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絹旗「とある古代の超戦士?」 EPISODE1「始動」

2011年05月09日 19:38

絹旗「とある古代の超戦士?」

1・本編で出た怪人は高名なのを除き、殆ど登場しません。
2・小野寺雄介ではありません、冒険野郎です。
3・能力設定がいろんな意味でめちゃくちゃ……
4・キャラ、原作崩壊の危機……かも

……などなど、様々な事態があり得ます。

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/27(日) 01:06:42.14 ID:zAdyFjxS0


戦士は優しくなければならない


戦士は強くなければならない


戦士は孤高でなければならない


戦士は非情でなければならない


戦士は戦い続けなければならない


戦士は捧げなければならない


戦士は…………なければならない


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


闇すら消え去りそうな真っ白な白銀の世界で、それを見ていた。


もう2度と思い出す事は出来ない、誰か。


凍える右手で必死にあるポーズを作り、その人のそれとカチ合わせた。


もう叶える事は出来ない、大事な約束。


ただ呆然と見ていた。


その人の優しい笑顔と、とても大きく、頼もしい背中。



そして


(もう)


その人が


(幻想となり消え去った)


英雄(ヒーロー)になる瞬間を



しっかりと目に焼き付けていた



(とある戦士の記録)




NOTICE「追憶」



予告


「外の研究者……ですか?」

「なにがどうして超こんな事になってるんですか……」

「あれ?上条ちゃんには言ってませんでしたっけ?」

「ありゃいったい何じゃんよ……」

「……ジガギギ・ バンバブザ………」



「変身ッ!!」



EPISODE1「始動」




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EPISODE1「始動」


西暦????年 某月 某日・


学園都市 第12学区 とある研究所 1:20 a.m.


その日、学園都市、第12学区の研究所に勤める警備員(アンチスキル)「倶有瑠(ぐうる)葉曽比(はそび)」が目を覚ましたのは、妙な気這いがしたからだった。

この研究所の警備員になってもう3年以上経つ身だが、毎日毎日、実に平穏な勤務時間を過ごしていた。

それは科学技術が「外」より2.30年ほど進んでいる「学園都市」のセキュリティシステムが万全と言うのもあるが、一番大きな要因はそもそもこの研究施設に侵入してでも奪いたい物が見当たらないと言う事だ。

神学系の学校を集めた第12学区にあるこの研究施設は、その内容に外れる事無く「古代神学」についての研究資料や、古代の遺跡から見つかったと言われる装飾品などが保管されているのだが、そもそもこの研究所は倉庫を除き、規模が小さい。

近くにはその系統の学者たちが研修した、こことは比べ物にならないくらい巨大な博物館があるし、学園都市内でも高名な大学もある。

そういった大御所たちに価値が有るとされた品は全て取られてしまっていて、半ば倉庫として扱われているこの研究施設にあるのは、文字どうりガラクタばかりといった所だった。

「あれ?葉曽比さん、どうしたんすか~?」

ついさっきまで自分以上に熟睡していた後輩を起こすと、無理矢理見回りに同行させる。

「勘弁してくださいよ……まだ定時には時間があるじゃないですか」

「……時にこうやって見回る時間をずらしてみる事も大切なんだよ」

さっきまで眠りこけてたくせになに言ってやがる、と自分自身にツッコミを入れたかった。
見回ること自体を忘れて爆睡する事だってあるくせに。

夜の闇で塗りつぶされた廊下を、懐中電灯で照らしながら歩いてゆく。
ふと、自分の後ろをついて来ている後輩が軽い調子で語りだした。

「しっかし、毎度思いますけどこの研究所って不思議だと思いません?」

「……なにがだ?」

「いや、周りに有名な研究所や大学が沢山あるのにどこの傘下にも入っていないし、そのわりには潰れないし……そりゃ独自の研究を進めている所なんて学園都市じゃゴロゴロありますけど「神学」関連ではそういうの珍しいですし。そもそもここって研究所って言うより価値無しと思われる物品をしまっておく倉庫に近いじゃないですか」


……ここに勤めている研究者が聞いたら泣きそうな台詞だった。


「……不謹慎な発言は止せ、彼らはその中から本当に価値が無い1品なのかを見定める役割を果たしているんだからな」

「まあそうですけどね。それに「中継所」でしたっけ?学園都市に入ってくる古代の遺物とか何とかは一先ず全部ここの倉庫に集められるんですよね?」

「近くに大御所さん達が密集しているからな、一般公開されないレベルのシロモノを拝めるときもある。もっとも、セキュリティーシステムが最高レベルの倉庫の奥の奥にしまわれるし、物品の配属先を決めるまでのほんの数時間の間だがな」

「いや~、俺も何度か倉庫の中を見せてもらった事はあるんですけどね、やっぱ葉曽比さんと違って俺はそういうの向いてませんよ、全部ガラクタにしか見えなくて」


……ここに勤めている研究者が聞いたら怒り出しそうな台詞だった。


話は変わり、葉曽木たち警備員の巡回ルートは、まず1階の警備室を出てすぐ横にある階段を登り、2階にある資料が山の様に収められた部屋7つをそれぞれ確認する。


そのあと3階へと上がり、研究用の機材や、後輩曰くガラクタが所狭しと並べられている部屋3つを確認したのち、上ってきた時とは反対側にある階段を使い、1階まで降りる。降りた先にある渡り廊下で真っ直ぐ倉庫まで赴き、点検が完了した後、警備室まで戻る。


という、時間さえかければ誰でも出来る至極簡単なものだった。
複雑でもなければ時に注意しなければいけないことも無い。せいぜい研究資料などには手を触れないこと、ぐらいだ。





…………そう、そのはずだったのだ





………………あんな物を見つけてしまうなんて、今日はとても運が悪い





学園都市 第11学区 外部ゲートNo9-GA 10:30 a.m.




「なにがどうして超こんな事になってるんですか……」


学園都市在住の少女、絹旗最愛は溜息をついた。


まだ13.4であろう年端もいかない少女である絹旗だが、これでもLv4大能力者「窒素装甲」の使い手で、学園都市の暗部組織の1つに所属していた事がある。


今はどこぞの第1位と自分の下僕、そしてその2人の知り合いだと言う何処かの誰かのお陰でそんな悪意渦巻く闇の場所とは疎遠にあった彼女に、学園都市の上層部、それも学園都市統括理事の1人で、学問関連を束ねる物から直々に依頼があったのは、3日前の事だった。



依頼内容を簡潔に言えばこうだ


『学園都市外部からくる博士の護衛とガイド、及び、身の回りの世話(尚、この任に元暗部、及びレベル2以上の能力者を同行させてはならない)』



これが電話及び、不審な連絡手段の依頼なら、絹旗は断っただろう。
請けるにしても契約を破り「アイテム」の仲間と共に当たった筈だ。無論、気付かれない様にだが。


が、その理事は直々に絹旗の下へ赴き、頭を下げて依頼の承認を要求してきた。


普通であれば学園都市統括理事の1人が元暗部の捨て駒に頭を下げに来るなど有り得ない事なのでさらに疑う所だが、その人物が人物なだけに絹旗は断ることが出来なかった、否、断れなかった。絹旗だからこそ、出来なかった。


ゆえに、彼女は、今まで自分と全く縁が無かったゲートの前に立っている。

(たっく、んなもん下っ端に超やらせときゃいいじゃないですか。護衛をつけるにしても警備員で十分でしょうに……つーか仮にその博士とやらに私レベルの護衛をつけなきゃきけねぇとしてなんで超私なんですか)

絹旗は苛立っていた。


別に今日が自分の好きなC級映画の2割引レディースデーだからとか、お気に入りのカフェでスパゲッティーランチセットの新メニューが出るとか、久々にセブンスミストに洋服を買いに行ってみようかなと思っていたとか


「つーかその博士とか言う人はいつ来るんだ約束の時間とっくに過ぎてるじゃねーかどついてやろうかとかは超思ってないで」

ツンツン

「ん?…わああああぁぁぁ!?#□$○%&×()く汗子///ぁぁぁ」

肩をつつかれて振り向いた瞬間、絹旗は腰を抜かして後ろへ倒れこんだ

目に映ったのは怪物

東南アジアとか南米だとかに伝わっていそうな怪物…………のお面

実際には魔よけのお守りとして用いられるそれを被った人物は、それを外し、その素顔をあらわにする。
その表情は、まるでイタズラが成功した子供のような無邪気で心地良い笑みを浮かべていた。

「はははっ、ゴメンゴメン!ビックリした?」
「………………」
「あ、あの……?だいじょう」
「…………………………ちょ……」
「ちょ?」




「超何するんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


能力発動、問答無用で腹にグーパンをお見舞いしてやった。

ぶっ飛ばしたその人物が、自分の護衛相手だとは、当たり前だが知らない。



学園都市 第12学区 とある研究所 2:30 a.m.



ここは……どこだ?

硬直した頭が動き出し、まずそれを考えた。


葉曽木たちの司会を覆うのは空まで多い尽くす圧倒的な量の植物たち。
それは全てが黒ずみ、禍々しく…………

自分たちは今、どこにいる?


研究所?
学園都市?
日本?


否、違う、そういう次元の問題ではない。



…………ここは本当に、自分たちの知っている世界なのか?


「な、何ですかこれ……おれ、研究所にこんな所があるなんて、聞いてないですよ…………」

植物は巨大な部屋の中央になるにつれその量を増していて、その中央には巨大で、目を奪われるほど美しく、されど異様に禍々しい花が咲いている


「…………バラ?」

この研究所はひそかに魔界の植物でも研究していたのだろうか。
この学園都市ではありえない、と言えることが無いのが笑えない。


「ひ、きかえしましょうよ、もしこれが「機密」だったらやばいなんてもんじゃな」
「……誰だ?」

後輩の言葉を遮り、葉曽木は低く、しかしハッキリと喋る。


しかし、その声に余裕は無い。
この不気味な部屋におぞましい植物達と一緒にいるというだけで錯乱しそうなのに、自分たちの後ろに突如として現れた人物によって、心臓はそれこそ警報のように鼓動し、脳はキリキリと痛み出す。


全く気配なく現れたその人物は、氷のように美しく、冷たい声で





「グング・パスバダダバ」




魔界の言葉を、言い放った




今日はほんとに、運が悪い




学園都市 第11学区 外部ゲートNo9-GA 10:40 a.m.




「いや、もうホンとゴメンね」
「いえ、もう良いですよ。ちょ……ちょっとびっくりしただけなんで」

絹旗のボディーブローが仮面男の腹にクリーンヒットしてから約10分後。
仮面を被っていた青年は絹旗に頭を下げ、謝罪していた。

青年の後ろにある、恐らく彼の相棒であろうバイクが、日光を受けてきらりと光る。
金色で彩られたバイクの頭部の中心にある奇妙な紋章のような物が少しばかり気になった。


絹旗としてはこれがスキルアウトなどのゴロツキ野郎ならばさらにもう2.3発殴って気絶させた後でゴミ箱にでも捨てておくのだが、この人物からはそのような野蛮な気は微塵も感じられない。


むしろ、無邪気で明るい好青年という印象がある。
………かつて自分が居たような場所とは少しも縁が無いような光の世界の人間なのだろう。
いつも笑顔でいられる様な場所にいるような人間なのだろう。


(……こんだけ素直だと怒る気も超失せますし、こんな時に厄介事を増やしても仕方ないですしね……)

むしろあの程度の事で腰を抜かし、相手をブッ飛ばしたというとんでもない大失態に絹旗は悶えていた。


暗部で学園都市の闇の仕事を請け負い、結構な修羅場を潜り抜けてきた自分が、一般人にいたずらで驚かされて腰を抜かし、むきになってグーパンチ

…………まるで子供だ(まあ絹旗は実際まだ子供なのだが)


こんな事「アイテム」の仲間には口が裂けてもいえない。
リーダーと下僕は爆笑し、下僕の彼女であり絹旗の友人でもある不思議系少女は健気に応援(それが逆に辛い)するだろう。


「はぁ……今日は超厄日ですね……」
「ほんとごめん。あ、昼飯おごるよ。何か食べたい物ある?」

青年は絹旗に好意的な笑みを浮かべる。
そこには一遍の邪悪さも無い。まるで青空のようだった。


「……お気持ちは嬉しいですが、私はここで迎えなきゃいけない人がいるので。つーか用が無いなら超とっとと消え」

「え?俺以外にも誰か来るの?」

「超そうなんですよ、外の秀才博士で五代雄介って言うらしいんすけど……」

「いや、俺そんな大した事してないし……その「博士」って呼ばれるのはなんか柄じゃないんだよね…………くすぐったいって言うか、合わないって言うか」



ん?



「…………」
「…………」
「……………………」
「……………………」
「…………………………………………」
「…………………………………………?」

「あの、どうs」
「超すみませんでしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


速攻で日本に古代より伝わる究極の謝罪方DOGEZAをした。
自称、見えそうで見えない様に計算されているミニスカートがフワリと浮かび、一瞬ではあるが後ろからは中が丸見えになってしまっているが、そんな事はどうでも良い。
どついてやるだとかそんな事を言ってはいたが、元よりそんな気ははなから無い。


学園都市の上層部。統括理事の1人から直々に招かれるVIPゲストをぶっ飛ばしたなんてことが知れたら物理的にも社会的にも自分の首が危うい。
それどころか「アイテム」の仲間にまで余計な危害が及ぶかもしれない。


(私はやる方ではなく超される(主に下僕に)側だった筈なのに…………)

絹旗としてはもっと陰険でガサツで、学園都市の科学技術を何とかして盗み取ろうととして失敗するそれこそ昔話に出てくるいじわる爺さんのようなのを想像していた為、まさかこんな万人受けしそうな好青年だとは微塵も思っていなかったのだ。


「あ、あの!超今さらですけど体は大丈夫ですか、ちょっとわずかに本気で殴っちまったんですけど!!」

なんだか矛盾してる事を言っている気がするが、そんな小さな事も気にしない。

彼女の能力は「窒素装甲」文字通り、空気中の窒素を操り、自分の周りに装甲(ような物)を作り出すものだが、それだけではない。

圧縮した窒素の塊を制御することで自動車を軽々と持ち上げ、動かすようなパワーや、直撃した磁力狙撃砲のスチール弾を逆に潰してしまう程の頑強さを発揮する。


「ん~、当たり所が良かったみたいだし、別に大したこと無いよ?」

普通に考えれば、学園都市製の駆動鎧(パワードスーツ)でも着込んでいない限り、ただではすまない。
現にあの時青年は、10メートル弱後ろに吹っ飛んでいったのだ。

それに当たり所が良かったと青年は言ったが、奇襲、不意打ちに近いあの一撃は、完全に青年の鳩尾に入っていた筈だ。


「…………でもですね」
「心配ないって!…………だいじょうぶ!!」


青年は笑顔を浮かべ、握った拳を前に突き出し、親指を空に向けて突き立てる。



それは、子供の頃から大好きで、様々な人との絆を創ってきた、青年を象徴するポーズだった。



(なんだか心配してるのが超馬鹿らしくなって来ましたね……)

お気楽とも子供っぽいとも言える青年は、事実、何の以上も無く絹旗の前でニコニコしている。
…………気に留める必要も無かったのかもしれない、と、絹旗は思った。


「君こそ大丈夫なの?なんかすっごい悲鳴上げて腰抜かs」
「超忘れてください!今すぐ、超即、超速!!忘れてくれたら私を脅かした事も超無かったことにしますから!!」


…………あれ?でもそれだと私が殴った分は超相殺できてないんじゃ……



「じゃあ改めて自己紹介しよっか」

青年は上着の内ポケットから、紋章のようなものが多数書かれた金色のケースを取り出し、そこから彼特製の名詞を一枚絹旗に差し出すと、高らかに語った。





「初めまして!「夢を追う男」「2000の技を持つ男」…………五代雄介です!!」





学園都市 第7学区 とある病院 霊安室 10:40 a.m.



その病院の地下にある、暗く寒い霊安室に万年ジャージの教師で、警備員でもある「黄泉川愛穂」はいた。


…………今朝発見された、自分の同僚だった筈の者の最期の姿を見るために。


「…………僕は、遺体の解剖は専門外なんだがね」

カエルによく似た顔の医者は、俯きながらボソリと呟く。
その眼はもう動かなくなってしまった、かつての自分の同僚を見ていた。


そう言えば彼は寝坊癖があったな、と黄泉川は思いだす。


どちらかと言えば自分同様だらしなく、でもその癖妙に勘が鋭くて行動力があり、危険なことに首を突っ込んでは始末書を欠かされていた。


遺体の顔は綺麗で、本当は暢気に眠ってるだけなんじゃないかと思わせた。事実、欠伸の一つでも掻きそうな気が…………


…………分かっている。本当は「永る」と書く方なんだという事が。


これで始末書総数No.1の座は、自分の不動のものになった訳だ。


「……とか何とか言って、ちゃーんとその凄腕発揮してるじゃん?」

「医者ってもんは基本的に人間の治療をするものだよ。病死ならともかく、殺された人間の解剖をした所で僕達が得るものは何もない」

冥土帰しの異名を持つ医者は冷たく言い放つ。
実際、彼が医者としてこれからやれることはただ一つ


この人だったものの冥福を祈ることだけなのだ。


「…………」
「……直接の死亡原因は神経が「枯れた」事によるショック死だね」

神経が……枯れる?
どういう意味じゃん、と聞き返す間もなく答えは来た


「全員のありとあらゆる神経が枯れているんだね。まるで寄生植物に乗っ取られた若木の様にボロボロにね」

「…………能力者の仕業って事じゃん?」

「今の所、その可能性が一番高いんじゃないかな?……この学園都市にそんな超能力を使う人間が居るかはともかく」


僕がやれるのはここまでだよ。
そう言ったきり、窓の方を向いている冥土帰しの医者に一礼し、少し早足で出口へ向かう。

右手をドアノブに手を掻け、ガチャリと回したと同時に冥土帰しが言った。



「黄泉川。医者ってのはまず自分の体調を第1に考えなければならないんだね?それは総合的に1人でも多くの患者を救うためっていうのと他にも色々あるが何よりも」


一拍置いてからゆっくりと語りかける様に


「患者が風邪を引いた医者(自分)の立場に置かれたとして、まず言わなければいけない事だからだよ。そしてそれは



君のような誰かを守る職に就いてる者にもいえることだよ?黄泉川」



最後の方は、自分が馬鹿だからか、あまり良く理解できなかった。



突然ではあるが動物の定義とは何だろうか?


まずは書いて字のごとく「動いている事」だろう。動いていなければ「動物」とは書かない。

ただし、これは障害などが原因で、自力で歩いたり走ったりすることが出来ないというものではなく「心臓などの内部器官が動いている=生きている」と言う意味だ。
たとえ歳を取り、寝たきりの老人になろうが、生きている限りは人間=動物なのだから。

そして生物……特に人間と言うものは普通、なるべく動いている=生きている期間を長めようと努力するものだ。

その為にはまず、一時も休む事無く働く自身の内部器官にエネルギーを取り込む事が基本である。
怪我や病以前に、まず自分の体が動くだけのエネルギーが無ければどうしようもない。


…………何が言いたいかって?そりゃ…………


「お腹が空いた」


実にシンプルな事だよ、うん。



学園都市 第7学区 とあるファミレス 12:20 a.m.



「いや、本当に学園都市ってすっごいなぁ……何も無いと思ったとこからいきなりタッチパネル式の電光掲示板みたいなのが出てくるわ、でっかい飛行船がニュース流しながら飛んでるわ、なんかクルクル回る清掃ロボットに乗って移動するメイドさんがいるわ……あ、すみませーん!メニューくださ~い」

「……なんというか、超マイペースなんですね」

嫌み程度にボソッと言ったその言葉に五代は

「え、やっぱそう思う?いや時々なんだけど「お前といるとペースが乱れる」……って言われる事あってさ……でも「俺って何処かズレてますか?」って聞くと「嫌な意味じゃないから安心しろ」って返されるんだよなぁ……」

う~ん、分かんない……呟く五代に、分かんないのはあなたの超脳味噌ですよ……そう返してやりたい所だった。一緒にいるとペースが乱れる、というのには凄く納得がいく。

本当に子供脳(こんなの)が学園都市統括理事会が外から招いた秀才なのかと疑ってしまう。
同姓同名の別人が今もゲートの前で絹旗を待っているとか、上層部のキナ臭い罠に嵌ったとか、そう考えた方がまだ納得が行く気がする。

少なくとも「秀才博士」といった感じや雰囲気は、五代からは全くといっていいほどしない。

(……まあ超気にしすぎだとは思うんですけどね…………)

これも暗部の闇に長い間浸かっていた後遺症なのかもしれなんだろうか。ふと絹旗はそう思って溜息をついた。

「………?………あの、なんで渋い顔でメニュー超見てんですか?なにか不都合でもありました?」

「あ、うん、いや…………何と言うか……その、外のファミレスのメニューとあんまし変わんないんだなぁ……って」

ああ、そう言う事か。と、絹旗は納得する。
それは、学園都市の外から来た人間なら一度は抱く幻想のようなもの。

ようするに五代は「学園都市=近未来=見たことも無い食事」を期待していたのだ。


「いくら外より科学技術が進んでるって言っても住んでるのは超普通の人間ですからね。食事やらなんやら、外とあんま変わんないところも多いんですよ。そりゃ
「脳を活性化させる十三種類の栄養素が入った「頭脳パン」」
とか
「飲むだけで血管から元気逆流!残業、受験の味方に「O-N-B(お前の 眠気を ぶち殺す!!)ドリンク」」
とか
「一口だけで42時間栄養摂取不要!!これさえあれば1ヶ月2000円生活も夢じゃない!?サバイバル好きな人にもお勧め、超特化軍用レーション「ス○―ク」
だとかまあ超色々ありますけどそういうのって食事をしてるって感じがしないですし、そもそも実験的に売り出されてる商品も多いんでそこまで信用できないんですよね、主に味とか」

「そ、そうなんだ……まあそれはそれで興味あるけど不味いのはちょっとなぁ……」


ちなみに具体的な例が絹旗の口から出てくるのは実験食材や商品を何度か買ってしまった事があるからだったりする。

頭脳パンは素パンよりもパサパサしていて味も皆無。肝心の効果も見受けられなかった。
O―N―Bドリンクは、飲んで暫くして体中の血液が沸騰したような感覚になり、脳は超活性化し、高熱が出て丸一日寝込む羽目に。
極めつけのス○―クは、この世の物とは思えないほど不味く(ヘドロのような味がした)本当に1口でお腹が膨れてしまい暫く食事がとれず、おまけにカロリー表をよく見てみると、成人男性が1日に摂取するべき量の5倍(一口で)のカロリーが表示されていて泡を吹いて倒れそうになった(翌日からダイエットを開始したのは言うまでも無い)


と、まあ学園都市で実験的に売り出されている商品というのは約7割がハズレなのだ。

そういうちょっと変わった品があったら試しに買ってみようかな~、と考えていた五代は、絹旗の忠告を事前に聞けて安心したのかガッカリしたのか再び微妙な顔をしてメニューをパラパラとめくりだす。


その後「学園都市の冷凍技術は食材にどれだけの影響を与えるのか」とかいう理由で五代は海鮮丼定食、絹旗はスパゲッティーセットのAを注文した。

「そういえば絹旗ちゃんって凄いよなぁ……まだ15歳なのに飛び級して大学の主席で、しかも学園都市の理事をしてる人達から時々依頼が来るんでしょ?」

五代は純粋無垢な眼差しを絹旗に向ける。

「……ええ、まぁ飛び級は能力開発の影響が超殆どですけどね」
絹旗はさも同然の様に返す「そう言う事」になっているから。

本当は年齢、学力、在籍からいって全てあり得ない事なのだが、それが上層部の今回の脚本なのだから仕方ない。今の自分は15歳で大学の主席で、表舞台に堂々と居れる超エリート少女なのだ。

……表舞台になんの気兼ねも無く堂々と居れる事など、こういった機会で無い限り有り得ない事なのだから。

だからこそ、表舞台のまぶしい光の中をなんの気兼ねも無く歩いているであろうこの男が…………


「なに超馬鹿な事考えてんですかね……」

ボソッと、絹旗の口から思わずでたその言葉に

「え!?」

五代は予想外の反応を示した。
一瞬間が空いた後、ズズイッと顔を絹旗のほうに近づけ、ジッと絹旗を見つめている。

「……あ、あの」
「…………………………」

五代はさらに顔を近づけて


「…………もしかして絹旗ちゃんって読心能力も使えるの?」


予想外の言葉を口にした。


「…………は?」
「いやさっきは思わず声だして呼んじゃったけどさ、せっかくブザーがあるんだから押して呼べばよかったなぁって。ブザーは機械なんだから外と違いあるでしょ?押す人によって違う音がでるとかかな?それともお店で働いてる人にしか聞こえないような特殊な音波を出すとかかな?」

……先ほどからこの男は学園都市に何を期待しているのだろうか。
五代は絹旗の呆れ顔には目もくれず、ウエイトレスを呼ぶためのブザーをキラキラした眼差しで見つめている。


絹旗は心の中で再び悪態をついた。

(…………ようは押してみたいだけかこの野郎)



学園都市 第7学区 廃ビルの立ち並ぶ路地裏 12:20 a.m.



「おい止まれ!」

駆動鎧に身を包んだ警備員の小隊がその人物に声をかけたのは必然だった。

平成初期のヤサグレた若者のようなその男を中心に、最低でも10はあろうかという人間の死体。その全てが顔を粉々に粉砕されていて、もはや元の原型を保っていない。

辺りには抉られ、削られたであろう廃ビルの石材が辺りに霧散し、まるで暴風が通ったかのようになっている。

「答えろ!ここで何をしていた!!」

学園都市製のオートライフルを構え、引き金をいつでも引ける状態にしなおも声をかける。

これだけの惨事を生み出せるとなれば相手は能力者、それもかなり高位のレベルだろう。
1人1人順番に殺したのでない事は自分達がここに来た本来の目的である、不良能力者グループの鎮圧という任務から分かる。


この男はレベル2~3の能力者達を、たった一人で圧倒したのだ。


しかし警備員とは能力者の暴走を抑えるために組織された者達だ。
あくまでボランティアでしかないが、いやだからこそ、能力者の暴走を食い止め、罪の無い人を守りたいと思う心。
かなりの訓練と経験、実績が無い者がなれる立場ではない。

策はいくつもあった。
最悪の場合、隙を見つけて応援を呼ぶ事も出来た筈だった


……だがそれは。


「…………ゴラゲサゼ バギング ドググド グシギ ビンレザ」


相手がこの学園の能力者だった場合である。


ヤサグレ男が言葉を発してからキッカリ3分後。
第7学区を担当する警備員の小隊の一つは、1名を除き全滅する事となった。




学園都市 第7学区 とあるファミレス前の道路 12:50 a.m.




「うーん、やっぱそんなに変わんなかった気がするなぁ……いや、美味しかったよ!すごく新鮮だったし……でもなぁ…………」


マグロやタイならまだしも、海鮮丼のネタ約7割がサンマだった(季節でもないのに)事にはつっこまないのだろうか。一瞬そう思ったが、味やネタ構成については文句が無い様なのでスルーする事にした。

「だからさっきから超言ってるじゃないですか、そんなもんですよ、そんなもん。……そう言えば数年前に外で「未来の人類は筋力が衰え、宇宙人のような体になり、その結果やわらかい物しか食べれない様になる」とかいう説が流行ったみたいですけどそれって超デタラメですね。その証拠に私みたいな超プリティー少女が現存しているんですから」

「…………あはは……」


なんか乾いた笑いで返された。少々腹が立つ。が、なにか言った所でまたややこしい事になりそうな予感がしたので黙っておく事にした。


これはあくまで仕事、任務なのだから。


「……ハア…………で、次はどこ行くんですか?」
「ん?…………そうだなぁ……取りあえず知り合いに顔を見せようかと思ってるよ」



五代がその言葉を言い終え、絹旗がそれに頷いた直後だった。



「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ!!」


先ほどまで自分達がいたファミレスの中から大きな悲鳴が響く。
続いて耳に入るのはガラスが割れる高い音や、何かが壊れるような轟音。


「「!?」」


二人は踵を返し、ドアを押し開けてファミレスの中に入る。そこは先ほどまで自分達が居た場所とはまるで異なる空間になっていた。


絹旗は目を見開いた。


「…………これは一体……!!」

テーブルがいくつも破壊され、イスはボロボロに砕け散り、食器や料理が辺り一面に散らばっている。


だが何よりも

「……………………っつ!!」

顔の骨がベキベキに粉砕された事が見ただけで分かる死体が、この場が一瞬にして地獄と化したのだということを絹旗に認識させた。

その数、合計で4人。


五代は固まっていた。

絹旗から見ればそれは、素人がこの惨状を見たショックで固まっている。という判断を下すに十分な物だが実際は違う。


もう自分の前に表れることが無い筈の存在が目の前にいたからだ。


「それ」は、右腕を振り上げ、馬乗りになった相手に振り下ろした。
ベギッ!ゴギッ!!という骨が砕ける嫌な音が聞こえる。これで犠牲者は5人。


―――なぜだ?なぜアレがここにいる?


「それ」は、顔面が粉砕された死体を足で蹴り飛ばす。まるで使えなくなった玩具を捨てるかのように。


―――やつ等は倒した筈だ、1匹残らず「殺した」はずだ


「それ」は五代と絹旗のほうを向くと、ニヤリ不気味に笑みを浮かべ。


「…………ジャゲギン ドブガガ ズ・ガルガ・ダザ」
「……ッ!!」


その日、五代雄介の前に最悪の幻想が蘇った。



学園都市 風紀委員活動第一七七支部 12:34 a.m.



プルルルルルルルルルル
プルルルルルルルルルル


規則的に鳴り響く立て付け電話のコール音で風紀委員所属の柵川中学に在席する中学一年生。初春飾利は意識を取り戻した。


別に「意識を取り戻した=昼寝していた」と言う訳ではない。パソコンに、正確に言えばBBS形式の書き込みサイトに意識が行っていただけだ。作業を続ける事もうかれこれ1時間は経つだろうか。


まあどっちにしろ職務をサボっている事には大して変わりないのだが、彼女はただレスを見てにやけていたり笑っていたりしている訳ではない。(本当にサボっている時もあるが)

SSやら製作やら色々な板がある中で初春が見ていたのは「学園都市の噂」という少しばかりオカルトチックな香りがするスレッドだった。


つい1週間ほど前から学園都市に流れ始めた妙な噂の数々について何か真新しいものは無いか探っていたのだ。


信憑性の無い情報=噂話はこういった喋り場に流れてくる物だ。ただし、そう言った信憑性の無い「噂」は正確な「情報」を持っている人間にとって重要な手がかりとなる事が稀に良くある。

勿論、それを鵜呑みにするほど初春は馬鹿ではない。
むしろ電脳世界WEBの扱いにかけてはここ科学の街、学園都市でトップクラスの実力を誇っているのだ。

ひそかに騒がれる噂を公式で確実な情報と掛け合わせ、客観的な目線と、風紀委員としての立場や経験からそれを見る事で初めて見えてくる物がある。


そしてその時。「噂」に纏わり付いていた信憑性の無さは消え去り、確実な情報となるのだ


現に初春のこういった「暇つぶし」が発覚、解決の糸口になった事が幾つかあった。
当然、ハズレや作り話の時も多いのだが、それはそれ。これは彼女にとって風紀委員としての職務もかねた「暇つぶし」なのだ。

まあ実際にそんな事口に出したら同僚である空間移動(テレポーター)や先輩に説教を喰らいかねないのである程度信憑性があるかどうか調べてからそれらしき時だけ報告しているのだが。

「う~ん、結局大した情報も新しい噂も無しですか~……それに今のところ全部噂の域を出ないんですよねぇ。地下街でセキュリティーシステムの妙な誤作動があっただのスキルアウトの大型トラックが連続盗難されているだの……まあ風紀委員(こっち)に事件……噂に関連する資料や情報が一切入ってこないって言うのが一番の要因ですけど」

軽く溜息をついてマウスを下へとスクロールさせていく。
初春個人としてはなんとなく引っかかりを感じる物がいくつかあるのだが、どれもこれもすでに警備員の手で片が付けられてしまっている物ばかりのようで今更あれこれ追求し続けるのも気が引ける。
「奥の手」を使っても良いがやはりそれはある程度信憑性が有り、事件に進展をもたらせると、自身で納得、確信出来た時だけにしていた。

(ふぅ……やっぱりハズレかな~、でもな~)

ようやく掲示板の話題に興味が薄れてきてそこで始めて初春はいまだに鳴り続けている電話のコール音に違和感を覚える。何時もなら同僚の風紀委員の誰かが即座に対応に当たるのだが…………

「……いっけない!白井さんと固法先輩は風紀委員の研修で警備員の第七三支部に行ってるんでした!!」

慌てて席を立つ。

研修と言っても特に難しい事をする訳ではなく、ただ単に警備員の手伝いをやらされ「風紀委員としてきちんと職務をこなしているか」ということを試される実力テストのような物だ。
ただこの研修は誰が、何時、どの支部でといった事は直前まで知らされない完全な抜き打ちで、2人から「2日ほど休む」と連絡が来たのはつい昨日のことだった。


思えば悠々とパソコンでネットをし続けられたのも2日の間この支部には自分1人しか居ないという心の余裕からだろう。
いつもだったら2~30分もすれば「う~い~は~る~!?」と、いつの間にか背後に立っていた同僚にアームロックを決められるか嫌味を言われるのだ。
運悪く本当にサボっている時ばかり同僚に見られているので(急に背後に現れるため画面が隠せない)何時も背後に気を遣いながら作業をしなければいけない彼女にとって、今日は自分の暇つぶし(当の本人は仕事と言い張るが)に熱中できる素晴らしい日だ。


しかしだからと言って居留守を使うなどという風紀委員失格な真似を彼女はしない。初春は立派な風紀委員の1人であり、誰かからのSOSかもしれないそれを放置するなどと言う選択肢は無い。
他の風紀委員や警備員に連絡し、取得した情報を伝達するというデスクワークが主で、運動は得意ではなくむしろ苦手で、能力もレベル1と低い初春だが、いざと成れば自らの足で現場へと赴き、風紀委員として仕事をするぐらいの心構えを持っている。


床に散らばる資料に足をとられ、モタツキながらも初春はなり続ける電話の受話器を手に取った。


「はいこちら風紀委員第一七七支部です」
「…………………………………」

即座の反応は無く、ザザザという機械音が初春の耳に入ってきた。


もしかしてタイミング悪く切られてしまったのだろうか。
そう思い、彼女にしては大きな声を出して電話の相手へ応答を求める。


「あの~、もしも~し!!聞こえますか~!?」
「……………………てくれ」

初春の台詞から少しして聞こえてきたのはか細く、聞き取りにくい男性の声だった。
その声はガラガラで、まるで何かがのどに張り付いたまま喋っているような感じがする。
はぁ……はぁ、と聞こえる苦しそうな息遣いから想像できたのはこの男性が何らかの要因で負傷しているという事だった。


不意に、ガハッ!という何かを吐き出すような声と、ゴホゴホという咳き込む音が連続して聞こえてくる。


「も、もしもし!大丈夫ですか!!何があったのか冷静に状況を……!」
「……………………伝えてくれ……」

男性の声は心配する初春の声を遮り言葉を紡ぐ。



それは、もう時間が無いと悟った者が最期の力を振り絞り、必死になって残そうとする遺言(情報)



「……………………警備員……第7学区所属の第13小隊は…………謎の生命体に襲撃されて……ぜん、め、つし…………」


「…………!あの、もしもし?もしもし!?」


一瞬の時を置いて初春が自我を取り戻したとき、受話器から聞こえてきたのは定期的に鳴る電話の機械音だけだった。




学園都市 第7学区 入り組んだ裏路地 12:56 p.m




何十冊と積まれ、束ねられた雑誌の山の数々

バリケードのように設置された木材や金網

前方の視界を封じる薄いカーテン



所々にある、スキルアウトが仕掛けたであろうバリケードの数々に絹旗は鬱陶しさを感じる。

元々は清掃兼警備を行う自動制御ロボが自分たちの根城へと進入してこれなくする為の簡単な妨害バリケードだが、やはり邪魔な物は邪魔だ。


走りながら障害物を潜り抜け、どこにあるかも分からないゴールを目指す。
まるで障害物競走の様だと絹旗は思った。
大覇聖祭まではまだまだ月日がある物だと思っていたのだが、どうやら予行練習は今の時期から執り行われるらしい。


「たっくどうしてくれんですか!?超しつこく追ってきますけど!!」
「………………」

絹旗は薄暗い路地を全力で走りながら、同じく自分の前を疾走する五代を非難した。というのも


「いくらなんでも外の一般人が学園都市の能力者(?)に喧嘩を売るなんて超無茶です!先ほどの件を見るに相手はかなりレベルが高い能力者みたいですし下手したらあなたが挑発した時点で殺されてたかもしれないんですよ!?」

「………………」

あの後、奇怪かつ不気味な顔をした、まさしく「怪人」と呼ぶに相応しいものがギ、だのグだのの奇妙な言葉を発してすぐ、本当にすぐだ。一瞬の間も無く、五代は偶然近くに合った子供用のイスを両手でおもいっきり怪人へと放り投げた。

結構なスピードで己へと向かうイスに対し、怪人はまるでハエを追っ払う様に手を振るう。
互いが激突した瞬間、バキャ!という音と共に子供イスはただの木片となり果てていた。

当然。怪人はそう言いたそうに口元を歪める。


そんな事は分かっている。「あれ」がこんな事でくたばるわけが無いのだ。五代の目的はそれではない。


「今だ!!」
「え、ちょっ!?」

怪人がイスを木片に変えたとほぼ同じタイミングで五代は絹旗の手を引いて怪人の元へ。
正確には怪人の後ろ、怪人が暴れた時に出来たであろう大きく割れた窓ガラスへと駆け出していた。


「バビ!?」

突然の事に動揺したのか、怪人に一瞬隙が出来る。

一瞬身を屈め、怪人の横を通り過ぎた五代と絹旗は、割れた窓ガラスからファミレスの外へと飛び出していた。



ここまでなら良い。



絹旗としては五代を逃がした後、己の能力を使用しあの怪人を叩きのめそうと考えていたのだが、この展開も絹旗にとって損は無い。

むしろ任務の事を考えれば余計な騒ぎを起こさずに済む分こっちの方が得だ。


さて、後はある程度距離をとってから風紀委員なり警備員なりに連絡するよう通行人か誰かに促して…………




そんな絹旗の幻想は



「おりゃあ!」



不意に横から聞こえてきた五代の気合の入った声と



ヒュン!



という何かが勢いよく空を切る音と



ゴン!



という何かが怪人の後頭部に当たった音に完膚なきまでに殺される事となった。



「………………」
「………………」
「………………」



五代がピッチャーのように投げた(実に良いフォーム)コブシ大の石が怪人の足元にゴトンと落ちる。

それ自体でダメージは受けていないのか、怪人は頭を抱え苦しむそぶりは全く見せない。


代わりにクルリとこちらを振り返ると



「……………………ボソグ」
「超何やってんのこの人おォォォォォォォォォ!?」



勢い良くファミレスを飛び出した怪人を後ろに、五代と絹旗は全速力で走り出した。



その後、すぐさま裏路地へと逃げ込み、現在に至る訳だ。
路地を進み、右へ、今度は左へともう何度繰り返しただろうか。


曲がり角を利用して逃げ続ける。
もう後方に怪人は見えないが、結構近くから自分たち以外の足音が聞こえてくる事からして、未だに絹旗たちを追っているようだった。


「ほんと何考えてんですか!?あのまま無視して逃げてれば超こんな事には……」

「う、うん……ごめん…………でも……」

「でも?」

五代は困ったような笑みを浮かべる。
その笑みに哀愁が漂っている事を絹旗は微弱ながらも感じ取った。



「…………でもあそこじゃ、誰かを巻き込んじゃうかもしれないし」


それは、青空が雨雲で覆われ、太陽の光が遮られるかのように。



「…………要は囮になったと?」


…………あまり驚きはしなかった。
五代と出会ってまだ数時間しか経っていないが、この男がどう人間かはなんとなく分かっている。
自分を頼らなかったのもそれが原因だろうな、と絹旗は結論付ける。


名前も顔も知らない誰かのために行動できる人間なのだ。



「まぁ……私は超巻き込まれてんですけどね」
「う……ごめん」
「ったく……」

超お人よしです、と続けようと口を開いたと同時に





「「!?」」

感じたのは、殺気。



能力を使い五代を前方に突き飛ばし、自分は後方へと跳ぶ。
五代の体は10メートル程先にあった金属製のゴミ置き場に激突し、派手な音と共にゴミ屑の中へ突っ込んでいった。


直後に上空から降り注ぐのは、豪脚から放たれる脅威の蹴り。
それは先ほどまで自分達が居た場所を正確に打ち抜き、地面を抉る。


「……ったく、超しつこいですねこの変態殺人鬼。あ、あなたの能力「肉体変化(メタモルフォーゼ)」に因んで変体と変態を掛けてみたんですけどなかなか良いシャレだと思いません?あなたに超ピッタリじゃないですか」

ありったけの嫌味を乗せた言葉を放つ絹旗を、長い葉っぱのような2つの耳を持った焦げ茶色の怪人は黙って見据えている。

それはまるで、獲物の品定めをする狩人のように。


(……さっきファミレスで無差別に人を襲ってたって事は五代さんや私を狙ってって訳じゃなさそうですけど…………でも油断は出来ませんね、黒夜なんか浜面やフレメアを追い込む為に個室サロンの施設を占拠したくらいですし、私たちがファミレスを出るのが少し早かっただけと言う事も…………)


五代が学園都市の上層部に招かれるほどの重要な力、技術を持っているのだとすればそれを横取りしようとする外部組織、もしくは絹旗に依頼してきた者とは違う上層部の意思と言う事も十分にあり得る。

まったく、これは結構厄介な仕事を依頼されたかもしれないな。と絹旗は思った。


「ゴラゲロボ・グリョブシャバ」
「……頭大丈夫ですか?さっきからグだのギだの超意味分かんない言葉ばかり……ああ、ひょっとして暗号?だとしてもセンス悪いですね」

拳を固く握りしめると、その小さい体を屈ませ


「グギグギと超鬱陶しいんですよ!!」

足裏に集中させた窒素の力の向き(ベクトル)を全て地面斜め後ろへ向けて爆発させ、5メートル以上あった怪人との距離を一瞬でゼロにする。


いける。絹旗は確信した。

例え相手がレベル4の「肉体変化」で、自身の肉体を大幅に強化させていたとしてもこの近距離から全力で放たれる自分の一撃をまともに食らえばただでは済まない筈だ。
例え耐えたとしても得意な格闘ゲーム宜しく速攻で連打を叩き込んでやれば良い。


そもそも任務が護衛の為、まず第1に対象の安全を最優先しなければならなかったから逃げ回って(五代に振り回されて)いたのであって、絹旗本人としては護る盾よりも力を振るうこっちの方がやり慣れているし、手っ取り早く事がすむ為、楽に感じる。

変に自分からアクションを起こせない分、護衛と言う任務は見た目以上に難しく、ハードな仕事なのだ。



だがこうなれば話は別だ


護衛対象(五代)に目を付けられる前に片をつける!




右腕から放たれた必殺の一撃が怪人の鳩尾に入り





ドゴン!!

という凄まじい音を立てて



「バンザ・ゴセゼ・ゴパシバ?」



嘲笑う姿に驚く間もなく、お返しとばかりに怪人の右腕から放たれた矢のような速度の一撃が絹旗の胸部を打ち抜き、元の場所、5メートル程後ろへと吹き飛ばした。


「…………ガ、ハッ!!」

背中から地面に叩きつけられ、肺の中に溜まっていた空気が一気に外へと排出される。

一瞬息が出来なくなった絹旗を次に襲うのは激痛。
幸い骨は折れていないようだが、内出血であざが出来ているのは間違いなさそうだ。


(な、んで………………)


だが今はそんな事を気にしている場合ではない事態が発生している。


(…………なんで能力が全く効いてないンですか!?)


自分からの一撃はまだ良い。

相手の能力の強度が絹旗の窒素装甲の一撃を上回っていたのだと、それだけでも信じられない事実だが、まだ自身を納得させる音が出来る。

問題は、怪人の放った一撃が、絹旗を覆う窒素の鎧を完全に無視していたという事だ。

それは黒夜海鳥の様な絹旗の窒素装甲に対する策でもなければ、キャパシティダウンの様なジャミングともまた違う感じがした。

「ゴサッ!」
「くッ!」

一気に距離を縮めてきた怪人が絹旗の頭部めがけてその豪腕を振り下ろさんと腕を上げる。
寸でのところで横に転がってそれを回避すると、バランスを崩して不安定になっている怪人の足を掃おうと左足に能力を集中させて

「ビガガギバボ・グリョブシャバ!!」
「つッ!」

やはり絹旗の左足に纏っていた窒素の鎧は、同じく怪人の左足に触れた瞬間その力を無くしていた。

そして装甲を失ったそれは、少女のか細い足から繰り出される蹴りとなんら代わらない。

「ザガガガガッ!!」

怪人はそのまま右足で絹旗の腹部を蹴り飛ばす。
まるで出来損ないのサッカーボールのように、何度もバウンドしながら絹旗は吹き飛ばされていく。

「……ッつ、が、があァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

3回目のバウンドでようやく体が止まり、それと同時に腹を抱えてのた打ち回る。
息が苦しい、激痛でうまく思考が働かない、胃の中の物や血を汚くぶちまけなかったのが不思議なぐらいだった。


暗闇の五月計画で学園都市第1位の能力者「一方通行」の脳内パターンをコピー。
その防御性から生み出された「窒素装甲」の代償がここで来た。
かつての第1位よりはマシとは言え、常時鎧を纏っている様な状態にある絹旗は、痛みに対する耐性が常人のそれよりも少ないのだ。


「…………くッ……あァ……」


だが、その激痛の代償に、分かった事もある。


(…………あの体に触ッてるとこ以外は能力が使用できるらしィですね……)

怪人の蹴りが彼女の腹部を襲う一瞬前、絹旗は窒素を操作して自らの体を僅かに宙に浮かせる事で上手く打点をずらしたのだ。
怪人の体勢も良くなかった為、大事にならずに済んだ

そしてその間、能力が働かなかったのは怪人に触れている左足を中心とした部分のみ。



顔を上げると、ザッ、ザッ、という足音と共に怪人がゆっくりと自分へ近づいてくるのが見える。



(…………たっ、く、超ダサイです…………)

調子に乗って自ら戦いを仕掛けた結果がこのザマだ。元暗部が聞いて呆れる。


もし怪人に能力が効かない事を事前に知っていればもっと上手く立ち振る舞う事が出来たかもしれない。

「鋼喰い(メタルイーター)」などの兵器があれば反撃できたかもしれない。

冷静な判断力があれば逃げと言う一手を打ち、身を隠すことで任務を滞りなく遂行させる事が出来たかもしれない。

そう考えれば五代のあの無茶苦茶な逃走は正しい判断だったのかもしれない。




(…………なんとか、しないと……)

逃げるでも身を隠すでも応援を呼ぶでもとにかくなんでも良い。
なんとしてでもこの危機を脱しなければ




確実に殺され…………




「…………バンザ・ゴラゲザ?」
「…………え?」


そこまで考えて、絹旗は目を見開いた。




目に入ったのは青空を切り抜いた様なジャケットと、濃いめの青いジーンズ。




それは、庇うかのように絹旗の前に立つ。




蹲りながら見上げている絹旗にとって、まるでその人の存在そのものが青空のような錯覚を覚えた。



「……五代…………さん?」


「大丈夫?絹旗ちゃん」


クルリと首を回し、五代は絹旗に顔を向ける。



「ごめんごめん。服の中に生ごみが入るわ靴がどっかに消えるわバナナの皮で転ぶわでもう大変だったんだ」


五代の顔に映し出されていたのは、あいも変わらず「笑顔」だった。




何言ってんだ

早く逃げろ

ゴミ置き場の中に隠れていればやり過ごせたかもしれないんだぞ

何でこんな時まで笑顔でいられるんだ頭おかしいんじゃないのか

お気楽すぎるんだよこのお人よし



声に出して叫ぶべき事が、頭と心にあった靄と雲が、不安が、苛立ちが、たった1人の男の笑顔を見ただけで消えてゆく。

後に残るのは得体の知れない安心感だった。



「……死ぬ、つもりですか…………?」

それでも最後の負を搾り出すつもりで警告して



「大丈夫!!」



五代のサムズアップと共に、今度こそ完膚なきまでに打ち消された。




「だって俺、クウガだから!!」




そう言って、五代は一歩、大きく前に踏み出した。



その顔にあるのは、笑顔ではなく、覚悟。そして誓い。




五代は両の腰周辺に両手をかざす。



この動作を最後にやってからもう何年経つのだろうか。
もう2度と2000番目の技を使う事は無いと思っていた




だが、そこに、目の前で悲しむ人がいるのなら

傷つく人がいるのなら

こんな奴らの為に誰かが涙を流さなくてはいけないなんて残酷な幻想があるというのなら


祈る、願う



五代雄介の願いは、今も昔も、そしてこれからもただ一つ





(みんなの笑顔を…………護りたい!!)





現れるは、神秘的で、不思議な石を中心に埋め込まれた銀色のベルト


「…………?」
「!?ギガバ…………!!

グォングォンという駆動音を鳴り響かせ、五代の腰周りにしっかりと巻きついているそれは、学園都市に住む絹旗も見た事が無い物だ。

否、科学の街、学園都市に住んでいる絹旗だからこそ見た事が無いもの(オカルト)だった。



右手を左前方に伸ばし、ゆっくりと右方向へとスライドさせてゆく



それはまるで、これから戦に赴かんとする戦士が行う儀式のように





「変身ッ!!」





右手を、左腰へと振りぬいた。


一瞬の間に、それは五代雄介とは違う何かへと変わる



(…………な!?)



それは、炎の様に赤い瞳



人々を温め、邪悪を滅する焔



内に秘めたる闘志の炎をそのまま具現化したような赤い鎧を身に纏い



黄金の角を有した




「…………クウガ!」




超古代の、戦士



学園都市 第7学区 窓の無いビル 13:03 p.m



「…………ふむ。どうやら始まったようだな」



窓の無いビル


その名の通り、窓が一つも無い巨大なビル。
そのビルの何処かにあると言われる何万といコードの様な物で散らかっているこの奇妙な空間。


とても薄暗く、周りで忙しなく動いているこの世の物とも知れぬ大量の機械のと、突如として空中に現れるパネルが放つ光のみが唯一の灯りだった。
もし仮にこの2つの存在から光と言う現象が消えればその途端この空間は闇に飲まれてしまうだろう。


だがその奇妙な空間の中心にある、円柱型の透明な水槽の中に上下逆さまになって入っているその存在は、そもそも光など欲しはしない。


ただ、ここに来る客人達の為に必要だから一応光をともしているだけに過ぎない。そうでなければ誰が部屋の明かりを機械の駆動光ですますだろうか。


一応断っておくが、それはこの存在の瞳が光を失っていると言う訳ではなく「光の反射を利用しなくても見えるから」「己が目的の為に必要ないから」という非常に単純なものだ。


「超古代……遺産………の……による分子、原子……強制的…………。心……霊石と…………人体……強化……変異……そして究極の力…………」


ボソボソとつぶやき続ける。まるで世界一難しい数学の問題を解こうとする世界一賢い賢者の如く。とても面白そうに。


2回瞬きすると、瞬時に水槽の前に現れたのは一際大きいパネル。


そこに映し出された遥か昔の絵と文字を見て、聖人にも罪人にも大人にも子供にも天使にも悪魔にも見えるこの存在



「『クウガ』『       』か。プランの為のいい参考になると良いんだがね」



学園都市統括理事長 アレイスター・クロウリーは、神々しいとも禍々しいとも言えるその顔で、ニヤリと微笑んだ。



学園都市 第7学区 入り組んだ裏路地 13:07 p.m



そこは、裏路地から一つの戦場へと化していた。



「はっ、おりゃあ!」
「グッ!」


ボクサーを思わせる素早い攻撃を寸での所で全てかわし、お返しとばかりにボディへ連続して拳を叩き込む。


「チイッ!」
「ふっ!」


よろけながら一旦退いた怪人をここぞとばかりに追撃し


「うおりゃあ!!」
「ガァッ!!」


顔面に強烈な拳撃を叩き込む。
未確認生命体第8号ズ・ガルガ・ダを相手にクウガ。五代雄介の優勢は、未だ保ち続けられていた。


(よかったぁ……戦う以前に変身出来なかったらどうしようかと思ってたんだよね…………)


ファミレスで未確認生命体と再会した時、五代がまず心配したのが長いブランクによる力の不具合だった。

この力、霊石アマダムによる戦士クウガへの変身は、最後の戦い以来、一度も使っていない。
だから悪ければ白。最悪の場合、変身そのものが出来ないのではないかと考え、相手を挑発し、逃走した。


クウガになれない場合、未確認と戦うのは無謀だが、それでもやつらに対する経験と知識がある分、時間を稼ぐ事が出来る。クウガに「なれるかも」しれないなら、それを確かめる為に退く必要がある。


まあ変身できたところで周りを戦いに巻き込まないように退く必要がある為、結局は同じ行動になるのだが。


「やっ、はあっ!」
「ブゴガッ……!」


だがそんな五代の心配をよそに、石の調子はとても良い。
五代は、いや。霊石アマダムと一心同体、共に生きている五代だからこそ分かる。

アマダムに、クウガに、ブランクなどという物は無い。否、あってはならないのだ



戦士は、そこに理由がある限り、戦い続けなければならないのだから。



(…………でも、それにしても少し調子が良すぎるような……)

「バレスバクウガ!」
「!?」

思考から生まれたクウガの一瞬の隙を付き、怪人がその強靭な足で左斜め上に大きく跳ぶ。
生身の人間では到底到達できない高さまで跳躍すると、周囲にある建物の壁をジャンプ台として利用し、上空からクウガにその脅威の蹴りを見舞う。



はずだった



「はっ!」
「バビッ!?」

その一瞬前、クウガは跳んだ。怪人とは逆の方向へ。


「おりゃあ!」
「グアッ!」

一歩遅れて着地した怪人は、すぐさま壁を蹴って戻ってきたクウガの蹴りをまともに食らい、7メートル以上吹き飛ばされてガクリと片膝を付く。その姿に、もう最初の威勢は殆ど無い。

「…………」
「……よし!」

ザザザッ!と摺り足で2、3メートルほど後退り、必殺の一撃を放とうとして


「…………ギパブリント」


怪人が、不気味に、下劣に、ニヤリと笑った。



学園都市 第7学区 どこかの高校の職員室 13:09 p.m



えっと、すみません、よく聞こえませんでした。



学園都市7不思議の一つに入っているとされる「小学生にしか見えない先生」をクラス担任に持つ高校生である、上条当麻は言った。


話の相手はその7不思議のクラス担任、月詠小萌その人だ。机に座りながらスーパーかどこかで買ってきたであろうお寿司をパクパクと小さな口で食べるそれは、どう見ても愛らしい子供のそれにしか見えない。あ、ほっぺにご飯粒付いてる。


「だ~か~ら~、教室で何度も言ってたじゃないですか~。今日、学園都市の外から優秀な博士さんが来る事になってるのですよ」

はい、YES、肯定、それは知っている。なんでも学園都市の理事が直接招いたらしいという事も、幾つかの学校で臨時授業をやるという事も聞いた。もう三日ぐらい前の話だが、ちゃんとエピソード記憶にも意味記憶にも入っているし両方無事だ。


「はい!なのでその博士さんを…………」


一拍置く。OK上条当麻落ち着け、落ち着くんだ。さっきのは幻想だ、小萌先生の言い間違いだ、もしくは孔明の罠だ。


「上条ちゃんのお部屋に泊まらせてあげて欲しいのです♪」
「ちくしょうやっぱ現実(リアル)だったー!!」


いろんな意味で頭を抱える。


まずい、非常にまずい。今の上条の部屋は事情を知らない人に入ってほしくないし見せたくない。
初対面の他人など論外に近いし、ましてや泊まるなど論外をぶっちぎってアウトコースを爆走している。


ペット禁止の寮で猫を飼っている事くらいだったらまだ何とかなるかもしれないが、イギリス清教の外国人シスターさんによる居候はどう考えてもアウトだろう。
最悪の場合その日の内に上条の高校人生が終了しかねない。


不幸だー!と、叫びそうになった所で上条は何とか持ちこたえる。
まて、よく考えろ上条当麻。このフラグはまだ十分に回避できる。


「あ、言っておきますけどこの件は上条ちゃんの親御さん達も了承済みなので回避は不可能ですよ?」
「はあっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ小萌先生!幾らなんでも俺の了承無しにそんな…………」


食後のお茶をちびちびと飲みながらダメ押しする姿に悪意を覚えた。と言うかなんで俺より先に親が認識してるんだ順番おかしいだろ!?


「あれ?上条ちゃん、親御さん達から聞いてないんですか?」
「聞くも何も今が初耳なんですけど!?」

小萌がその小さな腕を組み、う~ん…………、としかめっ面で悩みだす。
あれ?もしかすると本当に上条さんらしからぬ不幸回避と


「ま、大丈夫でしょう」
「おおィ!約3秒しか悩んでませんよ先生!!」

と言うかこの人はインデックスの事情をそこはかとなく知っている筈なのになんでこんな無理難題を…………!!ああもう


と、上条がお決まりの台詞を吐きそうになった所で


先に耳に入ってきたその言葉によって、上条当麻の思考は一時停止することになった。



「だってその人、上条ちゃんの昔なじみで、シスターちゃんの事も多少なりとも知ってるみたいでしたけど?」

「……………………………………へ?」



学園都市 第7学区 薄暗い裏路地 13:15 p.m



「!?」
「ビゲスガ……バヂデデバァ!!」

怪人は一瞬で体勢を整えると、両足を揃えこれまで以上に高く跳躍する。余裕で建物の屋上まで到達するほどに。


「しまった!!」

何かあるのかと躊躇ったのがいけなかった。この状況を逆転する手立てでもあるのかと思考した所に隙が出来た。
膝を付いたのはブラフ。より高く跳躍する為の準備だったのだ。


ここで逃がしたらまた別の誰かが犠牲になってしまうだろう。それを認めるわけにはいかない。

すぐさま青になって追いかけようと上を向いた所で


「はーい、どうもどうも~」
「バ……ビ……?」


上空から響いてきたのは、自分が戦いに巻き込んでしまった一人の少女の元気な声。


「き、絹旗ちゃん!?」


先ほどまで呆然としながら蹲っていた少女は、何時の間にか建物の屋上で待ち構えていた。
先ほどから気配が感じられなかった為、上手い事この場を離れられた物だとばかり思っていたが、どうやら違ったらしい。


絹旗は怪人が跳躍してきたと同時に柵を乗り越えて空中へと飛び出す。


「ギガバ……バゼ!?」
「やっぱり超意味不明な言語ですねぇ。まあそれはともかく、なんで能力が働かないのかは未だに分かりませんけど……私の「能力」が「あなたに対して」効かないなら…………」



ニコリ、と実に少女らしく可愛らしい笑みを浮かべながら。



その両手に、廃車となった一台の小型ワゴン車を持って。



「超こうするまでです!!」



もぐら叩きの如く、ワゴン車を思いっきりガルガの頭に振り下ろす。
窒素装甲の力が加わった巨大な鉄の塊でも、強靭な肉体を持つ未確認生命体に対してはそこそこのダメージでしかない。


「バ、アァァァァァァァァァ!!」

だが重力という方式に従わせ、地面に激突させるには余りにも十分すぎた。


「ワンパターンなんですよ。奇襲の時も上空からでしたし、あんだけピョンピョンピョンピョンはねてりゃ逃走経路としても上を使う事くらい超予測できます」

能力を使い、華麗に地面に着地すると勝ち誇ったように胸を張る。



「えっと、五代さん……?で、良いんですよね?超チャンスですよ!!」
「!!」



距離は十分、対象の動きも鈍い。



「……こんどこそ!」



深く、静かに腰を下ろし、構える。
ザッ、と右足をツイストすると、メラメラと燃える紅蓮の炎がそこに宿った。



―封印した筈だったこの力



はあーっ、と深く息を吐き己の体調を整える



―誰かを守るためとは言えこの力で出来るのは



未確認目掛けて走り抜ける。



―大嫌いな事(暴力)でしかないから



一歩一歩踏み抜くごとに、シャキン、シャキンという不思議な音が裏路地へと響き渡ってゆく。



―でも



大きく踏み出すため、力を溜める



―それでも、自分が戦う事で他の誰かが泣かずに済むのなら



前方へと大きく跳躍し



―みんなの笑顔がこんな奴らに壊されてしまうというのなら。



―クウガとしてもう一度、否、何度だろうと。




「おりゃああああああああああああああああああああ!!!」




放たれた蹴りが、必殺の一撃が



第8号に直撃し、奇妙なマークが体に浮かんで




―戦おう。みんなの笑顔を、守る為に





爆発し、跡形もなく吹き飛んだ。





『戦士は戦い続けなければならない』




第一話 おわり




予告



「未確認生命体って……あの?」
「じゃああなたはB級映画に出てくる超ヒーローなんですね!!」
「何と言うか、奇妙なんですよ、色々と」
「イッヒッヒッ…………バギング パパンド ゲズンビンレザ」



「久しぶり、とうま」
「兄…………さん?」



第二話「再会」




←ブログ発展のため1クリックお願いします

167 :1 [saga]:2011/05/09(月) 02:42:01.14 ID:vJgBRxsI0


注意!


ここから先は本編とは関係が有りそうで無いかもしれない
メタ、キャラ崩壊、その他色々が含まれているカオスな茶番劇です。

苦手な人は「早く逃げて!」

























1「>>1と!」デン!
一方通行「一方通行の!!」デデン!!




1一方『仮面ライダークウガ講座~!!』





テッテレテ~、テッテレテー、テーレテッテッテテテテ(BGM)




「露骨な説明回編」




一方通行「………ッてなにやらせてンですか1イィィィィィィィィィィィィィィ!!」おらァ!

1「オウフ!ちょっ、まっ!止め、初回からベクトルパンチとかシャレにならん!!」

一方通行「るッせェ!……どォゆゥ事かキチンと説明してもらおうかァ!!」プンスカ

1「え?何の事ですか?」ワケガワカラナイヨ?(ちなみに1は元ネタを知っていても見た事はありません)

一方通行「すッとぼけてンじゃねェェェェェェェェェェェェ!!」





学園都市 とあるマンションの一室 日曜日 AM8:20





一方通行「……朝かァ…………ねみィ……コーヒー飲んで目ェ覚まそォ」テクテク

カシュ、ゴクゴク

一方通行「ン?クソガキ1号2号は朝ッぱらからなにテレビに齧り付いてンでs」



打ち止め「ふわあぁぁぁ…………五代さんカッコィイ!って、ミサカはミサカは憧れと尊敬の眼差しを送ってみたり!!」キラキラ

番外固体「ハッ!イケ面、好青年、強くて優しい心を持つ正義の戦士。バカな子供だけじゃなくて腐っている奥様層も狙おうっていう魂胆がみえみえなんだよねぇ。ああアホらし、ケケッ!!」キラキラ

打ち止め「……それは分かったからテレビはもう少し離れてみた方が良いよって、ミサカはミサカはお姉さんとして末っ子に注意してみる」inソファー

番外固体「え~、これぐらい良いでしょお?あと少しで終わりなんだからさぁ」inテレビの前で体育座り


ワイワイキャーキャー!!


一方通行「…………なンなンですかァ?このカオスな空間はァ…………」ポカーン

打ち止め「あ、おはよう一方通行、ってミサカはミサカは元気に朝のご挨拶をしてみる!」ヒシッ!

番外固体「相変わらず朝に弱いねぇあなた。低血圧?まぁしょうがないかぁ、モヤ」


<<ハッ、オリャア!
<<チイッ、バベズバクウガ!


打ち止め「うわぁお!戦闘はますます激化してゆくんだね、ってミサカはミサカは手に汗握って大興奮!!」ガンバレー!

番外固体「えちょっ!何!?いま何が起こったの!?見逃しちゃったんだけど!!ああもうこれだからこの白モヤシはあぁぁぁぁ!!空気まで読めないとかどんだけ図太いの?」バカナノ?シヌノ?コロサレタイノ?

一方通行「な……!お、おィ、お前ら何をそンなに「「あなた(モヤシ)はちょっと黙ってて(ろ)!!」」


<<オリャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
キャー!ゴダイサーン!!





一方通行「……………………………………………いや別に寂しくねェしィ……」ショボーン





本編終了 CM中





打ち止め「ごめんねー、ってミサカはミサカは素直に頭を下げて寂しがり屋のあなたに謝罪するけどテレビの良い所で声をかけるのは犯罪に近い物があると思うよ、ってミサカはミサカは警告してみる」

一方通行「いやだから別に寂しがってねェしィ……クソガキ共が特撮アニメに夢中なのを見て呆れ返ッてただけだしィ……」イジイジ

打ち止め「夢中になるだけの価値が有る番組だもの、ってミサカはミサカはさり気なく『仮面ライダークウガ』の宣伝をしつつ今度は朝早く起きて一緒に見ようって誘ってみる!」

一方通行「!!?…………は、はァ!?だ、誰が日曜の朝にやッてるような子供アニメ見るってんですかァ?しかもそのために早起きって完全にオタクじゃねェか!!」オドオド

打ち止め「む、確かに子供番組枠でやってるけど……ミサカをオタクと罵るのはまだしもクウガや仮面ライダーをバカにするのは許せない!ってミサカはミサカはあなたのおなかをポカポカと叩いてみる!」ポカポカポカポカ

一方通行「別にアニメや子供番組をバカにした訳じゃねェ………………つーかよォ」









一方通行「その『クウガ』ッてなンだ?」ハヤサガタリナイ!!って人?

打ち止め「」

一方通行「仮面ライダーなら少しは知ッてンだけどなァ………新作かァ?」ってそりゃクー○ーかァ

打ち止め「」

一方通行「ン?おいどうしたクソガキ」

番外固体「おーい上位固体!次回予告終わっちゃっ……あれ?なんか続きが…………」


TV『見事、ズ・ガルガ・ダを倒した超古代戦士クウガこと五代雄介!でも彼やクウガ、グロンギの事をあまり良く知らないお友達も多いのではないだろうか』

番外固体「まあ確かに……お子様なんかは細かい設定なんて気にしないだろうし。子供番組だってのに創り込みすぎて本末転倒とはザマアないね、ケケッ!」

TV『…………そこで』

番外固体「そこで?」キラキラ






TV『次回から学園都市最強の能力者である「一方通行」くんが僕「>>1」と共に仮面ライダークウガやグロンギについて解説する新コーナーが始まるぞ!!』

一方通行「」

打ち止め「」

番外固体「」

TV『『解説あり!雑談あり!爆笑あり!涙あり!一方通行くんの恥ずかしい秘密の暴露あり!!予告が終わってもチャンネルはそのままで!じゃあみんな、来週も見て、くれるかな!?』『コドモタチ<<イイトモー!』』

テーテーテーテーテー、テレッテ!







一方通行「はあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」




回想終了





1「あ~、あれの事ねぇ」

一方通行「ほゥ……随分と余裕じゃねェか。さぞ納得のいく説明ができンだろうなァ?」ツーカハズカシイヒミツッテナンノコトデスカア?……ブッコロスゾ

1「ノリと勢いで呼んだ。反省はしているが後悔はしていない」キリッ

一方通行「よーし分かった、し」カチッ

1「忘れているみたいだけどこれはテレビ。しかも子供番組の収録中で生放送だ……君は子供達が見ている前で人を殺そうというのかい?」ニヤニヤ

一方通行「…………チッ(後で半殺しだクソ野郎)」カチッ

一方通行「言っとくが俺はこンなアホみてェなコーナーに出る気は」

1「あ、言っとくけど保護者の許可も貰ってあるから」

一方通行「黄泉川ァァァァァァァァ!なに勝手に事を進めてンですかァァァァァァァァ!?」

1「あと「ミスター・☆」とか名乗る手術服みたいな服着た銀髪ロングヘアーの人からも「思う存分やらせたまえ」って」

一方通行「統括理事長ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!?」




1「んじゃ、茶番はこれくらいにしてルール説明といきますか。あーくんよろしく~」

一方通行「だれがあーくンだ!ぶっk「生放送中」……ちいッ!



このコーナーは仮面ライダークウガについての知識やグロンギ語などを解説していくグダグダ茶番劇です。

基本的に>>1、一方通行をレギュラーに、毎回ゲスト(禁書中心)を加えて勧めていきます。

本編とは関係が有りそうでないかもしれない世界観なのであまり細かい事は気にしないでくれるとありがたいです。

色々とカオス



…………だとよォ。たッく、よくもまァこンな馬鹿げたコーナーを採用したもンだn」

1「…………1が毎週日曜に必ず投下すること宣言した訳ってなんだか知ってる?」

一方通行「あァ?確か逃げ場をなくしてプレッシャーをかける事でSS継続=1のショボイ文才のレベルアップを……」

1「同じ」

一方通行「…………はァ?」



1「実は1ってギャグや茶番劇SSって見るのは好きでも全然書けない」キリッ

一方通行「はあァァァァァァァァァァ!?」



1「主にネタが思いつかない、ってのと上手く纏められないってのがある。ありのままに経験談を話すと「ほのぼのギャグSSを書いていた筈なのにいつの間にか色々ととんでもない事になってしまっていた(文章構成話)何を言っているのか分からn(ry)」って事があった」(黒歴史)

一方通行「…………ってこたァあれか?まさかこの茶番は見てくれてる視聴者へのサービスでもなンでもなく…………」プルプル

1「1の文才アップ及び苦手克ふk」

ガシッ!!









TV『しばらくお待ちください』









1「」←1だった何か

一方通行「あー……テレビの前のクソガキ共。こんな馬鹿げたグダグダコーナーでも構わねェってンなら暇つぶし程度に見てやッてくれ」






一方通行「……そうイや打ち止や番外固体は絶対見るッて言ってたな…………ちッ!テキトーにやって後でグダグダ言われンのも面倒臭ェしなァ…………予習しとくかァ」



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