の霧を、彼等なら晴らしてくれそうな気がする。知りたいという気持ちには嘘がつけんな……」

マリーダ「まるで、恋をしているようですね」

グラハム「ふっ、妬くか?」

マリーダ「はい」

グラハム「…………」

グラハム「冗談だ」

マリーダ「私は冗談ではありません」

グラハム「私をからかうか?」

マリーダ「はい、からかいました」

グラハム「……」

マリーダ「……」プイッ

グラハム「マリーダ、お前はどう思う」

マリーダ「お聞きにならなくてもお分かりになっている。そう感じられます」

グラハム「……」

マリーダ「ですが敢えて言わせてもらうならば、私は、マスターにはGNーXに乗っていただきたいと考えています」

マリーダ「フラッグファイターとしての矜持も勿論あります、ですが……」

マリーダ「……ハワードは、いなくなってしまいました……仲間も沢山、逝ってしまいました……」グッ

グラハム「……」

グラハム(やはりハワードの一件、相応に堪えていたか)

マリーダ「フラッグに拘って、マスターを失うようなことがあれば……悔やんでも悔やみ切れません……!」

グラハム「……済まん」スッ

マリーダ「あ……」

グラハム「私は、こんな生き方しかできない男だ。我ながら不器用で、諦めが悪くて、嫌になる」

グラハム「側にいると、そんな思いばかりするようになる。今ならまだ、間に合うぞ」

マリーダ「……」

マリーダ「もう、手遅れかと」クスッ

グラハム「む……?」

マリーダ「私の気持ちは変わりません。マスター、その時が来るまで……貴方の隣にいさせてください」

グラハム「……器用でないな、お互いに」

マリーダ「性分です。直す気も、ありません」

グラハム「フッ……似た者同士か」


ーそして数日後ー

グラハム「見た目だけは何とか……といったところか」コンコン

グラハム「しかし出力、可変機構、その他諸々は限界に近いな」

マリーダ「申し訳有りません……基幹ユニットの損傷が少ないとは言え、コレほどダメージがあると私には完全な修理は不可能でした」

グラハム「お前はよくやってくれたよ。あとはカタギリに任せよう」

グラハム「実は昨晩、カタギリにも例の件を話してみた。このカスタムフラッグ、これ以上の性能向上は望めんだろうが……」

マリーダ「……」

グラハム「フラッグにガンダムのGNドライブを搭載する事が出来れば、違うのかも知れんとな」

マリーダ「マスター、それは……」

グラハム「カタギリからも苦い顔をされた、だが多少の無理は承知の上だ」

マリーダ「フラッグは可変機構と人型のバランスにより成り立つ機体です。ただでさえ軽量化されたボディにあれだけ大型の動力炉を組み込むとなれば、バランスが……」

グラハム「……覚悟の上さ」

グラハム「私は、自ら顔に泥を塗ってでもハワード・メイスンとの誓いを守りたい。それだけだ」

マリーダ「……」

マリーダ「マスター、私にもGNーXを預けて頂けるでしょうか?」

グラハム「お前は私に次ぐフラッグファイターだ、同然の権利は与えられよう」

グラハム「乗るか?」

マリーダ「……はい」

グラハム「そうか」

マリーダ「GNドライブフラッグの件、ホーマー司令は了承してくださるでしょうか」

グラハム「頭を下げるしかあるまいな……」

マリーダ「……」

グラハム「では戻るとするか……我々の祖国、ユニオンへ」

マリーダ「はい、マスター」

グラハム「この国にいるとマスターと呼ばれるのが当たり前に感じてしまうな……危険この上ない」

マリーダ「また来たくなる、そんな国でした」

グラハム「やれやれ……振り出しだな」

グラハム「ルートはロシアを経由してアラスカを通り、補給してから行く。陸路に近い方が何かと面倒も少なかろう」

マリーダ「了解、マスター」

マリーダ「人革連から領内まで護衛を付けるとのお達しが有りましたが」

グラハム「……気が乗らんが、万が一ということもある。今回ばかりはお言葉に甘えよう」

マリーダ「了解」

グラハム(フラッグが万全で無い今、いやでも弱気になる。気をしっかり持たねばな)

グラハム「頼むぞカタギリ……」


ーユニオン・イリノイ基地ー

ジョシュア「…………」チョクリツフドウ

ダリル「…………」ビドウダニセズ

ホーマー「……」

ビリー「どうぞ、叔父さん。本部のコーヒーは負けるでしょうが、MSWADのよりは美味しいと思いますよ」

ホーマー「叔父さんは止めろビリー、お前も軍属だ。公私を綯い交ぜにするな」

ビリー「申し訳ありませんカタギリ司令」クスッ

ホーマー「全く、そんなことだからお前はまだ独り身なんだ」

ビリー「そ、それとこれとは関係無いでしょう!」

ジョシュア「おいダリル」

ダリル「何だ」

ジョシュア「何でホーマー司令が此処にいるんだ?」

ダリル「知らん。あの人が普段何してるのかさえ知らん」

ジョシュア「足がツりそうだ……」プルプル

ダリル「耐えろ!」

ビリー「貴方がわざわざ足を運んだんだ……例の、太陽炉搭載型MSの件ですね」

ホーマー「如何にも」

ホーマー「ユニオンは十機のGNーXをオーバーフラッグスに配備し、そのまま対ガンダム部隊として運用する事を決めた」

ホーマー「無論隊長はグラハム・エーカー少佐」

ビリー「少佐?」

ホーマー「今回のライセンサーの案件、他二国にも快く迎えられた」

ホーマー「AEU・人革連での未確認機の撃墜も加味し、勲章授与の後昇進が決定した」

ビリー「何ともまぁ……」

ホーマー「だが私が危惧しているのは奴の性格だ」

ホーマー「あの馬鹿者、意地でもフラッグを降りんとだだをこねかねんからな……昔からそうだ」

ジョシュア「同感だな……」

ダリル「あぁ、隊長なら十中八九言う」

ホーマー「だから、私直々に釘を刺しに来たのだ」

ビリー「よく分かっていらっしゃる、グラハムなら先ほどこんな提案をメールで送ってきましたよ」ピッ

ホーマー「……これは?」

ビリー「フラッグへのGNドライブ搭載案」

ホーマー「やはりか……」

ビリー「……ッ」

ビリー「司令! この一件、尽力いたします。ですから私からも……!」

ホーマー「ビリー」

ホーマー「私が許可する。あいつに、出来うる限りのことをしてやれ」

ビリー「え……」

ダリル「司令……!」

ジョシュア「おいおい、マジかよ」ボソッ

ホーマー「ああいう奴は止めようとしても止まらん。だから放っておいたら真っ先に死んでしまうだろう」

ホーマー「だからビリー、お前がグラハムを助けてやれ、私に出来るのはその後押しくらいだ」

ビリー「叔父さん、貴方は……」

ホーマー「私も甘くなったものだな。アレを引き取ってからか……丸くなったと友人には笑われっぱなしだ」

ホーマー「……任せたぞ、ビリー。プロフェッサー亡き今、あいつの無理を聞いてやれるのはお前くらいだ」

ビリー「……合点承知です、叔父さん」


ーロシア北部・海岸線ー

ネーナ「ヨハ兄ィ、五月蝿いティエレンは全機片付けたよ!」

HARO[ミナゴロシ! ミナゴロシ!]

ネーナ「HARO物騒~」

ヨハン「了解だネーナ」

ミハエル「兄貴、やっちまっても良いんだよなぁ!?」ブゥンッ

ヨハン「あぁ、構わん」

ヨハン「ライセンサー、グラハム・エーカー上級大尉。貴方を紛争幇助の存在と断定し、武力介入させていただく」


TO BE CONTINUED...


ティエリア「プトレマイオスから指示が届いた。我々はこれから一度宇宙に上がる」

ロックオン「……」

刹那「了解」

ロックオン「悪いティエリア、ミス・スメラギに後から行くって報告しといてくれ」ガタンッ

刹那「ロックオン、何処に行く?」

ロックオン「ちょっと野暮用を思い出したわ」

ロックオン(ちっ、間に合えよ……!)


次回『対話』

相反する者との対話に、阿修羅は何を見いだすか



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